「砂」は限りある天然資源。砂不足の代替品は見つかるのか

2020年12月29日

あなたのスマホの液晶画面、地下室、家の外の道路、これらには共通点があります。

それは、すべて砂でできていることです。

ガラスもコンクリートもアスファルトもみな砂を主原料にしています。

つまり、砂の需要は非常に高いということです。

実際に、砂利と並んで砂は、水に次ぐ世界で最も利用されている天然資源の一つです。

それはもちろん、水と同じように限られた資源で、今、足りなくなっています。

でも、奇妙ですよね。世界には何キロにもわたるビーチがあるし、巨大な砂漠もあるのに。

どうやら、それは、砂の粒に関係しているようで、ビーチの砂の粒が砂漠を構成するものとは異なるように、すべての砂の粒が同じように作られているわけではないからです。

豊富に見える砂資源のうち、私たちに役立つのはたった一つ、海岸線や河川敷、採石場などの地面から抽出しなければならない砂の粒のみけ。

そして、需要に必要な砂を得るためには、資源の不足を引き起こすだけではなく、生態系の破壊という大きな被害をもたらしてしまいます

しかし、幸いなことに、世界の科学者や技術者らによる砂の粒の代替品への開発が進むことで、自然の砂への依存を断ち切るための解決策が見え始めています。

今回は、最も身近なのに、資源としてあまり考えられていない「砂」とは何かについて、砂不足が問題になっている理由と合わせて分かりやすく紹介します。

砂とは


砂の定義は、幅が約0.06ミリメートルから2ミリメートルの間の粒です。

これより小さければシルト(沈泥)、大きければ礫(れき、小石)となります。

基本的に砂は、山や土地の風化によって形成されます。

自然の砂は、雨や雪、風、霜などがゆっくりと岩を侵食していき、氷河や小川によって水に運ばれるほど小さくなるまで削られて、海まで流れているのです。

自然の砂が形成されるのに、数千年から数百万年もかかるのはそのためです。

そして、私たちは今、自然が砂を補充するよりも、ずっと早いペースで砂を使い果たそうとしています

砂には、さまざまな種類がある


砂は、鉱物や貝殻のような有機物を含んだものをはじめ、あらゆる種類の岩石から作ることができます

しかし、ありふれた砂のほとんどは、以下の成分でできています。

石英(水晶)の形をした二酸化ケイ素です。

それはまた、地殻を形成する物質の一つで、長石のような完全に分解されにくい鉱物が混合されていることも多く、私たちがよく目にする茶褐色の砂もまた、サビと同じ酸化鉄が砂粒にくっついたものです。

風化のプロセスが異なると、砂の粒の形も異なります

砂漠の砂のように風に侵食された砂は、非常に丸みを帯びています。

一方で、水に侵食された砂は、粒子を摩耗させない穏やかな風化の形によるため、多くのギザギザしたエッジがあります。

それは些細な違いのように聞こえますが、用途次第で大きな違いが出てきます。

残念ながら、砂漠の砂はあまり役には立たないようです。

砂は世界的に需要の高い天然資源の一つ


なんと、人間は毎年約500億トンもの砂を消費しています。

実は、私たちの身の周りには砂を原料にしたものがたくさんあります。窓ガラスもスマホの液晶画面も、砂を溶かして作られたものです。

砂と砂利を組み合わせた骨材(こつざい)においては、世界で最も使用されている材料の一つでコンクリートの約80%を構成しています。

2012年に使われた総コンクリート量は、赤道に沿って、高さ27メートル、厚さ27メートルの壁でぐるりと地球を包むのに十分な量です。

アメリカの一般的な家を建てるには、100トン以上の砂と砂利が必要だといわれています。砂は、建物や道路建設の下敷きとしても使われ、アスファルトの主成分でもあるため、その家の前の道路を含めるとその倍以上にもなります。

2012年には、アメリカだけで400万キロもの舗装された道路が作られましたが、それよりもさらに砂の需要が大きいのはアジアです。

中国のように国を挙げて急ピッチで建設を進めている国では、2011年から2013年までのわずか3年間で、アメリカがまる一世紀かけて使ったセメント量よりも多くを使用。

