私たちに脳がなかったら何ができるのか?

人体の不思議

人の話を理解したり、言葉を判断したり、体の筋肉を動かしたりするにも脳が必要です。

実際、多くのことをするためには脳が必要で、脳がなければ何もできません。

では、頭を切り落とされても生きている生物が実際に存在するのはなぜでしょうか?

不気味な話題ではありますが、私たちの体も、死後いくつかの部位で、あなたの意思とは関係なく生命活動を続けることができます。

以下に、脳がなくてもあなたの身体ができることについて紹介します。

頭がなくても18カ月間生きたニワトリ

1945年、農夫のロイド・オルセン(Lloyd Olsen)は、夕食のためにオスのニワトリを捕りにいきました。

しかし、そのニワトリは、頭を落としても死ななかったのです。実際に、頭を落とされたニワトリは、それからさらに18ヶ月間生きました。

これが、ギネス記録に首がないまま最も長生きした鶏として記録された「首なし鶏マイク」の話です。

当時、科学者らは、マイクが命を落とさなかったのは血液が固まったことで頚動脈からの失血が抑えられたから、また脳幹など脳の一部が残っていたため、歩くことができたのではないかと考えました。

首なし鶏マイクはアメリカ中を周り、見物人を驚かせました。歩けるようになり、止まれるようになり、喉から管を通して水や穀物のかけらを少しずつ喉に入れて餌を与えられました。

頭がなくても生きられるゴキブリ

もっと単純な生き物、ゴキブリを見てみましょう。

ゴキブリは頭部から呼吸をしません。その代わり、体中の穴から呼吸をします。

そして、大きくて巨大な脳によってコントロールされる代わりに、体中に神経節という小さな神経の束があります。

そのため、頭部がなくても、完全に首を切られても、ゴキブリは数週間生きることができるといわれています。

歩き回ることもできるし、動きに反応することもできますが、唯一の問題は、頭部がなければいずれ餓死してしまうということです。

一方で、私たち人間はそれほど幸運ではありません。

頭と脳がなければ、即死とまではいかなくても、数秒で死んでしまうでしょう。

しかし、私たちには、必ずしも脳を通さないいくつかの行動、すなわち反射機能があることを思い出してください。

脳を必要としない反射機能

私たちは指を鳴らすとき、指は時速約32キロメートルで動かせます。

また、大きなくしゃみをすると、時速30~40キロ近いスピードで空気を吐き出すことができます。

しかし、神経インパルスはそれとは比べ物にならないほど速く、時速約400キロメートルで動くこともあります。ただし、時にはそれさえも間に合わないこともあります。

例えば、うっかり熱いストーブに手をかけたら、細胞はすぐに死んでしまいます。

何が起きているのかをすぐに脳に伝えるには、時速400キロメートルでは遅く、もっと素早い行動を起こす必要があるのです。

代わりに、ストーブから手を即座に引き離すために、神経系の他の部位、脊髄反射が働きます。

さて、脳と同じことを無意識的なプロセスで行えるのなら、脳がなくても問題はないのではないでしょうか?

しかし、この無意識な反応が働くには、まだ脳がそこに存在し、あなたを生かしている必要があるのです。

脳を必要としない筋肉細動の働き

では、もしあなたが生きていなかったら?死んでしまっても、筋肉細胞にはATPというエネルギーが残っています。

昆虫の研究では、もう脳にも体にもつながっていない昆虫の肢の細胞にはエネルギーが残っており、研究者たちが脚に触れたり、単に息を吹きかけたりするだけで、電気信号を検出することができることが分かっています。

まだ生きている脚の生きたニューロンによる自然放電頻度です。

人間の手足の筋肉細胞も同じように反応するでしょう。

このような神経活動を観察するのに塩を使う方法があります。ナトリウムイオンを導入することで、生きている動物の活動電位に似たプロセスを引き起こすことができるのです。

たとえば、新鮮なカエルの肢に塩を加えると、長くは続きませんが、カエルの肢は踊るように動きます。

細胞は、やがてエネルギーを使い果たすか、単に腐敗してしまうと動かなくなります。

死後も生き続ける皮膚細胞の機能

人間には、死の瞬間に他にも多くの不思議なことが起こります。

例えば、筋肉は弛緩します。しかし、死体の爪や髪の毛が生え続けるというのは誤解です。それは、乾燥によって皮膚そのものが縮み、髪や爪が長くなったように見えるだけなのです。

しかし、この皮膚細胞についてもう少し詳しく見てみましょう。

皮膚細胞は体をぐるりと覆っており、血液から絶えず新しい栄養を補給する必要はありません。

そのため、たとえあなたが死んで、脳がもう指令を出さなくなったとしても、皮膚細胞はしばらく生き続けることができ、浸透圧によって栄養を集め、何日間か分裂し続けることができるのです。

実際、24時間後に死体から皮膚細胞を採取することができます。

脳を必要としない消化プロセス

消化プロセスの多くは、あなたが生きていて、神経系が働いていることで完結します。

しかし、その仕事の一部は、たまたま腸の中に住んでいるバクテリアによって行われていることを知っていますか?

そして、あなたが死んでも、脳がなくなっても、バクテリアは生きたまま消化し続けるのです。

つまり、ある意味、少なくともそのプロセスの一部である便を作ることは、脳がなくても何の問題もないのです。

問題はここからです。

少し哲学的な話をしましょう。

あなたの中に住んでいるバクテリアは、外来のバクテリアです。

それはあなた自身と考えていいのでしょうか?

あなたが死んだ後も生き続けることができる皮膚細胞はどうでしょう?

彼らはあなたなのでしょうか?それとも、あなたが生育しやすい住処を作っただけの細胞に過ぎないのでしょうか?

基本的には、あなたは単なる脳であり、脳がなくなったときに起こる他のことはすべて、あなたがやっていない他のことに過ぎないのでしょうか?

脳がなければ、身体はもはやあなたの意思を持たないと主張することもできます。

あなたがそうすると決めたからそうするのではなく、脳がなくなったときに細胞が勝手にすることは、あなた自身がすることになるのでしょうか?

みなさんはどう思われますか?

私たちの身体が脳なしでどんなことができるのかについては以下の動画で見ることができます。

What Can You Do Without a Brain?