なぜ水はほとんどの物を溶かす万能溶媒なのか?

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地球上には、他のどんな物よりも多くの物質を溶かすことができる液体が一つあります。

超万能溶媒と呼ばれる「水」です。

今回は、地球上のほとんどの物質を溶かす能力をもつことでしられる「水」にも溶けるものと溶けないものがある理由について科学的に分かりやすく紹介します。

化学物質のなかには、物を溶かす点でとても優れたものがたくさんあります。

たとえば、塗料を溶かすテレビン油、油を溶かすエタノール、硫酸においては、金属や皮膚、骨などを溶かすのに適しています。

なかでも「水」は、塗料や紅茶、レモン、コーヒー、二酸化炭素、酸素、塩、砂糖などたくさんのものを溶かすことができ、「万能溶媒」とも呼ばれています。溶媒とは、固体や液体などの物質を溶かす物質(液体)のこと。

でも、水がこれほど強力な溶媒なら、なぜすべてを溶かしてしまわないの?

たしかに不思議ですね。以下にその理由をみていきましょう。

水は、物を溶かすのに優れた万能溶媒

確かに水は、いろいろなものを溶かすのに優れています。

液体が何かを溶かすには、その物質を構成している分子を引き離し、それぞれを離したままにする必要がありますね。

水の分子は、強いプラスとマイナスの電荷(物体が帯びている電気の量)を持っているので、電荷を持った他の分子、または分子の一部を引き離し、その間に入り込むことができます。

物質を構成する分子の多くが帯電した部分を持っているので、それはつまり、地球上のさまざまな物質が、少なくともある程度は水に溶けることを意味します。

それが、私たちが掃除に水を使う理由でもあります。

水で、テーブルにこぼれたオレンジジュースのベタベタを溶かしたり、服についた血液を溶かしたりしてきれいに拭き取ります。

しかし、水はカウンターや衣類を溶かすことはありません。

窓も、道も。

水は分解しないものもある

一見すると、これはかなり幸運な偶然のように思えます。何かを掃除するたびにそれが分解されて崩壊したり、雨で街全体が消えてしまったりするのは、あまり良いことではありませんよね。

しかし、水の超溶解能力こそが、私たちの世界がそのように、あるいは実際にはそうではない方法で作られている理由なのです。

テーブルは木で、服は綿で、窓はガラスで、道路はアスファルトで作られていますね。

これは水がこれらの材料を溶かすことができないからです。

水に溶けるもの、たとえば砂糖で窓をつくるのは、食べる目的でない限りとてもばかげています。

科学者たちの中には、水の超溶解能力を科学的に分析して、水に溶ける便利な物質を開発しています。

例えば洗濯すると消えるマジックペンは、水に流せるように工夫されたものであり、流されたくないときのために水に溶けないように工夫された油性マジックペンもあります。

私たちは、水に溶かしたいものだけを溶かすように工夫することで、水が多くのものを溶かす世界に適応してきたのです。

人間は水の超溶解能力を知り、水に適応してきた

私たち人間もまた、文字通り、水が多くのものを溶かす世界に適応してきたのです。

私たちの皮膚の外側の層は、電荷を帯びないように作られています。つまり、溶けないのです。

そして、私たちの中の細胞の一つひとつを包んでいる膜にも、同じように溶解しない層があります。

私たち人間がこの水の惑星に存在する唯一の理由をはじめ、木も魚もバクテリアも、その他のものも含めて、水に溶けてベトベトにならないようなバリアを進化させたからなのです。

そうでない生命体は、ただ水の中で死んでしまったでしょう。

水と共存

私たち人間は、地球がすべて水に溶かされることで成り立っていることを知り、世界の見方が大きく変化しました。

このように、子供の頃から身の周りで起こっている目には見えない科学に触れることで、さまざまな化合物の分子構造や結晶構造について興味を持つきっかけにもなるので、これからもっと楽しい科学の世界を紹介できればと思います。

参照元:https://youtu.be/lIs7PAW0mlM