裏庭にトランポリンを置いたことがある人は、その下にある芝生が、庭の他の部分よりも長く、青々と茂っていることに気づいたかもしれません。
単に芝生が刈られていないからというだけではありません。
実際、芝生が刈られた後の生育にこそ、この奇妙な現象がより鮮明に見えるのです。
日光は、植物の成長には欠かせないはずなのに、それが遮られることでなぜ逆に成長が促されるのか?みなさんは不思議に思いませんか?
むしろ、そこには別の何か、科学の力が働いているようです。
以下に、光と影、水が植物に与える影響についてわかりやすく紹介します。
多すぎる日光量を減らす効果
植物は日光を必要とします。それがエネルギー源だからです。
しかし、日光が多すぎると土壌は乾燥し、極度の熱で植物の光合成機構に負荷がかかり、いずれも成長が阻害されます。
そこで、暑い夏にトランポリンで植物を覆い、日光の一部だけを通すとどうなるでしょうか?
植物に届くには多すぎる日光量を減らせば、土壌の水分保持が促され、温度が大幅に低下し、光合成が最大化される光量を安定させることができます。
その結果、多くの場合、より大きくより健全な植物が育つわけです。
それは私たちが、ビーチのパラソル下で、日光と影の心地よいバランスを得るようなものです。
そして、家庭菜園では、このトランポリン効果は奇妙な現象にみえるかもしれませんが、農場では潜在的なゲームチェンジャーとなり得ます。
ある研究では、トウモロコシは完全な日照下より、部分遮光下でより大きな収穫をもたらしました。
別の研究では、部分的に日陰になったトマトは2倍の果実を実らせました。
フランスでは、部分遮光下で栽培されたブドウはより甘く、風味豊かだったのです。
しかし、より優れた収穫だけがメリットではありませんでした。
思わぬ副産物
巨大なトランポリンで日陰を作る代わりに、これらの研究では植物を太陽光パネルで保護しました。
つまりこの設置は、太陽光を捕らえ電気に変換する役割も果たしていたのです。
さらに、トランポリン効果は心地よい微気候をも生み出します。
これは太陽光パネルの冷却にも役立ち、複雑な物理的理由により発電量も増加させました。
つまり太陽光パネルは植物の生育を促進し、植物は太陽光パネルの効率を高めたのです。
さて、見事なウィンウィンに聞こえますが、実際にはこれほど単純ではありません。
日光と日陰、水分量のバランスが大切
植物の種類にほっては、たとえば、ラズベリーや小麦など日光を特に必要とする植物は、遮光下で生育が鈍ります。
立地条件も重要です。
涼しく湿潤な地域の作物は、高温乾燥地域に比べてトランポリン効果の恩恵が少なくなります。
立地条件や植物の種類によっては、日照量不足は生育不良にもつながります。
つまり、あなたの裏庭のトランポリンは、偶然にも植物の種類や生育条件に最適なマイクロクライメット(局所的な温度・湿度環境)を作り出していたのです。小さなエコシステムです。
そもそもこうしたシステムを設置するにはコストと複雑さが伴うことも忘れてはなりません。
そこで研究者たちは、実際に計算して数値化し、太陽光パネルを設置した農場は、基本的に土地を二重に活用している、少なくともそれに近い状態であることを示しました。
どうやら食料と共に太陽エネルギーを収穫することは、多くの場合、数学的・経済的に合理性があるようです。
農業におけるこのアイデアは比較的新しく、現在実践している米国の農場は約600件に過ぎません。
この裏庭のトランポリン効果は、これからの食糧安定化やエネルギー産業になんらかの光をもたらすヒントとなるかもしれません。
太陽と影、水分のバランスによるトランポリン効果については以下の動画で見ることができます。