中国の砂の需要は、本当に莫大なものですが、世界にはまだ他にも多くの砂を必要とする地域があります。


ある国では、砂を建設プロジェクトだけでなく、地理的範囲を広げるためにも使い、他の国では、自然の景観や生態系を回復させるために砂を利用しています。

世界的に見ても、海洋保護区内のほとんどの海岸で侵食や気候変動、人間による影響を防ぎ、これらに対抗するために、技術者が海底の土砂をすくい取って、定期的にビーチに砂を持ち込む必要があります。

アメリカにおいては、海岸線の半分が浸食されているため、13億立方メートル以上の浜辺を砂で埋め尽くさなければなりません。

その砂のコストは、100億ドル以上だといわれています。

さらに、浜辺の砂は 置いた場所には留まりません。

砂は常に海に流されているので、砂浜の修復は定期的に行う必要があります。

しかし、本当の問題は、生態系の修復でも製造業でもなく、砂がどこからか来ているかです。

繰り返しますが、砂の種類は、とても重要です。

河川から採れる砂は特に需要が高い


砂漠の砂のように、風の侵食によってできた丸い粒で構成される種の砂は、コンクリートを作るときに結合しにくいので、建築には向いていません。

海岸線や河川敷から採れる角張った砂は、ギザギザのエッジがパズルのピースのようにつながって、コンクリートやアスファルトに最適な強い結束力を生み出します。

しかし、アスファルトやコンクリートが必要になるだけ、その種の砂の需要は大きくなります。
特に河川敷で採掘された砂が最も需要が高いのです。

海岸や海底の砂には、塩の他、汚染物質が含まれていることが多く、砂を使う前に洗い流さなければなりません。

そして、この種の砂への欲望は、いくつかの深刻な環境問題を引き起こしています。

河川から砂を採るリスク


河川から砂を取り除くことで、土手や堤防が侵食されて洪水被害へのリスクを高めます。

これらはすべて水生生物にとっても有害なものです。

飲料水を河川の帯水層に頼っている人たちにも影響を与えます。河川の砂を採掘することで水のpHバランスを変化させ、河川流域を汚染し、脆弱な生態系をさらに危険にさらす可能性があります。

無秩序な川底の砂の採掘は非常に破壊的であるため、ほとんどの国で段階的に廃止されていますが、世界の一部の地域では未だに行われています。

東南アジアの重要な農業地域であるベトナムのメコンデルタは、景観、特に海面の上昇に伴う地形を維持するために、上流からの土砂を利用しています。

しかし、2000万人の人々が暮らすこのデルタ(三角州)は、河川によって上流から運ばれた物質が堆積することによって形成された地形であるため、上流の砂の採取は、デルタの形成を妨げてしまいます。

そのため、国が内陸の砂の採掘を制限しようとしていますが、砂の需要は増える一方です。

海底の砂を採取するリスク


先述した通り、河川の砂に比べて、海岸の砂は、塩分を除去する必要があるためより高価なうえ、むやみに海底の砂を取り除くと、海洋生物を殺してしまいます。

サンゴ礁を破壊し、水の循環にも影響を与えます。

海底から砂を採るのは、私たちが思う以上に動植物にとって有害なうえ、その土地に依存する人々の生活をも脅かすのです。

海砂は、海岸線を破壊し、内陸部の洪水を引き起こす熱帯低気圧に伴う破壊的な高潮をはじめ、島を悪天候から守るためにも欠かせないものです。

砂を除去したり、砂を採掘したりすると、海岸沿いの土地は暴風雨や海面上昇に対して脆弱になります。

採石場からの砂の採取

砂は、どうしても河川や海といった水辺から採取する必要はなく、内陸の採石場で採掘することもできます。

しかし、それには穴を深く掘る必要があり、誰が地中の巨大な穴の近くに住みたいと思うでしょうか?

