太陽は静かではありません。
ここでは、ESA(欧州宇宙機関)とNASAの太陽観測衛星(SOHO)がキャッチした太陽音の動画を紹介します。
拾った低周波音は、人間には聞こえませんが、40日分の録音を数秒に生成すると「ゴー」という地響きのような音に聞こえます。
私たちは太陽の内部を見ることができないので、太陽の振動を拾った音は科学者にとって極めて重要です。単純な音ですが、星の内部を探ることができるのです。
これらの振動により、科学者は太陽フレアからコロナ質量放出まで、太陽内部のさまざまな複雑な運動を研究することができます。
太陽の音
太陽の音は、以下の動画の20秒から30秒くらいで登場します。
太陽の音の正体
銃が発射されるとき、弾丸は突進して空気に衝突し、そこで乱気流の波を作り出します。
銃声が聞こえると、この空気の振動の波が私たちの耳の鼓膜を振動させ、音が聞こえます。
太陽から聞こえる音も同じ仕組みですが、はるかに大きなスケールで働いています。
太陽から聞こえる音は、太陽の内部から物質が移動し、ちょうどそれらが太陽の表面にぶつかったような音です。 壁にぶつかって、音が発生し、その音が太陽の周囲を移動しているのがわかります。
音波が太陽のプラズマ(大気中にある電気をもった粒子からなる高温のガス)にぶつかって表面に波紋を作ります。
私たちが目にするのはこの波紋だけですが、実際にはこれは太陽のダイナミックな振動です。
音波は、太陽内部に入り込んだり、再び太陽表面に戻ってきたりして、太陽全体を動き回ります。
太陽表面にぶつかり、内部で共鳴している音波を拾い上げることで、科学者たちは目に見えないものを見ることができるのです。
太陽の音から分かること
太陽のような恒星で、対流によって熱エネルギーが移動する「コンベクションゾーン(対流層)」と呼ばれる領域についても知る手がかりになります。
太陽は鳴っていると言えるでしょう。
高温のガスが内部から上昇し、表面で冷やされたガスが下降する。この乱気流が太陽の表面に波紋をつくりだします。
そして、ガスの柱は内部からの熱によって激しくかきまぜられながら上下します。
沸騰したお湯の鍋を見てみると、気泡が熱くなって(膨張することで体積あたりの重さが軽くなり)上昇し、冷えてまた沈んでいきます。
太陽で起こっているのもこれと同じ現象で、水の代わりに熱いプラズマがそこにはあるのです。