トマトが話せる?トマトのコミュニケーション方法とは

2021年7月28日

果物はあまりしゃべらない。というよりもしゃべれません。

しかし、植物の各部位が互いにコミュニケーションをとっていることは知られています。

それについては、今まで植物が果実に多くの資源を投入すると、果実はそれに答えて成長するというような「植物から果実への一方通行な関係」だと思われていました。

ところが近年、ブラジルの研究者が、ある論文を発表したことで、植物と果実は一方通行ではなく、互いにコミュニケーションを取り合っていることが分かりました。

トマトは、飢えたイモムシに襲われているときに、親株に「助けて」と救難信号を送ることができるというのです。

実のところ、植物がどのようにコミュニケーションをとっているかについては、まだ多くのことがわかっていません。

しかし、もし、果物と会話ができるようになれば、気候変動から彼らを守るために、植物や果実たちが協力してくれるかもしれません。

果実と植物のコミュニケーション

植物は、栄養分を葉や茎からその植物が実らせる果実へと運ぶことがわかっています。

たしかに植物は繁殖のために資源を投入するので、それは理にかなっています。

また、この栄養分を介して植物は、ホルモン物質や化学物質を送りシグナルを伝えるという複雑なネットワークによってさまざまな生態機能を調節しています。

一方で、「果実から植物自身に向かって何かを伝えているのか」については、ほとんど研究されていませんでした。

しかし、果実も、植物の一部で、他の部分と同じ生きた組織でできているのなら、茎や葉に向けても、シグナルを伝達できると考えるのは自然なことなのかもしれません。

そこで、ペロタス国立大学(Federal University of Pelotas)とブラジル農業研究公社の研究者たちは、果実が電気信号で植物と通信しているという仮説を立てました。

これまでの研究では、植物の他の部分が、感染や虫害などによってストレスを受けたときに、電気信号を送ることがわかっています。

そこで研究チームは、イモムシの攻撃を受ける前、受けている間、その後の24時間にわたるトマトの電気的活動を測定してみることにしました。

植物と果実の関係は一方通行ではなかった

では、研究者たちは、トマトがコミュニケーションに使う電気信号を、どのようにして計測したのでしょうか?

まず、果実とのつなぎめとなる茎の先端に一対の電極を差し込んで、それを電磁場を遮断する囲いの中に入れます。

そうすることで、果実からの電気信号だけを検出することができます。

次に、イモムシ(オオタバコガの幼虫)を果実に置き、果実からの電気信号にパターンがあるかどうかをコンピューターの機械学習を使って調べました。

その結果、トマトの果実から出ている電気信号には、イモムシにやられる「前」と「後」で明らかな違いがあることがわかりました。

さらに、果実から伝わった電気信号に対する、植物からの生物学的応答があるかどうかも調べました。

植物は果実からの救難信号に反応する

果実からの救難信号にどう反応するかを調べるために、植物による過酸化水素の生成量が測定されました。

過酸化水素は、トマトが害虫に襲われたときによく発生する防御化学物質です。

結果的に、トマトは、イモムシに食われて枯れてしまうのを防ぐために、過酸化水素の生産量を増やし、果実から遠く離れた部位でもこの防御反応が見られたのです。

農業と気候変動

この研究はまだ全体的な見解にとどまり、害虫以外へのストレス信号や細かな信号の区別を知るものではありません。

しかし、おしゃべりな果物の世界を測定する技術開発につながる可能性はあります。

もし果物が「虫に食われそうだから助けてくれ」と言うタイミングがわかれば、農家が虫の侵入を早期に発見できるかもしれません。

農家が害虫をより効率的に管理することができたら、品質管理や収穫した果実の保管にも役立ちます。

特に、地球の温暖化によって、害虫の発生がより活発になっていることを考えると、これはこれからの農業にとって大きな希望の光となるでしょう。

動物と気候変動

農業と気候変動といえば、オーストラリアの国際的な研究グループが発表した新しい研究が、動物に関する見落とされがちな問題を浮き彫りにしました。

今までの研究によって、家畜の牛は、温室効果ガスのひとつ「メタン」を含んだゲップをすることもあって、気候変動に大きく影響することが示されています。

しかし、今回発表された研究は、豚に注目されたもの。

私たちが意図的に飼育された豚ではなく、野生の豚、つまりイノシシです。

研究の結果、世界中のイノシシが、年間約500万トンもの二酸化炭素を大気中に放出していることがわかりました。

これは、約100万台の自動車から排出されるCO2量に相当します。

口から出るものが問題となる牛とは異なり、これらのイノシシは、まさにブタのように食べるその行為自体が問題となります。

なぜイノシシが気候変動の原因になるのか

野生の豚、小さな4本足のトラクターたちは、土壌中のおいしいものを探して土をかき回す破壊的な生き物です。

地球上の炭素のほとんどは、主に植物の死骸や腐敗物として土壌の最上部に閉じ込められています

実際に、土壌微生物が植物を分解する際に炭酸ガスとして排出される量はわずかなもので、ほとんどの炭素は、掘り起こされない限り土壌の中に蓄えられているといわれます。

ただし、イノシシがその静寂を破ると話は別。彼らが鼻で土をかき回すことで、炭素が分解されて大気中に放出されてしまうのです。

つまり、イノシシは、土壌中に蓄積された大量のCO2を大気中に放出しているのです。

イノシシの生息範囲と個体数、CO2排出量

イノシシがたくさんいることも地球温暖化の原因のひとつと考えられていますが、実際に地球上に何頭いるのかは把握できていません。

そこで、研究者たちは、5つの大陸におけるイノシシの現在の個体数を推定するために、コンピューターモデルを使って、生息範囲と密度を地図上にシミュレーションしました。

そして、イノシシが土壌に与えるダメージをモデル化し、そのダメージが引き起こす地球規模のCO2排出量を導き出しました。

イノシシから地球を守るには

ざっくりとした数字ですが、気候研究者はこのイノシシの個体数に注意しています。

なぜなら今、野生の豚、イノシシの数は急増しているからです。

気候変動は冬の寒さを和らげるため、イノシシが餌を見つけやすくなり、さらに北へと生息域を広げていきます。

イノシシは、CO2によって地球に害を与えるだけでなく、その過程で自らの繁殖力を増しているのです。

今回の研究は、イノシシの侵略にさらされやすい脆弱な生態系を特定する方法を提供しています。

それは、どこへの介入が最も必要かを示し、将来的な撲滅活動に役立つかもしれません。