ペットボトルの水を飲むのをやめたほうがいい理由

2017年12月 5日

もしあなたが、「水を飲むならペットボトルより水道水の方が、安心だし健康的だ」と考えているなら、(井戸水を除き)大半のケースでそれは間違いです。

たしかにペットボトルの水は、スーパーや自販機で飲みたいときに簡単に手に入るうえ、使い捨てできて、持ち運びもしやすく利便性抜群。

ミネラルウォーター市場は、まさに拡大し続けています。

しかし、一方でアメリカの専門家たちは、飲料水としての安心、安全面を考えると、水道水という低価格の選択肢の方が、あなたの長期的な健康によい結果をもたらすかもしれないといいます。

そこで今回は、ペットボトルよりも水道水の方がよいと考られている理由を、有名なジャーナリズムの教授であるマッケイ・ジェンキンス(Mckay Jenkins)氏の説明をもとに分かりやすく紹介します。

「あなたの飲料水はどこで、どのようにして生まれたものですか?」
「どのくらい安全ですか?」

果たしてどれくらいの人が、本当に自信をもってこれらの質問に答えることができるのでしょうか。

残念ながら私たちは、見事に企業のイメージ戦略にはまり、水道水の1000倍も2000倍もするペットボトルの水を選んでしまうようです。

ペットボトル入りの水と水道水の安全性の比較

スイスに拠点をおく世界自然保護基金の報告書によると、「ペットボトル入りのミネラルウォーターは、水道水に比べて安全面でも健康面でも劣る選択肢ですが、価格では1000倍にもなる」と示されています。

私たちが飲む水は、誰かの手によって管理されていますが、それが誰かによって、安全性は大きく異なります。

水道水は、政府によって水質基準が厳しく定められており、管理されています。

日本の場合も、水道法によって水質検査は義務化されており、厚生労働省が定めた51項目に及ぶ、雑菌や濁度などの細かい水質基準をもとに、品質や汚染度が日々監視されています。

それに対して、ペットボトルのミネラルウォーターは、水道水よりも検査のチェック項目が少なく、水質基準値が甘く設けられている(食品衛生法)のが実態です。

ペットボトルの水源や原料

一般的にペットボトルの水は、水道水に対してミネラルウォーターと呼ばれ、農林水産省によって下記に分けて考えられています。

湧水や井戸水も含む地下水を原料としたナチュラルウォーター

それに地下の天然由来のミネラル成分が入り、最低限の処理で販売された水がナチュラルミネラルウォーターと呼ばれます。いわゆる天然水です。

水源を問わず、あとからミネラル成分を人工的に添加し、安全のための処理や検査が行われた水がミネラルウォーター

その他にも、飲み水用の基準を満たした水をボトルウォーターといい、これには水道水をろ過処理した純水をはじめ、複数の水源からの水を混ぜたもの、なかには水道水をただパック詰めしただけのものまでさまざまなものがあります。

アメリカでは、実際に市販のペットボトルの水を調査したところ、水道水を詰めただけで安全性の試験さえ行われていなかったものが半数近くにも及んだことが発覚し、人々を驚かさせました。

日本の場合、世界的にみても水に対する安全基準は高く、両者とも安全上の問題はクリアしているようですが、ペットボトルの市販水には消毒用の塩素が入っていないため、開封後は、雑菌が繁殖しやすいので早めに飲む必要があることは覚えておいた方がよさそうです。

ペットボトルの容器の問題

水質にとどまらず、ペットボトルの水には、フタル酸エステル類と呼ばれる環境ホルモンが検出されるなど容器にも大きな問題があります。

フタル酸エステル類とは、ペットボトルを加工しやすくするために使われている添加剤です。

男性の精子数の減少や精細管の萎縮、女性の妊娠率の低下などといった健康への影響が報告されています。

このような有害な化学物質は、ペットボトルだけでなくプラスチックで包装されていればどんなものであれ、製造過程や保存過程で飲料や食糧品に溶けす可能性があるというのです。

それを体内に取り込むと、内分泌系(ホルモンを生成し、血液中を通じて全身を巡らせる器官)に悪影響を与える(内分泌攪乱作用がある)ことも危険視されています。

これらを考えると、ペットボトルの水は、本当の意味で「純水」と考えられるべきか疑問視する意見があるのは否定できません。

詳しくは「プラスチック製品を食品用に使うのは今すぐやめるべき」といわれる理由を参照ください。

最も重要な問題点

実のところ問題は、飲む量にあるのではありません。それよりもペットボトルの水を習慣的に飲み続けることによって、体内に吸収、蓄積された有害物質量が増え、長い年月をかけて健康を害する危険性です。

水だけでなく、私たちの身近には、シャンプーや化粧品、除光液などさまざまな有毒物質が溢れており、それらがあわさって体内に累積しています。

そして、これらの有害物質が組み合わさった場合に引き起こされる人体への影響は、明確に調査されていないのです。

それには、ペットボトルが初めて世に出たのが1970年代と歴史が浅く、研究データが少ないことも関係しています。

実のところ、フタル酸エステル類の内分泌系への作用や発がん性、生殖器への毒性などといった人体への影響は、明らかにされていないことがあまりにも多いため、日本政府もまだ規制の見直しを考えているという段階です。

