「靴下を水に浸ける」→「濡れない」
これは、手品ではなく、科学です。
以下に水につけても濡れない靴下の秘密を、お風呂で誰でも簡単にできる子供向けの実験を通じて科学的に紹介します。
それには、空気と呼ばれる「物質」がカギとなっています。物質について楽しみながら理解していきましょう。
靴下だけでなく、ティッシュぺーパーやハンカチなど小さく丸められるものならなんでも実験できますよ。
実験方法
お風呂の時間まで待てない人は、大きなタライやバケツを使っても構いません。
大きめのグラスを用意し、靴下をグラスの底に押し込むように詰め込みます。グラスをひっくり返しても靴下が落ちてこないようにしっかりと詰め込んでください。
そのままお風呂の底に向けてまっすぐ垂直に沈めます。このとき、決してグラスを傾けないこと。
今度は、沈めた道をそのまま引き返すようにまっすぐ真上に持ち上げてグラスを水から出します。
さぁ靴下はどうなっていますか?
全く濡れてないですね。
なぜ靴下は濡れなかったのでしょうか。
靴下が濡れなかった理由
実は、靴下を底に押し込んだとき、グラスの中にはもうひとつの物質があります。
それは目には見えませんし、匂いをかぐこともできません。
靴下と水の間に入り込んで、靴下を水から守っているもの。それは何だと思いますか?
そうです。空気です。空気が、気体として知られている無色透明な物質であることは、紀元前6世紀の古代ギリシア時代にはすでに知られていたのです。
空気は物質
空気がなければ、私たち人間も生物も存在できませんし、音も聞こえません。
何百トンもの雲やジャンボジェット機を支えているのも空気中の物質です。もし、雲の下に空気がなければ、雲は地面に落ちてしまうでしょう。
空気には、質量があり、そこにあると空間の場所をとります。
空気が目に見えないのは、空気の粒子どうしがとても離れた状態「気体」だからで、距離が近くなって液体になると、目に見えるようになります。
「物質」には重さがあり、空間を占有できる
空っぽだった風船に空気を入れるとふくらみますね。これは、風船が何かでみたされていること、つまり、空気が風船内の空間を占有していることを証明しています。
そして、ふくらましせた風船から手を離すと、風船は地面に落ちます。これは、風船の中にある圧縮された空気が周りの空気よりも重いためです。つまり、空気には、重さがあるのです。
他に物質でできているものは何でしょうか。
靴下、コップ、コンピュータ、今見ているもの全てが物質でできています。
物質とは生命のすべて、宇宙のすべてを構成する基本的な要素なのです。
ただし、目に見える光は、エネルギーであり、物質ではありません。空気と違って光には質量もなく、空間を占有することもないのです。
グラスの中には目には見えない空気がスペースを占有している
目には見えませんが、グラスをお風呂の水に入れる前から、グラスは物質でいっぱいです。
グラスの中には靴下があり、靴下で満たされていない残りの空間はすべて空気で占有されています。
この実験で水は、グラスの端にある空気にしか触れないので、靴下が濡れることはありません。
では、グラスをお風呂の底につけた後、少し傾けてみましょう。
何が見えますか?大きな泡がゴボっと水面に上がってきましたね。
そのままグラスをお風呂から出すと、靴下は濡れていると思いますか?それとも乾いたままでしょうか?
答えは、濡れています。
では、なぜ今回は濡れてしまったのでしょうか?
グラスを傾けた時に見えた大きな泡は、空気の塊です。水と靴下の間の空間を占有していた空気が逃げてしまったため、靴下に水が接して濡れたのです。
身近な科学研究の材料
いかがでしたか?
このように、お風呂は楽しみながら実験ができる素晴らしい場所です。
濡れない靴下の実験から、物質とはなにかについてまで理解できたのではないでしょうか?
これからも身近なものでできる科学実験をたくさん紹介していくので楽しみにしていてください。