実は、健康的だと考えられているデトックス飲料には、多くのデメリットともいえる点があります。
ここでは、デトックスドリンクの効果がなぜ期待するほどではないのか、その理由について、ラスベガスで登録栄養士として活躍しているAndy Bellatti氏が体内のメカニズムをもとにアドバイスしたものを中心に分かりやすく紹介します。
栄養士Andy Bellatti氏を思い悩ましているのは、多くの人が見逃している「デトックスドリンク(クレンズジュース)」の落とし穴です。
たとえば、健康やダイエット目的で、デトックスドリンクをメインにした食事スタイルがありますが、デトックス飲料だけでは、必要な鉄分やカルシウム、タンパク質を十分に摂取することができないどころか、デトックス効果は期待しない方がよさそうです。
さらに、血液の浄化を助けるオメガ3脂肪酸に関しては、ほとんど含まれておらず、食物繊維や糖分の摂取に関しても、以下のように様々な問題があります。
デトックスドリンクの効果は科学的に証明されていない
デトックスドリンクという言葉は、体内の毒素や老廃物を排出し、体をきれいにすることを目的として名づけられています。
しかし、栄養士はこれらの主張を支持する証拠を発見していないだけでなく、ダイエットとしてデトックスドリンクのみを摂取するのはかえってよくない可能性があるといいます。
そもそもデトックスという概念は、アルコールや薬物などの毒素を体外に排出する医療行為に由来するもの。
これは主に、デトックスの概念が体の仕組みと一致していないためです。
体のデトックスの仕組み
私たちの体は、アルコールやバクテリア、環境から吸収したる化学物質など、有害な毒素を分解して効率よく除去する素晴らしいシステムを既にもっています。
- 大腸は、食べ物から栄養分を吸収し、血流に分配し、残り物は廃棄物として体外に排出
- 肝臓は、体内の毒素を排出し、血液を浄化して、栄養素や薬剤を代謝
- 腎臓は、血液をろ過して余分な老廃物を取り除き、体に十分な水分を確保
- 肺は、血液中の老廃物である二酸化炭素を取り除き、体外に排出
デトックス飲料に頼った食事のデメリット
これらの自然な体のプロセスは、バランスの取れた食事によって機能しているため、デトックスドリンクに頼った食事では体内の解毒システムをうまく機能させることができなくなる可能性があります。
たとえば、極端な低カロリーの食事では、体が正しく機能するために必要な栄養素とエネルギーの供給を受けることができず、毒素や老廃物の排出もスムーズに行われにくくなってしまうのです。
以下は、クレンズジュース(デトックス飲料)の栄養面やデトックス効果を中心に検証されたものです。
食物繊維が適切に摂取できない
大きな問題点は、果物や野菜を絞ったジュースでは、体が必要とする食物繊維が期待するほど含まれていないことです。
食物繊維は、食後の満腹感を長い時間持続させるだけでなく、大腸を支え、代謝に影響を与えるなど、消化に不可欠な役割を担っています。食物繊維がないと、大腸は毒素や老廃物を効果的に体外に排出することができません。
その他にも、食物繊維は、健全な血圧や心臓の維持を助けたりといった働きをもたらします。
アメリカでは、一日の食物繊維の推奨摂取量は30gですが、平均的には14gしか摂取されていないといわれています。
糖分が多い
特に果物をベースにしたデトックスドリンクは、栄養が多い皮が取り除かれて、糖質が集中している果実が使われていることがよくあります。
これは飲みやすさでメリットを生みますが、繊維質があまり含まれていないので、生の果物を食べるよりも、体内に糖質が吸収されやすく、血糖値の上昇も大きい傾向があります。
デトックス効果は思ったほど期待できない
デトックスとは、解毒、つまり、体内に溜まった毒素(人体に悪影響を及ぼす化学物質、主に重金属や合成化合物、薬物)や老廃物を取り除くこと(wikipedia参照)
体内から有毒なものを排出するためにデトックスドリンクを飲む人は、まずは、体の仕組みから理解する必要があります。
生物学的に考えても、デトックスドリンクのような特定のものだけを摂取するよりも、腎臓と肝臓を健康に保つための食生活を行う方がデトックス効果は高く、それだけで十分だといわれています。
加えて、アルコールの摂取量を控える、喫煙をやめる、睡眠を見直す、適度な運動をすることで、健康的で自然な体のプロセスを改善していくことをおすすめします。