接着剤は、太古の昔から使われているのをご存知でしょうか?
なんと最古の接着剤(糊)についての証拠は、ネアンデルタール人によって描かれた洞窟壁画から発見されています。
古代人らは、ボンドやアロンアルファなどがない時代に、一体何から接着剤を作ったのでしょうか?不思議だと思いませんか?
実は、バーチタールと呼ばれるシラカバの樹皮を加熱して作った接着剤を絵具と混ぜて、壁画を洞窟内の湿気から守り(防水効果)、長期保存できるようにしていたと考えられています。
他にも、動物の骨や植物から接着剤を使って、武器や道具を作ったり、修理したりしていたと考えられています。
さて、現代の接着剤の原料にも、動物や魚の一部が使われているのをご存知ですか?
動物由来の接着剤なんてイメージし難いかもしれませんが、以下のように原材料を水の中で調理し、化学薬品を加えて様々なスタイルの接着剤が製造されているのです。
現代の接着剤の原材料とは
メーカーは通常、食肉処理場、皮なめし工場、食肉加工工場から動物の骨や組織を手に入れます。
接着剤の原料として使用される動物の体には、耳、尻尾、皮や皮革の切れ端や肉厚の部分、腱、骨、足などが含まれます。
そして、接着剤は動物性のものだけでなく、魚からも作られています。これらの接着剤の原料には、缶詰工場やその他の加工工場から出る魚の骨、うろこ、頭、皮などが含まれています。
製造工程
動物でも魚でもその骨や皮、皮膚それぞれの部位による接着剤のつくられ方は大部分が同じです。
洗い・浸漬
それぞれの部位を洗い、不純物や汚れを取り除いた後、水に浸して柔らかくします。
この柔らかくなった材料はストックと呼ばれ、その後、石灰の濃度を徐々に上げていく水槽に通されます。
こうすることで、動物の皮膚や皮が膨張して分解が促されます。
加温・加圧
膨張した皮革は洗い、酢酸や塩酸などで石灰分を取り除いた後、沸騰したお湯に入れてかき混ぜます。
その後、開放タンクか耐圧性の容器で、3、4回温度や圧力を上げる工程を繰り返すことで、ストックが糊に分解され、糊液と呼ばれる液体ができます。
温度やタイミングが正確でないと、業界標準の品質の糊はできません。
糊液は増粘のためにもう一度加熱され、それを冷やすとゼリーのように変化します。
そこから不純物を取り除き、のりを透明にするために、ミョウバンや酸などの化学薬品や卵白を加え、不純物を糊液の底に沈殿させます。
化学的な工程とは別に、メカニカルフィルター、ペーパーフィルター、ボーンチャースなど機械的な工程で接着剤を作ることもできます。
用途に応じて添加
ここからは、用途に応じて、色や要素を変えていきます。
糊を茶色や白、透明などにするには、亜硫酸、リン酸、ミョウバンなどの添加物を加えなければなりません。
ちなみに、学校用ののりを作るには、酸化亜鉛を加えます。
この時点では、のりは弱く水っぽい液体です。
これを真空蒸発器に入れて濃度を高め、いくつかの方法で乾燥させます。
その後、さまざまなチューブや容器、スティックに注がれ、業務用として使用されるのです。
このようにして、接着剤は歴史上、人々の生活において不可欠な役割を果たしてきたのです。
参照元:
・how is glue made
・Neanderthals May Have Been The First To Carefully Concoct This Substance