世界で唯一、糞(ふん)がサイコロのように四角い形をしている珍しい生き物を知っていますか?
「ウォンバット」です。地面に巣穴を掘って暮らすずんぐりとした体形の有袋類。
彼らは、毎晩約80から100個の立方体を排泄するといわれています。
しかし、なぜウォンバットのフンは自然界ではまれな四角い形状をしているのでしょうか?
それは、彼らの生育する環境と消化管に関係があります。
以下に、ウォンバットのフンが四角い理由について紹介します。
縄張りを示すため?
これまで、立方体のフンは、ウォンバットの縄張りを示すのに役立っていると考える科学者はいました。
ウォンバットは通常、岩や丸太の上でフンをしますが、フンの形が立方体なので、転がり落ちず、その場に積み上げやすいため、他のウォンバットに自分の縄張りを示すのにも役立っているという説でした。
しかし、これだけでは、フンが四角い理由としては不十分でした。
そこで、研究がすすむにつれて以下のことが分かってきました。
乾燥した生育環境と関係
ウォンバットは乾燥した環境に住む生き物です。
水分補給が難しい環境に暮らす生き物にとって、彼らの長い腸管は、食べ物から水分を一滴残らず吸収するのに役立っています。
ゆっくりとした消化プロセスによって、より乾燥したコンパクトなフンができるのです。
実際に、動物園で水分を与えられて飼育されるウォンバットでは、フンの角が鋭角ではなくなることも分かっています。
腸の形状が糞の形に影響
また、専門家によると、腸の最終的な8%の部位は、驚くほど伸縮性があり、部分的にその弾力性に差があるといいます。
通常、均一な弾力性を持つ腸は、丸いフンを作ります。
一方で、ウォンバットの腸の形状は不規則で、腸壁に伸縮性がある部分と、弾力性がなくて硬い部分があったのです。
食べものが消化管を移動する過程で、弾力性の無い硬い部分は圧力を与えて、食べ物を立方体状に押し出して鋭い角を作り、最終的に四角く成形しています。