アフリカゾウの群れが、水を求めて160キロメートル以上を大移動した末たどりついたのは、30頭近くの餓死寸前のライオンが群がるわずかな水源でした。
極限に近い脱水状態のゾウは、あまりの喉の渇きから、躊躇なく水を飲み始めます。
そして、そこには飢えたライオンとゾウの緊迫した空気が流れ始めます。
昼間は、体が大きいゾウの群れが水源を支配しましたが、夜になると、力のバランスが一転。
以下、「30頭のライオンによるアフリカゾウの狩り」をBBC EARTHによる動画をもとに紹介します。
ライオンは、通常ゾウを襲うことはない
百獣の王といえども、ライオンは、巨大なゾウから反撃を受けると、大怪我をしたり、命を落とす危険性があります。
怪我をして狩りができなくなることは、ライオンにとって「死」を意味します。
それでも長い間狩りが成功していない状況で飢えた群れが生き抜いていくためには、たとえ獲物がアフリカゾウであってもやらざるを得ない時があります。
失敗すれば群れ全体が飢え死にする運命を迎えてしまうでしょう。
ライオンのゾウ狩りのはじまり
静かに獲物を待つライオンに、チャンスが訪れます。
喉が渇いたゾウが水源に向かって動き始めました。
暗闇では、ライオンはゾウよりも、より感度の高い視力を持ちます。
まず狙われるのは体の小さなゾウの子供です。
体の大きなゾウの親たちは、子供を覆い隠すように自分たちの体を盾にして守ります。緊迫した空気の中、時間だけが流れていきました。
そのうち、一頭の小さいゾウが、ライオンの前を横切ります。
30頭近くのライオンが次々に一頭のゾウに襲い掛かります。さすがのゾウも、これだけの数のプロのハンターに襲われてはどうにもできず、ついに息絶えてしまいます。
動物にとっての水源の大切さ
ゾウは、ほぼ毎日水を飲まなければ生きてはいけません。
ライオンが群がる水源に近づくことが、どれだけ危険な状況かは分かっていました。しかし、極限に近い脱水状態では、他に選択の余地がなかったのです。
水源の乏しい過酷なサバンナの世界、弱肉強食の世界、飢えを乗り越え生きていく動物たち。
地球上で、どれだけ水が大切かということを気付かされる動画です。