「砂」は限りある天然資源。砂不足の代替品は見つかるのか

「砂」は限りある天然資源身近なふしぎ

みなさんは、砂が水と同じように限られた資源で、今、不足しているのを知っていますか?

意外かもしれませんが、あなたのスマホの液晶画面、地下室、家の外の道路、これらは、すべて砂でできています。

ここでは、砂とは何か、また、砂不足が問題になっている理由などを分かりやすく紹介します。

ガラスもコンクリートもアスファルトもみな主原料は砂です。

つまり、砂の需要は非常に高いということです。

実際に、砂利と並んで砂は、水に次ぐ世界で最も利用されている天然資源の一つだといわれ不足しています。

でも、奇妙だな。世界には何キロにもわたるビーチがあるし、巨大な砂漠もあるから十分足りてるような気がする。

それはね、砂の粒が関係しているのよ。ビーチの砂は砂漠の砂とは違うでしょ?すべての砂の粒が同じように作られているわけではないからなの。

豊富に見える砂資源のうち、私たちに役立つのはたった一つ、海岸線や河川敷、採石場などで地面から抽出できる砂の粒のみなのです。

そして、需要に必要な砂を得るためには、資源の不足を引き起こすだけではなく、生態系の破壊という大きな被害をもたらしてしまいます

しかし、幸いなことに、世界の科学者や技術者らによる砂の粒の代替品への開発が進むことで、自然の砂への依存を断ち切るための解決策が見え始めています。

砂とは

砂の定義は、幅が約0.06ミリメートルから2ミリメートルの間の砕屑物(さいせつぶつ、岩石の破片)の粒です。

これより小さければシルト(沈泥)、大きければ礫(れき、小石)となります。

基本的に砂は、山や土地の風化によって形成されます。

自然の砂は、雨や雪、風、霜などがゆっくりと岩を侵食していき、氷河や小川によって水に運ばれるほど小さくなるまで削られて、海まで流れているのです。

自然の砂が形成されるのに、数千年から数百万年もかかるのはそのためです。

そして、私たちは今、自然が砂を補充するよりも、ずっと早いペースで砂を使い果たそうとしています

砂には、さまざまな種類がある

砂の種類

砂は、鉱物や貝殻のような有機物を含んだものをはじめ、あらゆる種類の岩石から作られていますが、ほとんどは、以下の成分からなります。

地殻を形成する物質の一つ、二酸化ケイ素(SiO₂) です。

二酸化ケイ素といえば、結晶化してできた六角柱の白っぽい石英が有名で、無色透明なのは水晶と呼ばれます。

また、砂には、長石のような完全に分解されにくい鉱物が混合されていることも多く、私たちがよく目にする茶褐色の砂は、サビと同じ酸化鉄が砂粒にくっついたものです。

風化のプロセスが異なると、砂の粒の形もそれぞれに異なります

砂漠の砂のように風に侵食された砂は、とてもきれいな丸みを帯びています

一方で、水に侵食された砂は、粒子を摩耗させない穏やかな風化による形で、多くのギザギザしたエッジ(端)があります

それは些細な違いのようにみえますが、用途次第では大きな違いが生まれます。

残念ながら、砂漠の砂はあまり役には立たないようです。

砂は世界的に需要の高い天然資源の一つ

人間が毎年消費する砂は、500億トンにも相当します。

私たちの身の周りには、砂を原料にしたものがたくさんあります。

窓ガラスもスマホの液晶画面も、砂を溶かして作られたものです。

砂と砂利を組み合わせた骨材(こつざい)においては、世界で最も使用されている材料の一つでコンクリートの約80%を構成しています。

2012年に世界で使われた総コンクリート量は、赤道に沿って、高さ27メートル、厚さ27メートルの壁でぐるりと地球を包むのに十分な量でした。

アメリカでの砂の消費量

アメリカの一般的な家を建てるには、100トン以上の砂と砂利が必要だといわれています。

ただし、砂はアスファルトの主成分でもあり、道路建設の下敷きにも使われているため、その家の前の道路を含めると砂の消費量は倍以上にもなります。

2012年には、アメリカだけで400万キロもの舗装された道路が作られました。

それよりもさらに砂の需要が大きいのがアジアです。

アジアでの砂の消費量

中国のように国を挙げて急ピッチで建設を進めている国では、2011年から2013年までのわずか3年間で、アメリカがまる一世紀かけて使ったセメント量よりも多くを使用しました。

