インクジェットプリンタは、(黒以外)3つの色「C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)」しかありません。
この3色で、あれほど鮮明な画像をつくるなんて不思議だと思いませんか?
一体、どのように色を生み出しているのでしょうか?そもそも、なぜ青・赤・黄色ではいけないのでしょうか?
以下に、色彩科学におけるインクジェット プリンターの内部の仕組みをもとに探ってみましょう。
インクが出る仕組み
まず、基本的な白黒プリンターについて考えてみましょう。
白黒印刷では、点描画のように多くの黒い「点」の集合で画像を印刷できる仕組みとなっています。
これらの点は、出口が小さいノズルから放出されるインクの水滴によって生成されます。
ノズルの後ろには100度のヒーター(発熱抵抗体)があり、近くのインクを加熱します。加熱されると蒸気が気泡となって、インクを押し出します。
インクが押し出されるとそこに空洞が生まれて、空気が入ります。
すると、表面張力によって減った分だけ新しいインクが足されて再びノズルがインクで満たされます。
インクの水滴が、点となって紙に落ちたら、ローラーが紙の残りの領域に移動して新たな場所にインクを落とす仕組みです。
カラー印刷の仕組み
カラー印刷は、青・黄色・赤の3色を使って異なる色を生み出します。
たとえば、絵具では緑と赤では、黒っぽく濁った黄色が生まれます。
ただし、これでは色がにごってしまうた、プリンターでは色を混ぜるのではなく、点の配置によって目の錯覚を利用して色を生み出しています。
これを理解するには、分子レベルでインクについて調べていきましょう。
赤い分子は赤以外のすべてを吸収するため、赤い色のみが私たちの目に見えることはわかっています。
つまり、インクの色に見えるのは、吸収された後に残った色。緑色の場合も同様です。
ただし、ここで方の色を混ぜると面白くなります。
まず、1層の分子が完全に表面を埋めることはできないため、2層で考える必要があります。
ここでは、異なる色の分子が均一に混ざった場合を例に、図に示すように、下の緑の分子から始めましょう。
下の層の緑の分子は緑の光を反射しますが、この緑の光は上の分子層を通過する必要があります。
そこで、上が緑の分子であれば緑の光だけを通しますが、隣接する赤を通過する場合は、この緑の光は完全に吸収されてしまい、その領域は黒色を生成します。
次に、下の赤い分子から反射する光も同じように分析すると、赤と緑の光の間に黒がかなりの割合で存在し、それが影響して私たちの目には、どうしても黒く濁った黄色に見えてしまいます。
これは、白髪の人が実際には白と黒の髪の毛しかないのに、グレイヘアに見えるのと同じです。
この濁った色になる問題を解決するのは簡単です。
色をきれいにするための解決策
この問題の解決策は簡単で、基本色を反転(色相環で正反対に位置する色と置き換え)するだけです。
赤、緑、青の反転色といえば、それぞれシアン:C、マゼンタ:M、イエロー:Yです。
さて、お気づきになられたでしょうか?これらは今日のプリンターで使用されている色ですね。
たとえば、これらのCYM3色を使用して緑色を生成する場合、最初にノズルからシアンのインク滴を放出します。
この滴が乾燥する前に、同じ場所に黄色の液滴を放出します。
これら2色を混ぜると、完璧な緑色が生成されます。
しばらくすると、液滴は紙に吸収され、結果、緑の点が得られます。このようにしてほとんどの色を完璧に生成できます。
色の濃淡の出し方
では、色の濃淡はどのように出しているのでしょうか?
このように明るい色合いの緑色を生成することはできませんが、これを実現するために、賢いエンジニアは私たちの目の錯覚を利用しました。
彼らは通常の緑色を異なる間隔で印刷しただけです。
間隔を広げると、脳が明るい色合いに見えるようにだまされます。
次は、より暗い色合いを生成する方法です。
暗い色合いは、c m および y を使用するだけでは実現できません。
そのため、プリンターは黒インクも使用する必要があります。
ただし、濃い緑色を作りたいなら、黒のインク滴を緑色に混ぜるだけではうまく色ができません。
そこでここでも異なる色合いを正確に実現する方法を、エンジニアは思いつきました。私たちの目の錯覚を利用してだますのです。
その方法は、緑の水滴の間に黒のインク滴を落とすだけです。
結果的に、緑の色合いに応じて、脳が暗い色合いを見ているようにだまされます。
このようにして、インク滴が小さいほど、印刷品質が高くなります。
インクジェットプリンタの仕組みについては動画で詳しく確認できます。