化学物質の規制に失敗した世界

願わくば、ペットボトル飲料水の製造側が、有害物質が水に溶けだすのを防ぐ対策を行うことを期待したいところです。

しかし、残念ながら、アメリカのボトル飲料製造者らは、販売拡大に不利な情報を抑えるために、1996年以来連邦選挙キャンペーンに4,700万ドルを拠出し、ワシントンでのロビー活動に年間3000万ドルを費やしているのが実態。

化学物質にさらされた世界で、自分や愛する子供たちの口に入るものが何であるのか、毒素が含まれているのかなどといった「真実」についての情報は得るのが難しく、理解が難しく、人々にはなかなか浸透しにくいという課題が残されています。

年間220億ドルもの市場を生み出すペットボトル業界は、ボトルに年間150万トンものプラスチックを使用しています。

ご存知の通り、プラスチック製品は、原油の副産物から作られています。

プラスチックの製造と廃棄は、有害化学物質を環境に放出するだけではなく、オゾン層の脅威となる二酸化炭素の放出の原因にもなるのです。

飲料水としての水道水の利用について

そうはいっても、水道水も、それほど素晴らしいものではありません。

老朽化した水道管から溶け出した鉛やサビ、病原微生物や雑菌の消毒に使用される塩素によって生じる有害物質の問題、政府の直接的な管轄外であるビルの給水タンクの衛生問題など、数多くの課題はあります。

水道水をろ過できるフィルターもよい選択肢ですが、安価なものを使うとカルキ臭や塩素の除去能力が低く、性能が高いものは高価になってしまいます。

また、フィルターによって消毒目的で含まれている塩素が取り除かれているため、フィルター交換やメンテナンスを適切に行わなければ、出口付近やフィルター自体が細菌の温床になってしまう可能性もあります。

しかし、正直なところ、どのような浄水器やフィルターを使ったとしても、水道水の有害物質を完全に取り除くことは不可能だといわれています。もし可能なら、そもそも自治体の浄化処理施設の必要性などありません。

最後に

私たちは、化学物質の規制に失敗した世界で生きています。

合成化学物質の生産と使用が、私たちの健康と環境への影響を監視する能力を大幅に上回っているのです。

ことわざ「覆水盆に返らず」にもあるように、健康を害してしまってからでは、もう取り返しがつきません。

ペットボトル入りの水は、安全な飲料水の供給源がない世界の一部の地域では必需品かもしれません。

しかし、公共の水が十分に供給されている国の消費者にとっては、選択肢の一つにすぎず、健康的な水を確保するための長期的に持続可能な解決策ではありません

きれいな水は、基本的な権利です。

川や湿地帯、自然を保護することは、水道水が、すべての人に良質な飲料水を公正な価格で提供するサービスとしてあり続けるために役立つのです。

ジェンキンス氏は、最後に、次のようなメッセージを残しています。

「アメリカでは、ニューヨーク州のマンハッタンが最もきれいな水だといわれています。それは、水資源がキャッツキル山地やクロトン貯水池のような自然にあふれた地域であるためです

安全な飲み水は、自然によってのみもたらされています

私たちには、この自然を守るために何ができるかを考えていかなければならないときがきているのです」

マッケイ・ジェンキンス氏は、自らの癌の発症を機に、日々の生活に実在する化学物質の脅威を調査し、私たちの身体から毒素化合物を遠ざけるための実用的なアドバイスを記した「汚染:有毒社会で生きぬくための探求(ContamiNation: My Quest to Survive in a Toxic World)」の著者でもあります。

まめ知識:軟水と硬水の違いって何?

軟水と硬水を見比べた時、見た目や匂いなどから違いを言える人は果たしてどれくらいいるのでしょうか。

おそらく、ほとんどの人が実際に飲んでみても、違いを正確に言い当てることは難しいかもしれません。

軟水と硬水は、カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分の含有量の違いによって区別されます。

一般的に、天然水は、雨(雪)水が地層でろ過される工程、または、河川や海の中で、自然の岩や土から溶け出たミネラル成分を吸収して硬水になります。

一方で軟水は、雨水のように自然の岩や土に長時間触れていないミネラル成分が少ない水です。

高い山々が多いヨーロッパでは、長い時間をかけて水が地層から湧き出るので、天然水はミネラル成分を多く含み、硬度が高い傾向がありますが、日本の場合は、ほとんどが軟水だといわれています。

じつは、自然界では、水は一定ではなく、水の循環によって硬質から軟質に変化しています。基本的に海水や河川の水は、硬度が強い傾向がありますが、水が蒸発して雨になる過程でミネラル成分が抜けて軟水になります。

特徴

実際に生活していくうえで、軟水と硬水の違いが一番分かりやすいのがお風呂だといわれています。

硬水は、成分のマグネシウムが、石鹸の主成分であるステアリンに反応して、ステアリン酸マグネシウム(不溶性の化合物)になると、泡立ちの邪魔をするようになるため、石鹸が泡立ちにくい特徴があります。

また、硬水は、石鹸カスや風呂あかが、お風呂のバスタブにつきやすく、加熱や蒸発した時に生じる石灰のかすが、蛇口や水周りに付着しやすいので、ヨーロッパでは、水を一度加熱して、軟水にしてから使用されることもあるようです。

基本的に、緑茶や紅茶、コーヒー、煮物などは、クセがない軟水の方が、素材がもつ香りや風味が出やすいので好まれています。また、日本人は、口当たりが柔らかい軟水に慣れているので、硬水は飲みにくいと感じることもあるかもしれません。