いつもより、長めにお風呂に浸かると、手足の指がレーズンのようにシワシワにふやけてしまうのはなぜでしょうか?
実は、科学者たちも同じような疑問を抱き、その原因は、肌がもつ特別な構造に関係していることを発見しました。
しかも、この指にできるシワは、ある目的のために人間が進化させてきたものだったのです。
ここでは、お風呂やプールに長い間浸かったときに、手足の指がシワシワにふやけてしまう理由やシワは何のためにできるのかについて分かりやすく紹介します。
手足の指にシワができる理由
体のすべての表面を覆っている皮膚は、(外からは分かりにくいのですが)何層もの厚さの異なる層で構成されています。
皮膚の内部をクローズアップしていくと、深部(真皮層)には血液や栄養を体中に運ぶための血管があります。
血管はとても細くて小さいにもかかわらず、収縮して血流や体温を調節するなど、重要な役割を果たしている大切な器官です。
体が長い間水に浸かっていた場合、皮膚内部の血管が収縮し始めます。すると、血管が張り巡らされている厚い層が薄くなります。
その結果、普段は内側から真皮に支えられている角質層がリラックスして少し緩んでしまいます。これがシワの原因となります。
そして、皮膚の余分な水分が渇くと、毛細血管は再度膨張して、すべてが元通りに戻ります。
シワは何のためにできるのか?
まだはっきりと分かっているわけではありませんが、科学者たちは、たくさんの実験を行った結果、手足にできるシワは、水で滑るのを防ぐためにあると解明しました。
人は、指の皮膚がふやけてシワができることで、水で滑りやすい物をつかんだり、落とさないように維持したりできるように進化してきたのです。
ある実験で、科学者たちが参加者に、指にシワができるまで手を水に浸した後、その手で、水の中にある滑りやすい小物を拾い上げるようにお願いしました。
そして、指がふやけていない人にも同じようにしてもらい、それを比較したところ、シワがある人の方が滑りやすい物をより速くつかみ上げることができたのです。
以上の実験から、指のシワは、水に濡れたときの手のグリップ力を高めることが分かりました。
足の指のシワの役割
靴下やスリッパの底にあるゴムのような突起や車のタイヤにある溝は、床や路面で滑って転倒するのを防ぐためのものです。
実は、足の指のシワにも同様の役割があります。水で塗れたところでは、人は滑りやすいので、シワの凹凸が摩擦になり、滑り止めに有効な働きをしているのです。