実は、飛行機で出される機内食がおいしくないのは、料理そのものが原因というわけではなく、その多くは私たちの味の感じ方に原因があったようです。
私たちが味を感じる能力は、湿度や気圧など、いくつかの要因に影響されます。
以下に機内食がおいしく感じられない理由について、上空の環境と味覚のメカニズムをもとに紹介します。
上空では機内の湿度が低い
飛行機内は地上に比べて湿度が低く、機内の空気はかなり乾燥しています。
マイナス30度以下にもなる上空では、機内と外部の温度差が大きくなり、機内の窓に結露(水滴)ができやすくなります。
水分は、機体や電子機器のサビや腐敗の原因となってしまうため、機内では湿度が低く保たれているためです。
上空では機内の気圧が低い
また、飛行機内外の気圧差を少なくするために、機内の気圧も低く保たれています。
飛行機が上空へ移動するほど、地上(1気圧)よりも気圧は低くなっていきます。1万メートル上空にもなると0.2気圧程度しかありません。
私たちの体は、これほど大きな気圧差には順応できないため(体内の空気は膨張して外に逃げようとする)、機内を0.75~0.8気圧程度に維持して外部との気圧差を少なくしているのです。
空気の乾燥と気圧の低下による身体の影響
気圧が下がり、空気が乾燥すると、鼻や口が乾きます。
鼻が乾いていると、においをうまく嗅ぐことができなくなってしまいますね。
食べ物のにおいは、その食べ物の味や成分を理解するのに役立っているため、においを嗅ぐことができない食べ物は、おいしく感じられなくなるのです。
さらに、唾液が減少することによるドライマウスは味蕾(口内で味を受容する細胞)の感度、特に塩味と甘味への感覚を低下させます。
その結果、食べ物の味を正しく認識することができなくなってしまうです。
これと同じ理由で、機内で飲むトマトジュースは逆においしく感じるといわれています。