水は、そして砂糖も、それぞれ単体では粘り気がありません。
しかし、砂糖と水を適切な割合で混ぜ合わせ、それに熱を加えると、ベタベタ、ネバネバとおいしそうな粘り気ができます。
では、蜂蜜から糖蜜、メープルシロップに至るまで、糖分を含む液体はなぜ粘着性があるのでしょうか?
以下にその理由をみていきましょう。
小さな分子レベルで見た砂糖と水
少なくとも分子レベルでは、水も砂糖も粘着性があります。
それは、どちらも小さな電荷を帯びていて、反対(+と-)の電荷を持つ原子のまわりで小さな磁石のように働くからです。
この電荷のおかげで、水の分子はくっついて水滴を作り、砂糖の分子はくっついて結晶を作るのです。
しかし、日常的なスケールでは、砂糖と水は粘着性がありません。
これには2つの理由があります。
水と砂糖がねばねばしない理由
水はH2Oからできています。H2Oは本当に小さい(275pm)ので、活発に動き回って、互いに簡単にすれ違うことができます。
水分子は動き回りやすいため、液体の水は流れることができ、ある表面から別の表面へと移動することができるのです。
一方で、砂糖はもっと大きな分子(900pm)でできており、室温では固体の中に閉じ込められて動き回れません。それぞれの結晶の外側にはわずかな電荷しか露出しません。
そして固体は流動せず、露出した電荷もわずかにすぎないため、付着できるほど近くにある表面に、結晶全体がくっつくほどではないのです。
しかし、砂糖の結晶を水に落とすと、砂糖の分子同士は互いに離れ、H2O分子にくっつきます。
ただ、ここで砂糖をたくさん加えると、砂糖同士もくっつくようになります。
砂糖のようなかさばる分子は、大きすぎてお互いにすれ違えずにぶつかり合ってしまうため、糖蜜のようなシロップは濃厚で粘性がでるのです。
しかし、糖蜜はまだ液体であるため、露出した糖分子のほとんどが皮膚に付着するのに十分な流動性を持ち、糊のようにべったりと付着する厚い層を形成することができます。
実は、これは接着剤によく似ています。
接着剤に含まれる水分が蒸発するにつれて、長い鎖を形成する分子でいっぱいになり、互いに絡まって固定されるというわけです。
そういった意味で原理的には、シロップは接着剤として使うことはできるといえます。
みなさんは、かつて砂糖が、スペイン国王への贈り物として実際の宝物と一緒に包装されていたほど希少な商品だったことをご存知でしょうか?
当時、世界唯一の砂糖源は熱帯地方にしか生育しないサトウキビでした。
しかしその後、どこにでも生育可能なテンサイから砂糖を抽出する方法が発見され、
さらに、蒸気エンジンの出現により、
それまで10年かかっていたのと同じ量の砂糖を1日で処理できるようになったのです。
蜂蜜やシロップに粘り気がある理由については、以下の動画で見ることができます。