「不動の物体」と「止められない力」が出会ったらどうなるのか?
アインシュタインの理論に興味がある人なら一度は考える問題かもしれません。
では、そもそも「動かないもの」や「止められない力」とは何でしょうか?
それを踏まえて以下に、どんな力でも動かせない物に、どんな力でも止められない力がぶつかると、どんな結末が待っているのかについて考えてみましょう。
「動かないもの」とは?
(もちろん、相対性理論によれば、動かない物体など存在しませんが)
あなたが思う「動かないはずの物体」、あるいは、家や地球のようなものでも、私はそれを動かすことができます。
私がすべきことは、ただその物体に対して相対的に動き始めることです。
「動かないもの」は存在し得ない
たとえば、私がロケットに乗ると、突然、地球は外を飛んでいきます。
物理法則では、慣性系(かんせいけい)で考えると優先順位は関係ないので、私の視点では、私は動かないのに「動かないもの(地球)が動く」ことは明らかです。
(絶対空間などというものはありません。 物事は他のものに対して相対的に動くだけです。)
だから、相対性理論によって「動かないもの」は存在し得ないというわけです。
「動かない物体」ではなく「加速できない物体」で考える
しかし、たいていの人は、「動かないもの」というと、「動いていなければ、押しても動かないもの」という意味でこの問題を考えると思います。
つまり、「動かない物体」ではなく、「加速できない物体」なのです。
ニュートンの第二法則を使うと、物体の加速度は、物体にかかる力の総和を質量で割ったものに等しいことがわかります(おそらくF=maと表記されたものを見たことがあると思います)。
つまり、「加速できない」物体とは、質量が無限大の物体(m)のことで、どんなに大きな総力(F)がかかっても、Fをmで割ると常にゼロになるような巨大な物体です。
もちろん、物体を加速できないからといって、必ずしもその物体が動いていないとは限りません。
つまり、速度を直接変えられないという意味で、動いていないなら動かないまま、また、時速100マイルで動いていれば、時速100マイルで動き続けることになります。
では、もう一つの「止められない力」はどうでしょうか?
「止められない力」とは?
それらが力の影響を受けない唯一の方法は、その力とまったく相互作用しないことです。
(たとえば、電子がグルーオンと相互作用しないので、強い核力を受けないのと同じ)。
光そのものも止められない力です。
光子があなたの体に当たるたびに、(光(電磁放射)を受ける)あなたの体の表面には圧力が働き、運動量がほんの少し変化します。これは、光を完全に避けるか、透明になる以外にはどうすることもできません。
だから、重力をはじめ、すべての力はすでに止められないわけです。
「自分に向かって突進してくるのを止められないもの」で考える
しかし、おそらくみなさんが考える「止められない力」という言葉は、これらの電磁波や重力のような「力」を意味するのではなく、「自分に向かって突進してくるのを止められないもの」を意味しているように思えます。
ゆえに、ここでいう止められない力とは、「押しても速度を変えることができない物体」のことであり、その物体は加速することができないということです。
「動かせない物体」と「止められない力」は同じもの
しかし、ちょっと待ってください、「加速できない物体」これは聞き覚えがありますね。
つまり、「止められない力」と「動かせない物体」は、異なる基準系から見れば同じものである、ということになります。
アインシュタインによると、質量が無限であればエネルギーも無限であるため、今のところこのような振る舞いをするものは宇宙では誰にも知られていません。
少なくとも、宇宙のすべてがその中にあるような大きなブラックホールになってしまうからです。
しかし、もし重力を無視して、加速不可能な物体が存在するとしたらどうでしょう?
まず、無限のパワーの源となり、100%幸せなユートピア社会に住むことができ、熱力学の第二法則を破り、おそらくポータルやタイムトラベルもできるでしょう。
無限のエネルギーがあれば、いろいろなことができますね。
「動かせない物体」と「止められない力」がお互いに衝突したらどうなるか
しかし、もっと重要なことは、もしこれらの2つの無限な質量をもち加速不可能な2つの物体が互いに向かって移動し、衝突したとしたら。
定義上、どちらかの速度が変化することはありえないので、唯一の可能性は、互いに全く影響を与えずに通り抜けることになります。