みなさんの中には、木製のまな板は多孔質なのでバクテリアの温床になってしまうのではないかと心配な人もいるかもしれません。
確かに木の表面は、バクテリアを吸着して保持しますが、実際にはバクテリアを捕らえて増殖を防ぐ天然の抗菌作用をもつことがわかってきました。
しかし、現代では、食器洗い機が使えて手入れが楽なプラスチック製まな板も主流になっています。
ではいったいどちらを選べばよいのでしょうか?
以下に木製とプラスチックのまな板を中心に比較し、まな板について知っておくべきことを紹介します。
プラスチック製のまな板のメリット・デメリット
軽量で比較的安価なプラスチック製のまな板は、食器洗い機に入れて高温で洗うことで除菌することができるので、手入れが楽なメリットがあります。
しかし、包丁による傷が表面につきやすく、そうしてできた小さな溝が細菌の温床になりやすいため、使う度にきちんと洗浄する必要があります。
木製のまな板のメリット・デメリット
一方で、木材のほとんどは、天然の抗菌作用を持っています。
さらに木材は、やすりで表面の溝を研磨し、細菌の温床をなくすこともできます。ただし、木製のまな板は、絶対に食器洗い機の使用ができないため、手入れには少し手間がかかるかもしれません。
まな板に使われる木の種類によっても違いがあります。
これについては、ノースカロライナ州立大学の食品安全研究者、ベン・チャップマン氏は次のようにいいます。
「カエデのような広葉樹は、木目が細かく、その毛細管現象(もうさいかんげんしょう)によって液体が吸い上げられ、細菌が閉じ込められます。洗浄後、板が乾燥すると細菌は死滅します。」
また、広葉樹は強度はありますが、包丁の切れ味を鈍くさせにくい点からまな板を作るのに最適な素材だと考えられています。
ヒノキのようなやわらかい木材は、包丁を傷めにくい反面、木目が大きく表面に傷がつきやすいので、木材の中では細菌の繁殖する溝ができやすい面もあります。
竹や圧縮木材で作られたまな板は、包丁の切れ味が早い段階で悪くなりやすいのであまりおすすめできません。
larchwood(カラマツ)から得られる「ラーチウッド」と呼ばれる木材をはじめとするカラマツは丈夫な木材でかつ包丁を傷めるほど硬くはなく、目が詰まっているので、木材の染みが付きにくく、バクテリアを繁殖させるようなものを吸収しにくい特徴があります。
包丁への負担も少なく、まな板にも傷がつきにくいようです。
どんなまな板が最適か?
まな板の素材に関わらず、滑らないようにゴム足のようなものがついている場合もあります。これは表面とまな板の隙間に空気を循環させる隙間にもなります。
このゴム足が無い場合、調理中に滑るのを防ぐためにまな板の下に濡れ布巾を置くことで、安全に食材を切る手助けとなります。
チャップマン氏は、他にも「肉にはプラスチック製まな板を、果物や野菜、すぐに食べられるもの(パンやチーズなど)には木製のまな板を使うとよい」といいます。
手入れの違い
食器洗い機が使えるか使えないか以外にも、素材によって除菌方法も異なります。
プラスチックの場合は市販の漂白剤と水を混ぜたものでも問題ありませんが、木製のまな板の場合は、第四級アンモニウム除菌剤を使った方がよいようです。
木製の場合、塩素が木の有機物と結合しやすく、抗菌性を中和してしまうからです。一方で、第4級アンモニウムは、木材などの有機物表面の細菌に効果的なのです。
いずれの素材においても、まな板の肉汁に触れた布巾やスポンジ、ブラシなども除菌することを忘れないでください。
まな板を洗う際の重要なステップは、適切に乾燥させることです。湿気は細菌の増殖につながるため、風通しの良い場所に置くようにしてください。木製のまな板の表面に塩をまぶすと、湿気が抜けて細菌汚染を防ぐのに役立ちます。
そして、繰り返し使ううちにまな板の溝が深くなってきたら、こすり洗いや除菌だけでは十分ではなくなるため、買い替えが必要となるでしょう。
溝が大きく多いほど、湿気がこもって菌が増殖しやすくなります。
参照元:https://news.ncsu.edu/2014/09/cutting-boards-food-safety/
プラスチック製まな板 vs 木製まな板については以下の動画でくわしく見ることができます。