中国の砂の需要は、まさに莫大なものです。

しかし、世界にはまだ他にも砂を必要としている地域が多くあります。

ある国では、砂を建設プロジェクトだけでなく、地理的範囲を広げるためにも使い、他の国では、自然の景観や生態系を回復させるために利用しています。

海岸線の修復に使われる莫大な砂

世界的に見ても、海洋保護区内のほとんどの海岸で、侵食や気候変動、人による影響を防ぎ、これらに対抗するために、技術者が海底の土砂をすくい取って、定期的にビーチに砂を持ち込む必要があります。

アメリカにおいては、海岸線の半分が浸食されているため、13億立方メートル以上の浜辺を砂で埋め尽くさなければなりません。

その砂のコストは、100億ドル以上だといわれています。

さらに、浜辺の砂は 置いた場所には留まらず、常に海に流されているので、砂浜の修復は定期的に行わなければならないという問題があります。

しかし、砂不足の本当の問題は、生態系の修復でも製造業でもなく、砂がどこからか来ているかです。

繰り返しますが、砂不足を考えるうえで、砂の種類は、とても重要です。

河川から採れる砂は特に需要が高い

河川の砂 資源
砂漠の砂のように、風の侵食によってできた丸い粒で構成される種の砂は、コンクリートを作るときに結合しにくいので、建築には向いていません

海岸線や河川敷から採れる角張った砂は、ギザギザのエッジがパズルのピースのようにつながって、コンクリートやアスファルトに最適な強い結束力を生み出します。

一方で、アスファルトやコンクリートが必要になるだけ、河川敷で採掘された砂の需要はどんどん高くなります。

海岸や海底の砂には、塩の他、汚染物質が含まれていることが多く、砂を使う前に洗い流さなければならないのです。

そして、この種の砂への欲望は、いくつかの深刻な環境問題を引き起こしています。

河川から砂を採るリスク

河川から砂を取り除くことで、土手や堤防が侵食されて洪水被害へのリスクを高めます。

これらはすべて水生生物にとっても有害なものです。

飲料水を河川の帯水層に頼っている人たちにも影響を与えます。

河川の砂を採掘することで水のpHバランスを変化させ、河川流域を汚染し、脆弱な生態系をさらに危険にさらす可能性があります。

無秩序な川底の砂の採掘は非常に破壊的であるため、ほとんどの国で段階的に廃止されていますが、世界の一部の地域では未だに行われています。

東南アジアの重要な農業地域であるベトナムのメコンデルタは、景観、特に海面の上昇に伴う地形を維持するために、上流からの土砂を利用しています。

しかし、2000万人の人々が暮らすこのデルタ(三角州)は、河川によって上流から運ばれた物質が堆積することによって形成された地形であるため、上流の砂の採取は、デルタの形成を妨げてしまいます。

そのため、国が内陸の砂の採掘を制限しようとしていますが、砂の需要は増える一方です。

海底の砂を採取するリスク

先述した通り、河川の砂に比べて、海岸の砂は、塩分を除去する必要があるためより高価なうえ、むやみに海底の砂を取り除くと、海洋生物を殺してしまいます

サンゴ礁を破壊し、水の循環にも影響を与えます。

海底から砂を採るのは、私たちが思う以上に動植物にとって有害なうえ、その土地に依存する人々の生活をも脅かすのです。

海砂は、海岸線を破壊し、内陸部の洪水を引き起こす熱帯低気圧に伴う破壊的な高潮をはじめ、島を悪天候から守るためにも欠かせないものです。

砂を除去したり、砂を採掘したりすると、海岸沿いの土地は暴風雨や海面上昇に対して脆弱になります。

採石場からの砂の採取

砂は、どうしても河川や海といった水辺から採取する必要はなく、内陸の採石場で採掘することもできます。

しかし、それには穴を深く掘る必要があり、誰が地中の巨大な穴の近くに住みたいと思うでしょうか?

