なぜ飲み物に使われるのは「二酸化炭素」なのか?

身近なふしぎ

なぜ炭酸飲料には「二酸化炭素」が使われているのでしょうか?

1缶あたり、3缶分以上の二酸化炭素が使われる炭酸飲料もありますが、メーカーが他のガスを使用しないのはなぜなのでしょうか?

一体、二酸化炭素の何が特別なのでしょうか?

まず、二酸化炭素が生み出す味覚に秘密があります。

気体の二酸化炭素が水と接触すると、化学反応を起こして結合し、炭酸水という溶液が生成されます。この炭酸は、酸性なので酸味を感じやすく、あの爽快感が生まれます。

味覚だけではありません。

二酸化炭素は、無害な気体の中では最も水に溶けやすく(溶解度が高い)、安価手に入りやすいなどさまざまなメリットをもたらしています。

以下に、飲み物に二酸化炭素が利用される理由についてもっと詳しくみていきましょう。

二酸化炭素は水に溶けやすい

気体と液体を混合する際に最も重要な要素の1つが「溶解度」です。

二酸化炭素は水によく溶けます。

実際に、二酸化炭素は、無害なガスの中で最も溶解性が高い気体です。

たとえば、通常の大気圧では、1リットルの水に約1.5リットルもの二酸化炭素を溶解させることができます。

他のガスは、ヘリウムや水素、酸素など水に溶けにくいものや、硫化水素、アンモニア、二酸化硫黄のように水に溶けたとしても有害なものが一般的です。

なかには、他のガスを使用した飲み物もありますが、それらは、より高価になり、一般大衆によって消費される機会は限られてくるでしょう。

水と結合しやすい理由

二酸化炭素が水によく溶ける理由は、二酸化炭素が反応して炭酸(H 2CO 3)を形成するためです。

炭酸の泡は見た目が「フレッシュ」なだけでなく、味も良く、気体がはじける爽快な音を奏でます。

二酸化炭素は、酸素原子と炭素原子が結合した分子です。

この酸素原子は、水素原子よりも電子(2つの原子間で共有している電子のペア)を綱引きのように自分に引き付ける力(電気陰性度)が強いといえます。

二酸化炭素の電子は酸素に偏っているため、水と水素結合しやすいのです。

二酸化炭素は、他の液体と混ぜても信じられないほど安定しており、 不要な副産物を生成する他の多くの気体とは異なって安全なのです。

コストの問題

二酸化炭素ガスの代替となる可能性のある気体は他にもがいくつかありますが、 それらは通常、カジュアルな飲酒者や小規模生産者にとっては高価なものです。

それに比べて、二酸化炭素はすぐに入手できるため、コストの削減にも役立ちます。

二酸化炭素の代替品候補

他の選択肢に関して言えば、酸素は大気中に二酸化炭素よりも豊富であるため、代替品として冷たい飲み物に酸素を使用する方が理にかなっているような気がしませんか?

もしあなたが、飲み物が飲めなくなってもよいのであれば、二酸化炭素の代わりに酸素を追加できます。

なぜなら、酸素は食品や飲料を腐敗させるため、酸素を添加物として使用することはできないからです。

メタンも、二酸化炭素代わりに飲み物に使用できる可能性がありますが、可燃性であるため、それほど安全ではありません。

また、誰も有害な飲み物など飲みたくはないため、塩素などの他のガスも除外されます。

このように飲料に使用できそうな二酸化炭素ガスの代替品はいくつかありますが、入手しやすくて安全で、安定しており、おいしく、安価だという点で二酸化炭素の右にでるものはないようです。

おそらくこれからもメーカーは工業規模の生産に二酸化炭素を使用し続け、 消費者は炭酸飲料を今後何年も楽しみ続けるでしょう。

参照元:co2 in cold drink