プクっと膨れたフグのお腹の中はどうなってるの?

2021年9月29日

フグは、「膨らむ」ことができる魚。

ハリセンボンのような一部のフグにおいては、まさにボールのようにまん丸になります。

彼らは、一見制御不能な状態で水中を移動しているように見えますが、フグの中を覗いてみると、その脅威に驚くでしょう。

フグは風船ではありません。

その中にあるのは空気ではなく、水です。

今回は、フグが敵から身を守るために身に着けた恐ろしい体の機能について紹介します。

フグはどうやってお腹を膨らませているのか

ブラウン大学の生物学者でフグの専門家であるエリザベス・ブレイナードさんは、フグについて次のようにいいます。

まず、フグはどうやって体を膨らませているか分かりますか?

実は、大量の水を口に含んで胃に送り込んでいるのです。

そして、体が完全に膨らむまで、ポンプのように10回でも15回でもそれを繰り返し、大きく膨れた状態を保ちます。

実は、これにはかなり高度な生物学的技術が必要です。

フグのお腹の構造と仕組み

まずは、胃です。

フグの胃は、アコーディオンのように何重もの小さなひだでできています。

このヒダの構造のおかげで、胃の中に水が入っても破裂せずに膨らむことができるのです。

なんと、フグは膨らむと元の大きさの3倍にもなります。

平均的な人間のウエストが3メートルに膨らむようなものです。

しかし、この驚くべき能力には欠点があります。

フグが体を膨らませる機能によるデメリット

フグの胃は、膨らむ能力を得る代わりに、食べ物を消化する機能を失っています。

つまり、腸がすべての仕事をしなければならないのです。

どうやら、敵から身を守る防御力の重要性を考えて、フグの進化は、胃の消化能力を放棄してしまったようです。

フグはただ膨らむだけではない

実のところ、胃が膨らむことは、フグのもつ奇妙な機能のひとつに過ぎません。

例えば、フグには他の魚にはない特殊な筋肉があります。

水分を胃に送り込むためにポンプを役割をする口の筋肉や、胃の中に入った水をとどめておくために排水栓のように塞ぐ食道の筋肉です。

そして、お腹の底には、収縮して水を排出するための特殊な筋肉もあります。

フグの骨は不完全

さらに、もっと奇妙なのは、フグには肋骨や骨盤がないことです。

つまり、フグには基本的な骨がないのです。

これは、フグにとっては良いことです。そうでなければ、骨が膨張の邪魔になるからです。

実際、ブレイナード氏によると、もし、この欠落した骨がなければフグが現在のように進化し、膨らむという防御力をつけることはなかったでしょう。

フグが身を守るために身に着けた脅威の能力

ある研究では、鳥が狩りをする様子を観察しました。

鳥たちは11匹のフグを釣り上げましたが、そのうちの半分近くを落としてしまいました。

フグが膨らみ始めたからです。

しかし、もっと驚いたのは、くちばしが空になった鳥たちは実はラッキーだったという事実。

というのも、フグにはもう1つもっと強力な防御手段があるからです。

フグの体には、テトロドトキシンという神経毒が仕込まれています。これは、青酸カリの1,200倍もの毒性があります。

フグ1匹で大人の人間を30人も殺せるほどの猛毒です。

フグの毒性は世界の脊椎動物の中で2番目に強いと言われています。

我々人間は、それを実際に食べているのも驚くべきことです。

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