海岸の砂浜に、数百匹におよぶグルニオンという魚のメスが波に乗ってサーフィンをしながら到着しました。
メスの背後には、追いかけるようにしてオスが影を落とします。
彼らは、毎年、春になると産卵のために大群で浜辺に集まるのです。
以下に、数百匹のグルニオンが浜辺に上がり、産卵する様子をBBC EARTHによる映像で紹介します。
浜辺に上がる魚「グルニオン」の大群
満潮時、グルニオンが次々と浜辺に打ちあがって、滑るように砂浜を駆け上がり、とうとう波際は銀色で埋め尽くされました。
魚にとって、水から出ることは決して簡単なことではありません。
しかし、メスは、波の届かないところに卵を産むために、浜辺のできるだけ高いところを目指して体を走らせます。
その後、上半身を浮かせ、体をくねらせるようにして、尾で砂浜に穴を掘り始めました。
メスが穴を掘るのを合図に、オスのグラニオンの移動が始まります。オスは、卵を受精させるためにメスの周りを包み込むように体に巻き付くのです。
魚が水から出るリスクはないのか?
魚が、水から出るなんて、繁殖のためとはいえ、無防備に見えるかもしれません。
たしかに、波うち際から遠くまではじき出されると、彼らは生き残れません。
しかし、映像をみても分かるように、ちらつく銀色の塊が捕食者を混乱させています。
どうやら問題なのは、繁殖行動よりも、グルニオンが海に戻るときのようです。
本当のリスクとは
捕食者であるペリカンは、空からこの瞬間を待ち構えていました。
グルニオンにとって、最大の危機の訪れです。浅瀬は、ペリカンがグルニオンをくちばしですくい取るのに絶好の場所なのです。
産卵を終えたグルニオンらは、次々と捕食者の餌食になっていきます。
卵と稚魚のその後
砂の中は、卵にとっては、捕食者から守られている安全な場所です。
卵は暖かい砂浜の中で急速に成長し、約2週間後に訪れる、次の春の大潮に合わせて孵化する準備が整います。
そして、孵化した稚魚は、潮が満ちたそのときを見計らって、海に孵っていくのです。