生きているアリを捕まえて、ペンでその周りに円を描くと、アリはとても奇妙な行動をとります。
その円の中を走り回り、それを越えることができず、閉じ込められてしまうのです。
私たちにとっては単なるインクの線でも、どうやらアリには越えられない国境線になってしまうようです。
以下に、なぜアリがペンで描いた円に閉じ込められるのか、その理由をみていきましょう。
アリの道しるべフェロモン(誘引物質)
アリは、自分の通ってきた道にフェロモンの跡を残します。
集団生活をする昆虫によく使われるフェロモンですが、特に視力が良くないアリは、嗅覚など他の感覚器官に頼る傾向があります。
そのため、アリは、腹部からフェロモンを分泌し、コロニー内での他の仲間とのコミュニケーションや、家に帰るのに役立つ誘導線として使うのです。
これは効果的な生存戦略です。
ペンで方向感覚が失われる
しかし、あなたがペンで、フェロモンのにおいを遮ると、アリは移動する方向を識別できず、自分がどこにいるのか、どうやってそこにたどり着いたのか方向感覚を失ってしまいます。
ペンで描いた線は、単なる障害物ではありません。
ペンの跡は濡れて滑りやすいうえ、悪臭を放つインクで覆われているので、アリはそこをできる限り踏まないようにするのです。
インクの種類によっては、昆虫が外に出るまでに数分から数時間かかる場合があり、ある種のアリは、本能を混乱させて出口を見つけることができずに疲れ果てて命を落としてしまいます。
チョークで引いた境界線も同様の忌避剤としてアリを寄せ付けない働きをします。アリは、それを避けようとし、時にはその中に閉じ込められることもあるのです。
アリだけではありません、フェロモンを使う他の多くの昆虫がこの罠にかかりやすいといわれています。
アリは複雑な組織を持っていますが、驚くほど操作されやすいのです。
アリはだまされやすい
アリは、通り道に一人で運ぶことができないようなエサがあった場合、フェロモンの痕跡を残して助けを求めます。
そこで、アリが去った後にエサを取り除いたらどうなるでしょうか?
エサはなくてもフェロモンの足跡は残るため、そこにエサがあると思い込ませることができます。
その結果、しばらく経つと(エサが無いにもかかわらず)アリが列をなしてたくさん集まってきます。
アリにとってのネガティブな化学信号
アリに限らず、ほとんどの動物は環境中の化学信号を感知することができ、それらの信号を使ってコミュニケーションをとる動物もいます。
この種の化学信号はポジティブなもので、仲間や異性を惹きつけることを意図しているため、誘引物質と呼ばれます。
これらの忌避物質は役に立つこともあり、化学薬品会社がこの負の化学シグナルを利用して防虫剤として利用していますが、虫だけでなく、他のペットや子供に悪影響を与えることもあるので注意が必要です。
そのような場合、アリの行く手を阻止するための負のシグナルとして、塩、酢やレモン汁、重層、タバスコ、赤唐辛子や黒胡椒などの香辛料、シナモンやミント、ローリエなどのハーブ、ニンニク、タマネギなど、身近なものも忌避剤として効果的だといわれています。
いかがでしたか?
次にピクニックをアリに台無しにされたくないなら、食べ物にアリを寄せ付けないためにマジックペンを使うと市販の防虫剤よりも楽しい経験ができるかもしれませんね。
参照元:Why Will Ants Stay to Death If You Draw a Circle Around Them?