砂ビジネスは大きい


砂の採掘があまりにも破壊的なので、いくつかの政府は 砂の採掘を禁止しています。

しかし、砂の必要性は、もちろん、非常に高いため、世界中で砂の運搬が見られます。

信じられないかもしれませんが、砂の不足が、暴力や犯罪にまで発展することもあります。

決して作り話ではなく、インドとモロッコには違法に採掘された砂を輸出する砂のマフィアがいるほどです。

イタリアでも、砂の供給は、マフィアビジネスとして、組織犯罪に大きな影響を与えています。

合法であっても重量物である砂を輸送する船の排気ガスなど、砂は二酸化炭素排出量において、深刻な問題を与えています。

例えばドバイでは、砂漠の真ん中にあるはずなのに、世界一高い超高層ビルであるブルジュ・ハリファを建設するために、オーストラリアから砂を運搬しなければなりませんでした。

砂漠の砂では構造的に健全なコンクリートを作ることができなかったため、はるか南から砂が運ばれたのです。

砂を作る方法はないのか?


さて、そもそも砂を作ることはできないのでしょうか?

もちろん砂を作ることはできますが、砂の原料となる岩もまた有限の資源であり、採石場から採掘しなければなりません。

人工砂は、岩石を破砕機に通して作られ、それは川砂よりも粗いので、角張った粒同士がよく結合して、アスファルトを作るのに適しています。

しかし、研究によると、人工砂は、河川や海の砂に比べて、結合するために多くの水を必要とし、見た目も良くありません。

そのため、強度への効果はあっても、建設会社は川砂や海岸砂を好んで使用するようです。

砂の代替品アイデア


幸いなことに、砂の製造以外にもいくつかの選択肢があります。

何人かの研究者は、グリーンランドの氷河が後退した時の砂の採取を提案しています。

気候変動によって、グリーンランドの氷床は、すでに驚くべき速さで縮小し、氷河は砂で埋め尽くされています。

氷が溶けると、 海の中に大量の使える可能性のある砂を掘り起こせる可能性があるのです。しかもそれは、水によって形作られた砂で、建設に適している可能性があります。


2019年の論文では、科学者は、氷河が溶けて堆積した土砂を集めた場合、グリーンランドが大規模な砂の輸出国になる可能性があると示しました。

しかし、これはまだ投機的なもので、現時点では実現していません。

また、グリーンランドは非常に北にあるので、氷床から採掘された砂が遠方へ発送されるには、輸送費が高価になったり、二酸化炭素排出量が多くなったりする可能性があります。

砂の代替品は実現しつつある

科学者たちは岩や天然の砂に代わるものが他にもないか調査しています。

捨てられてしまう鉄スラグや石炭産業からの副産物、フライアッシュ(石炭灰の一種)などが、コンクリート用の砂の代替案として挙げられています。

その他にも、砂の代わりにマイクロプラスチックやシュレッダーゴムを使用する案もあります。

研究によると、特に鉄スラグは、天然砂の代替に適しています。

しかし、米国では鉄や石炭の生産量が減少しているため、それらの廃棄物も実際には少なくなっています。

コンクリート作成における天然骨材の代替品の可能性として、砕いたコンクリートのようなリサイクル建材も検討されています。

ドイツではすでに使用する骨材の90%近くをリサイクルしています。

実のところ、一部の人は役に立たないと考えられている砂漠の砂を再利用しようとさえしているようです。

しかし、まだ広くは成功していません。

最後に、カリフォルニアに拠点を置くある会社が提案しているのは、コンクリート使う過程で炭素を出す砂の代わりに、炭素を回収する機会につながる砂の代替品です。

彼らのプロセスは発電所の排気筒からの二酸化炭素を利用して合成石灰石を製造する方法です。
この方法で作られたコンクリートの骨材は、サンフランシスコ国際空港などすでにいくつか使われています。

砂は限りある資源

天然の砂、特に河川や海岸の砂は、コンクリートの効果的な成分であることが証明されています。

しかし、今では砂の採掘に頼らなくてもいいように開発が進み始めています。将来的にはもっと多くの選択肢があることを願っています。

問題は、建築業界の変化への対応が非常に遅く、科学性が低いため、より多くの利害関係者に砂の代替品へ協力してもらう必要がありそうです。

建築業者は、最優先事項は建物の維持です。

これからも自然の砂に代わるものがより多くの牽引力を得るまで、砂の需要は高い状態が続くでしょう。

もし、あなたが次にビーチに行くときは、体にわずらわしく張り付く砂に感謝してください。

それは何千、何百万年もかけて形成されたもので、私たちの世界は、砂なしでは今のような生活はなかったでしょう。