科学者らは、南米のサルの祖先が、いかだに乗って、アフリカから大西洋を横断したと考えています。
実際に、南米のサルは、アフリカのサルの子孫であることがDNAを調べた結果分かりました。
しかし、アフリカのサルが初めて南米に到着したとされる約3000万年前でさえ、これらの大陸は遠く離れていたはずです。
では、サルはどのようにしてアフリカから南米への後悔を成功させたのでしょうか。
以下に、サルによるアフリカから新天地への奇妙な海の旅について紹介します。
「いかだ」の旅が成功するための条件
サルがいかだに乗ったと言っても、ここでは、流木やワラの束、植物のマット(浮島や大陸の一部が剥がれたもの)に乗ったという意味です。
では、この信じがたい「冒険の旅」が実現するためにはどのような条件が必要かを考えてみましょう。
まず、植物のいかだ(何らかの理由でその上にたくさんのサルがいた)が、嵐によって陸から剥がれて海に流れていった。
第二に、そのいかだは波に何週間も浮かんでいて、バラバラに壊れない。
第三に、サルが航海を生き延びるためには、そのいかだに十分な食料と水がなければならない。
第四に、いかだはサルが実際に生育できる場所に着陸しなければならない。
第五に、そこで繁殖するためには、適切な年齢のオスとメスが十分に生き残らなければならない。
おそらくこれらのいずれも実際に起こる可能性は信じられないほど低く、すべてを叶えるのは天文学的な確率でしか起きないでしょう。
しかし、この他にはうまくいく説が考えられないのです。
海を渡る以外に方法はない
プレートテクトニクス(大陸が移動する仕組み)の研究から、サルが到着したと思われる3000万年前でさえ、アフリカ大陸と南米大陸はつながっていなかったことが分かっています。
したがってサルは単純に南米に陸の上を歩いて入ったわけではありません。
また、化石の研究から、それらの祖先の霊長類は泳ぎが得意ではなかったことも分かっています。
もしサルが歩かず、泳げず、飛べなかったとしたら、彼らがそこにたどり着く唯一の方法は海に浮かぶことだけでしょう。
実は、太古のいかだ下りが成功する可能性は、想像よりも高かったのではないかといわれる理由があります。
いかだの旅が成功する可能性はゼロではない
まず、当時は、東から西に流れる強力な赤道海流が今よりもさらに強かったと考えられています。
そのため、いかだはアフリカから漂流すると、基本的にまっすぐ西に向かい、おそらく数週間以内に南米に到着できたでしょう。
つまり、サルは航路に関してはそれほど問題ではなかったのです。
次に、当時は(今と同じように)大西洋に波がほとんどない時期があったことが分かっており、つまり、いかだが壊れなかった可能性が高いこと。
そして 3つ目。当時は熱帯地方ではほぼ毎日雨が降っていたことがわかっているので、サルは食料や水がいかだの上でも得られやすかったこと。
しかし、おそらく最も重要なのは、何回も繰り返していけば、極めてあり得ない出来事も実際に起こり得ることです。
動物たちのいかだの旅の成功例
サルを乗せた植物のいかだを海に流すほどの強い嵐は、2000年に一度しか起こらないとしても、数百万年の間に、航海が始まるチャンスは何千回もあり、そのうちの1回が成功すれば、サルは新天地にたどり着くことができます。
実際、科学者たちは、この種のいかだによる航海が、キツネザルの祖先をアフリカ本土からマダガスカルまで400マイル(643.7km)運んだのはほぼ間違いないと示しています。
また、爬虫類とネズミを南米の海岸から約600マイル(965.6km)離れたガラパゴス諸島まで同じような方法で運んだことも確信しています。
そして1995年には、科学者が実際に自然のいかだによる航海の記録に成功しています。
この記録ビデオは、15匹のグリーンイグアナをカリブ海で100マイル(160km)以上横断させてアンギラ島に運ぶ様子を収めました。
世界は広く、生き物の歴史は長いため、あり得ないことだと思っていることが、実際にはこれまで何度も起こってきたのです。
参照元
・The WEIRD Way Monkeys Got to America
・An eosimiid primate of South Asian affinities in the Paleogene of Western Amazonia and the origin of New World monkeys