トラッキングドッグ(警察犬や軍用犬など)は、捜索中の人や物のにおいを追跡して発見する達人です。
驚いたことに、これらの犬は、「におい」で、「時間の経過」までも判断することができるといわれています。
しかし、そもそも犬が、においだけでどこに何があるのかを正確に把握できるなんて不思議だと思いませんか?
以下に、その実態を探るべく「Being a Dog」の著者であり、バーナード大学准教授のアレクサンドラ・ホロウィッツ氏によるトラッキングドッグについての話を紹介します。
犬は鼻で時間を伝える
犬は、わずかなにおいの変化で時間の経過を判断できます。
たとえば、行方不明になった人を追跡している犬が、足跡を見つけてたとしても、その足跡が向かう方向が分からない場合、その場で八方塞(はっぽうふさ)がりとなってしまいますね。
しかし、トラッキングドッグは、最初にかいだ足跡と、2番目、3番目と続く足跡のにおいの濃度の違いによって、方向が分かると考えられています。
たとえば、最初の足跡よりも、2秒後についた5番目の足跡の方がにおいが濃く残っているという感じ。
この「においの濃度」によって、犬は、人がどの方向に向けて走り去ったかが分かるのです。
ブラッドハウンドと呼ばれる犬種においては、人が車に乗って(足跡を残さずに)移動したとしても、大気中に残されたにおいの濃度から方向を追跡できることもあるようです。
においは時間を知る手がかり
アレクサンドラ・ホロウィッツ氏は、犬にとっての「におい」は「時間」を知るてがかりになるといいます。
犬は、残されているわずかな匂いの変化によって、最近(新しいにおい)、または昔(古いにおい)を区別し、過去にここに何があったかを知り、あるいは風にのって運ばれるにおいをもとにこれから何がやってくるのかを感じ取るのです。
それなら、あなたの愛犬も、家でのにおいの濃度の変化(どれだけあなたのにおいがなくなっているか)をもとに、出勤から帰宅までのだいたいの経過時間を把握している可能性が考えられます。
においの変化をヒントに、「もうすぐあなたが帰ってくる時間」になると、扉の前でそわそわし始めているかもしれませんよ。