この繊細で別世界の生き物たちは、半透明の卵の中でピクピクと回転しながら、人生を始めたばかりです。
すべての始まりは2週間前。潮が最も高くなったときに始まりました。
春になると、この岸には何百万匹ものカブトガニが、産卵のために海からやってきます。
生きた化石と呼ばれる彼らは、数億年前からほとんど姿を変えていません。
この産卵の光景も、数百万年にわたってほとんど変化なく繰り返されてきました。
以下に、カブトガニのユニークな生態について貴重な産卵ラッシュをとらえたDEEP LOOKの動画とともに紹介します。
カブトガニの産卵
毎年、この大西洋カブトガニ(アメリカカブトガニ)は、メイン州からメキシコ湾までの北米東海岸に沿って何百万匹も集まります。
なかでもここデラウェア州の群れは、最大級です。
まず最初に、オスが現れ、ビーチや湾の浅瀬でぶらぶらしています。
そして、彼らは通り過ぎるメスの背中にしがみつこうとします。
メスはオスよりもはるかに大きく、パートナーを見つけたらつかの間の満潮を利用して、受精卵をできるだけビーチの高いところまで運びます。
メスは、オスをおんぶするような形で引きずりながらと一緒にビーチを上っていきます。
カブトガニの足の先にはハサミがあり、成熟したオスの前足は、ボクシンググローブに鉤状の特別な爪のようなものがあります。
これを使ってオスは、メスの甲羅の裏側にしっかりとしがみついているのです。
カブトガニの生態
カブトガニにとっての危険は、ひっくり返って、ひ弱な腹部を露出させることです。
彼らは、小さな波が来るだけで、ひっくり返ってしまいます。
そんなとき、カブトガニは尾剣(びけん)と呼ばれる長くとがった尾の出番です。
尾剣の見た目は少し恐ろしく感じますが、彼らは刺しません。尾剣は、ひっくり返った体を起こしたり、敵を追い払ったりするときに使います。
みなさん、カブトガニの血液が青いのをご存知でしょうか?
他の軟体動物と同じように、カブトガニの血液には、銅を含むタンパク質であるヘモシアニンが含まれています。
これは、人間の血液のヘモグロビンのように、酸素を運ぶ役割を担っています。
ヘモグロビンは酸素にさらされると赤色に変化しますが、ヘモシアニンは酸素にさらされると青色に変化します。
なぜ陸地に卵を産むのか?
カブトガニは、恐竜がいた時代から、つまり、4億年以上前から、満月の輝く夜の満潮時にこのように海岸線に集まって産卵していたと考えられています。
ではなぜ海ではなく、陸に卵を産むのでしょうか?
カブトガニは、湿った砂に穴を掘って卵を産むことで、海にいるたくさんの捕食者から卵を守っているのです。
卵は、次の高潮で海に流されるまで砂に守られながら成長することができます。
繁殖期の若いオスは、誰もがデートの相手を見つけられるわけではありませんが、とにかくビーチを歩いて、その場に加わろうとします。
このメスは、2匹のオスを引きずっています。
メスは、産卵場所を見つけると、濡れた砂に穴を掘り、一度に約4,000個の卵を産みます。
ずっと彼女にしがみついていたオスは、最も多くの卵を受精させるのに最も適した配置につきます。
独身のオスたちは皆、残りの卵を受精させようと競い合って群がっています。
終わりに近づくと、カブトガニは海に戻り始めます。
生まれたばかりのカブトガニは、海のプランクトンや微生物を食べますが、大きくなると、海底でゴカイなどの環形動物や貝類、海藻などを食べます。
卵の成長
受精卵は、湿った砂の中に埋められたままになります。
それぞれの卵はエンドウ豆よりも小さく、2週間くらいで内部の胚が成長し 満潮が再びやってくる頃には孵化する準備を整えています。
波の揺さぶりに刺激されて殻を破り、満潮が引く前のわずか数時間の間に、荒れ狂う波の中に飛び込まなければなりません。
彼らは波の下で約10年間成長し、その後大人になって準備が整うと再びここに戻ってくるのです。