砂ビジネスは大きい

砂の採掘があまりにも破壊的なので、いくつかの政府は 砂の採掘を禁止しています。

しかし、砂の必要性は非常に高いため、砂の運搬は世界中あちらこちらで見られ、大きなビジネスとなっています。

信じられないかもしれませんが、砂の不足が、暴力や犯罪にまで発展することもあるのです。

決して作り話ではなく、インドとモロッコには違法に採掘した砂を輸出する砂のマフィアがいるほどです。

イタリアでも、砂の供給は、マフィアビジネスとして、組織犯罪に大きな影響を与えています。

たとえ合法であっても、重量物である砂の輸送は、トラックや船などの排気ガスの問題を伴います。砂は二酸化炭素排出量においても、深刻な問題を与えているのです。

例えば、ドバイでは、世界一高い超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」を砂漠の真ん中に建設するために、オーストラリアから砂を運搬しなければなりませんでした。

砂漠の砂では構造的に健全なコンクリートを作ることができなかったため、はるか南から砂が運ばれたのです。

そもそも砂を作ることはできないのでしょうか?

「岩を砕いた人工砂」のメリットとデメリット

もちろん砂を作ることはできますが、砂の原料となる岩もまた有限の資源であり、採石場から採掘しなければなりません。

幸いにも人工砂は、岩石を破砕機に通して作られているため、川砂よりも粒子が粗く、角張った粒同士がよく結合して、アスファルトを作るのに適しています。

しかし、デメリットもあります。研究によると、人工砂は、河川や海の砂に比べて、結合するために多くの水を必要とし、見た目も良くありません

そのため、強度への評価は高くても、建設会社は川砂や海岸砂を好んで使用する傾向があるようです。

砂の代替品アイデア「グリーンランドの氷床を利用」

グリーンランド 砂

幸いなことに、砂の製造以外にもいくつかの選択肢があります。

何人かの研究者は、グリーンランドの氷河が後退した時の砂の採取を提案しています。

気候変動によって、グリーンランドの氷床は、すでに驚くべき速さで縮小し、氷河は砂で埋め尽くされています。

氷が溶けると、 海の中にある大量の砂を掘り起こせるかもしれないのです。しかもそれは、水による浸食で形作られた砂で、建設に適している可能性があります。

2019年の論文では、科学者は、氷河が溶けて堆積した土砂を集めた場合、グリーンランドが大規模な砂の輸出国になる可能性があると示しました。

しかし、これはまだ投機的なもので、現時点では実現していません。

また、グリーンランドは非常に北にあるので、氷床から採掘された砂が遠方へ発送されるには、輸送費が高価になったり、二酸化炭素排出量が多くなったりする可能性があります。

砂の代替品は実現しつつある

科学者たちは岩や天然の砂に代わるものが他にもないかと調査し続けています。

研究がすすむにつれて、捨てられてしまう鉄スラグや石炭産業からの副産物フライアッシュ(石炭灰の一種)などが、コンクリート用の砂の代替案として挙げられています。

特に鉄スラグは、天然砂の代替に適しているようです。

その他にも、砂の代わりにマイクロプラスチックシュレッダーゴムを使用する案もあります。

ただし、米国では鉄や石炭の生産量が減少しているため、それらの廃棄物も実際には少なくなっています。

コンクリート作成における天然骨材の代替品の可能性としては、砕いたコンクリートのようなリサイクル建材も検討されています。

ドイツではすでに使用する骨材の90%近くをリサイクルする試みが行われています。

実のところ、役に立たないと考えられてきた砂漠の砂を利用しようとする案もあるようですが、まだ成功はしていないようです。

最後に、カリフォルニアに拠点を置くある会社が提案しているのは、逆に炭素を回収する機会につながる砂の代替品です。

彼らのプロセスは発電所の排気筒からの二酸化炭素を利用して合成石灰石を製造する方法です。

この方法で作られたコンクリートの骨材は、サンフランシスコ国際空港などすでにいくつか使われています。

砂は限りある資源

天然の砂、特に河川や海岸の砂は、コンクリートの効果的な成分であることが証明されています。

しかし、今では砂の採掘に頼らなくてもいいように開発が進み始めています。

問題は、建築業界の変化への対応が非常に遅いことにあります。

これからは、建築業者の最優先事項「建物の維持」に対する科学的な検証をかさねて、より多くの利害関係者に砂の代替品の普及に協力してもらう必要がありそうです。

将来的には砂の選択肢が多様化することが期待されていますが、自然の砂に代わるものがより多くの牽引力を得るまで、砂の需要は高い状態が続くでしょう。

もし、あなたが次にビーチに行くときは、体にわずらわしく張り付く砂に感謝してみてください。

それは何千、何百万年もかけて形成されたもので、砂なしでは今のような私たちの生活はなかったでしょう。

参照元:The World Is Built on Sand… and We’re Running Out

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