サメは、電気を感じ取る感覚でエサの位置を確認し、さらには自分が地球のどこにいるのかも電場でわかるといわれています。
今回は、人間にはないサメの驚くべき第六感の仕組みについて紹介します。
サメは嗅覚が鋭く、どこからともなくエサの匂いをかぎつけて集まってきます。
実は、この嗅覚とは別に、サメには電気受容と呼ばれる驚くべき感覚もあるのです。
感覚とは、見る、聞く、感じる、味わう、匂うなど、世界を体験する方法のこと。
私たちは、さまざまな感覚を働かせるために、体のさまざまな部分を使っています。
そして、全ての動物が私たちと同じ感覚を持ってるわけではないのです。
サメが電気を感じ取る場所
サメの顔の写真を見たことはありますか?
鼻の先のところに点々があるでしょ。
これは電気を感じるためのパーツなんだよ。
実は、全ての動物は電気を作っているんだ。私たちが電気のスイッチをつけるのと同じように、体温維持、呼吸や心臓の拍動などによってわずかな電気が生まれているんだ。
私たちには動物の出す電気を感じる特別な器官がないだけで、サメにはこの電場(電気力の働く空間)を感じる力があるんだ。
まさに人間にはない第六感だね。
近くに魚などの生物がいると、サメの顔にあるこの点が電気を感知して教えてくれるのです。
科学者たちは、19世紀になってやっとサメの鼻先に点々と開いた孔が魚からの電気信号を感知するのに役立っていることを突き止めました。
この電気感覚器官は、発見した科学者の名前ステファノ・ロレンツィーニにちなんでロレンチー二器官と呼ばれています。
この孔が電気を拾い、特別な管を通してサメの脳に電気を送る。
つまり、サメに電気信号の発信源を知らせるんだ。
サメが電気でエサを探す仕組み
私たちはかくれんぼをするとき、視覚と聴覚、そしてときには嗅覚も使うかもしれません。
サメが獲物を探しているときにも、五感を使います。
まず、サメが獲物からまだ離れている間は、聴覚と嗅覚を使って探します。
魚にもう少し近寄ると、視覚など他の感覚を使って獲物を探すことができます。
そして、獲物から1メートルも離れていないと、サメは電気知覚を使って魚の正確な位置を把握し、どのように顎を向けたらうまく噛み付くことができるかを考えるようです。
では、サメは見たり嗅いだりできるのになぜ電気認識が必要なのでしょう?
サメにはなぜ獲物をとらえる電気感覚が必要なのか?
サメは特殊なスポットでも魚を感知する必要があるんだ。たとえば、エサとなる魚が砂に覆われているときとかね。
魚が隠れて見えなくても、匂いを嗅げなくても、サメは電気を感じ取って獲物の位置を特定できるというわけ。
つまり、サメにかくれんぼは通用しないということ。
電気で世界を感じるって、どんな感じなんだろう。
他にも電気センサーでどんなことができるの?
サメは磁場を感じて移動する
以前、ウミガメが地球の磁場を感じ取って移動していると紹介しましたが、実はサメも、この電気を感じ取る器官で同じように地球の磁場を感知しているといわれているんだ。
ウチワシュモクザメをはじめ、多くのサメが磁場を利用して、現在地や方向を把握し、何千キロも回遊した後に記憶した生息地や餌場に戻ってくる能力があることが研究で示されています。
参照元:Insight into shark magnetic field perception from empirical observations
サメと同じようにエイにもこの電気を感じ取る器官があることも分かっているんだ。
しかもエイはサメのようにエサを探すだけでなく、自分達も電気を作り出してお互いのコミュニケーションにこの能力を使っているとさえ考えられているんだよ。
電気感知能力で会話までしてしまうなんてすごいよね。