今まで、太陽光発電の板で、どのようにして電気が生み出されているのか不思議に思ったことはありませんか?
これは、光を力学的エネルギーに代える「光電効果」と呼ばれる原理を取り入れた最も身近な例のひとつ。
太陽光電池をはじめ、人が近づくと開く自動扉(光センサー)もこの光電効果によるものです。
実は、この光電効果は、金属の原子に光を当てると電子が放出させる現象をいい、アインシュタインは、この理論を発見したことでノーベル賞を受賞しています。
とても興味深い仕組みなので、以下に光電効果について分かりやすくみていきましょう。
光電効果とは
光電効果とは、金属の表面に光などの電磁波が当たったときに起こる現象です。
イメージとしては、料金所を通過する車を例にみてみましょう。
高速道路の料金所では、通過する前に一定の金額を支払わないと通過できません。
光電効果もこれと同じような働きをします。
これは、光が光子と呼ばれる質量のない粒子でできており、一定のエネルギーを持つためです。
これらの光の衝突によって叩き落とされた電子は、光電子と呼ばれます。
料金所で例えると、近づいてくる車は光子、そのお金は光子のエネルギー値を表し、料金所を通過する行為は光電効果を表しています。
さて、もし車が大馬力のスーパーカーのような明るい光、専門的な言葉でいう高輝度の光であれば、料金所(金属表面に当たるとき)で、かなりの数の電子が打ち落とされると思いますか?
実はそうではありません。
光の振動数が一定以上にならないと光電効果は生まれない
光電効果が生じるのは、光の強度ではなく、光の振動数が関係しているのです。
光線の周波数が十分なエネルギーを与えられなかった場合、金属は熱せられるだけで光電子は放出されません。
この光電子が出るのに必要なエネルギー値を、金属の「限界周波数」といいます。
放出される電子の数は、光の強度に比例
このグラフを見てください。入射光の強さが増すにつれて、放出される光電子の数が増えていることがわかります。
金属表面から電子を放出させるのに必要な最小のエネルギー量を「仕事関数」といい、これが光電効果が起きる条件なのです。
十分なエネルギーを持つ光子が表面に当たれば、そのエネルギーを電子に伝え、電子を放出することができます。
入射光子のエネルギーが仕事関数より小さい場合、光の強さにかかわらず電子は放出されません。
この仕事関数と閾値周波数は密接に関係しています。
数学的に専門用語でいうと、仕事関数はプランク定数と閾値周波数の積に等しく、
簡単に言えば、ある物質の閾値周波数の値がわかれば、その物質の仕事関数を求めることができるのです。
光電効果を初めて観測したのは、1839年、フランスの物理学者アレクサンドル・エドモン・ベクレルでした。
銀板と銅板の間に、光を当てると電流が生じることを観測したのです。
その後、1905年に高名な科学者アルベルト・アインシュタインが光と物質の相互作用を説明し、光についての理解に革命をもたらしました。
その功績により、アインシュタインはノーベル物理学賞を受賞し、この彼の理論が太陽電池の発明につながりました。
その後も研究がすすみ、現在の太陽光発電の主な素材にはシリコンが使われています。
このようにして光電効果は、現実の世界で多くの実用的な用途があります。
光電効果については、以下の動画で確認することができます。