科学者は、巨大なティタノサウルスの体温が38度だったと確信しています。
しかし、そもそも恐竜の体温を測れるなんて不思議だと思いませんか?
恐竜は絶滅していますし、生きていたとしても体温計はどこに入れて測るのでしょうか?
実際に恐竜についてわからないことはたくさんあります。
たとえば、恐竜の鳴き声がどのようなものだったのか、なぜ恐竜(剣竜)の背中に板やトゲのようなものがあったのか、恐竜がどのように交尾していたのか、ほとんど何もわかっていません。
しかし、分からないことばかりにもかかわらず、恐竜について科学者らが驚くほど確信を持っている奇妙なことが1つあります。
それが恐竜の体温についてです。
以下に、恐竜の体温について詳しくみていきましょう。
恐竜の体温って何度?
科学者らは、ティタノサウルスの体温は38度で、他の恐竜の体温はそれぞれに異なっていたといいます。
例えば、卵泥棒として知られる小型恐竜「オヴィラプトル」の体温はもっと低い32度で、アヒルのような口をもつマイアサウラは44度前後だったと考えられています。
私たちが知っている恐竜のほとんどは、体温が36度から38度で、ワニよりも温かく、現代の鳥類よりも体温が低かったようです。
恐竜はどうやって体温を維持していたのか?
長い間、恐竜は体内で熱を発生させることで体温を維持していたのか(内温性)、それとも周囲から熱を吸収することで体温を維持していたのか(外温性)が、科学者たちの間で議論されてきました。
これらの戦略は、しばしば温血動物や冷血動物とも呼ばれます。
しかし、その呼び方がどうであれ、科学者たちはついに恐竜の体温を推測する方法を発見し、論争に決着をつけることができたようです。
その方法は下記です。
恐竜の体温の測定方法
科学者たちが体温を測定できるのは、バイオアパタイト(bioapatite)と呼ばれる骨や歯に蓄積される丈夫な結晶のような鉱物のおかげです。
バイオアパタイトは、そのほとんどが炭素と酸素を含んでいますが、その炭素と酸素の原子はすべて同じではありません。
重い同位体、具体的にはC-13とO-18は、より一般的で軽い炭素と酸素の同位体よりも、互いに強く引き合う性質を持っています。
そのため、これらの原子が集まって鉱物を形成するとき、偶然にランダムにくっつくことはありません。
その代わり、これらの重い同位体同士がより結合しやすくなるのです。
しかし、温度を上げると、重い同位体同士が結合する機会は少なくなります。
そのため、気温の高いところで形成された骨は、気温の低いところで形成された骨に比べて、重炭素と重酸素の結合が少なくなります。
つまり、骨のサンプルに含まれる重同位体の結合の割合から、骨が形成されたときの気温の高低を記録することができます。
これによって、恐竜の舌の下に温度計を入れなくても、体温を推測することができるのです。
恐竜の体温戦略
こうして、ティタノサウルスの体温が摂氏38度であったことがわかったのです。
科学者たちが収集した体温データから、ティタノサウルスのように、ほとんどの恐竜は周囲の環境よりも体温が高かった可能性が高いといえます。
しかし、別の戦略をとる恐竜も多くいたようです。
彼らは、体内で発生する熱と環境からの熱を組み合わせて体温を維持し、場合によっては体温を調節することもできました。
たとえば、トロオドン(Troodon)と呼ばれる鳥のような羽毛恐竜は、通常の体温は42度ととても高い一方で、食べ物が不足していた時には、体温を29度まで下げることができたと考えられています。
科学者たちは、トロオドンの変動する体温の詳細について、骨を分析することによってではなく、同じ温度に敏感な物質を含む卵の殻の化石の分析から完全に知ることができました。
我々はトロオドンについて多くを知らないので、その体温を測定し、体温の変動を検出できることはとても興味深い話でした。
恐竜の体温については、以下の動画で見ることができます。