木は話せるのか?

動物・植物・生き物

私たちの足の下には、何千もの木や植物の根が菌類によって互いにつながっています。

それらは「菌根ネットワーク(CNN)」と呼ばれ、菌根菌の菌糸が植物の根と結合して地下に膨大なネットワークを形成しています。

科学界で進行中の議論では、それを通して木々は化学信号を送り、互いに通信していると考えられています。

大きな母木が、小さな植物に栄養を送って成長を助けたり、また、瀕死の木が、残りわずかな資源を他の木に譲渡できるようにネットワークに渡したりして、森全体が巨大なネットワークとして機能しているというのです。

以下に、その興味深い菌根ネットワークの世界について少し紹介します。

菌根ネットワークとは

「菌根菌(きんこんきん)」という微生物は、植物なしでは生きてはいけません。

菌根菌は、植物の根に共生して、植物に必要な養分(リンや窒素など)を土から吸収して、それを植物が作り出す栄養分(脂質、糖、アミノ酸など)と交換しています。

菌根ネットワークは、植物を害虫や病原体から守ったり土壌の養分や炭素の運搬をコントロールしたりと、その役割は多岐にわたると考えられています。

植物のコミュニケーション

植物から発せられたシグナルが、菌根ネットワークを介して、別の植物に移動して変化を引き起こす可能性があることから、これを生物学的コミュニケーションと理解する科学者もいるのです。

この菌根ネットワークにおいて使われるシグナルは、防御的化学物質や栄養素などです。

たとえば、植物は、病原体や外敵に攻撃されると、細胞壁を強化したり、外敵が嫌う揮発性有機化合物を生成したりして、防御体制に入ります。

菌根ネットワークは、多くの異なる植物同士をつなげて、これらの攻撃に関する情報を共有できる経路提供し、シグナル(防御情報化学物質の伝達)を受け取った植物が同じように防御反応できるように機能します。

また、数多くの研究によって、同種の植物だけでなく、異種の植物との間でも、炭素や窒素、リンなどの栄養素がネットワークを介して移動することが報告されています。

さらに、菌根ネットワークからこれらの栄養素を受け取った植物の成長や生存を改善したという証拠も示されているのです。

実際のところ、植物は周囲の世界を認識し、反応しています。

たとえば、植物は脅威が迫ってきても動くことはできません。しかし、危険が迫っているという情報を共有することはできるのです。

植物が十分な水分を得られないと、気孔と呼ばれる葉の小さな開口部が水を節約するために閉じ始め、ストレス状態に関するシグナルは、根に接する近隣の植物にも伝わるため、シグナルを受け取った他の植物も気孔を閉じて干ばつに備えることができます。

植物には独自の情報伝達や感知方法があるのです。

巨大な地下ネットワークで、菌根菌が、さまざまな植物の養分の流れをコントロールし、植物同士の協力・競争関係までも媒介しているなんてまさに驚きの世界が地中では繰り広げられているようです。

参照元:
Can Trees Talk?
MYCORRHIZAL FUNGI
Mycorrhizal network