なぜ男性にはヒゲが濃い人と薄い人がいるのか?ヒゲが濃い人はハゲやすいって本当?

2020年3月24日

ある男性が友人と2週間にわたってヒゲを剃らずに伸ばしてみたところ、おもしろいことに結果は全く異なるものとなりました。

一方の男性は、無精ヒゲのような短い毛が全体的に薄く広がって、生え方にもむらがあるのに対して、もう一方の男性はふさふさとした濃いヒゲが鼻から顎の下にかけてびっしりと生えたのです。

同じ年齢であるにも関わらずこの2人の男性は、なぜここまでヒゲの生え方に違いがあるのでしょうか?

歴史的な人物をみても、ヒトラーやチャップリンのようなチョビ髭(ひげ)であったり、グリゴリー・ラスプーチンのようなぼうぼうのヒゲであったり、ほとんどといっていいほど生えない人物もいたりと、さまざまなヒゲの生え方がみられます。

そこでここでは、ヒゲの生え方が人によって異なる理由について、皮膚科医チュワレクさんの興味深い話をもとに紹介します。

どうやらヒゲを濃く長く生やすのには、ホルモンの情報を受け取る受容体が深く関わっているようです。そして、驚いたことに、それらのホルモンや受容体の働きは、頭では髪を薄くしてしまうこともあるようです。

ヒゲの生え方に個人差がある理由

なぜ、ひげが生えやすい人と生えにくい人がいるのでしょうか。

実のところ、ヒゲの生え方や伸び方は、ホルモンだけでなく遺伝学にも基づいています。

一部の男性は、他より多くの毛包を持っています。毛包とは、哺乳類が毛を産生し、伸ばす時の道となり、常に毛を守っている組織です。通常、私たちが目にする毛穴は、毛包の上側の一部分にすぎません。

一般的に、この毛包が多い人は、他の人よりも密で粗いひげを生やすことができると考えられています。

まず「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンが、この毛包で、酵素の働きによってデヒドロテストステ口ンと呼ばれるより強力な男性ホルモンに変換されます。

毛包のなかには、このホルモンに敏感に反応する受容体があり、それが毛の成長を刺激することが濃いヒゲにつながっているのです。

さて、ヒゲは男らしさの象徴だとする文化をもつ国では、ヒゲが薄いことにコンプレックスをもつ人もいますが、そういった人がふさふさとしたヒゲを生やすのは難しいのでしょうか?

おそらく、ふさふさとしてヒゲが生えやすい人には、より太く、長く、粗いヒゲの成長を刺激するホルモンに敏感に反応する受容体が多く、遺伝子的な要因が後押ししている可能性があります。

ヒゲの濃さを決めるのは何か?

それでは、ヒゲのような体のいくつかの領域で毛が生えにくい人は、テストステロンのような男性ホルモンレベルが低いのでしょうか?

ヒゲが生えにくい、または生え方にむらがある男性も、通常テストステロンレベルは正常で、不足しているわけではありません。

そのため、これまでに人々は、濃くてふさふさとしたヒゲが生える可能性を高めるためにさまざまなことを試してきました。

よく、頻繁に毛を剃れば、毛の成長に影響を与えられると勘違いされることがありますが、残念ながらそれは解決策にはなりません。

なぜならシェービングは、皮膚の表面で、ただ毛を切り落とすだけであって、実際に毛がどれだけ速く濃く成長するかといった育毛をコントロールしているのは、皮膚のもっと深層の部位で起こるからです。

ミノキシジルが育毛に効果があると信じる人もいます。これは、海外で「ロゲイン」という名で知られる血管拡張薬です。

しかし、育毛が遺伝的なものだと仮定すると、ヒゲの成長を少しは刺激する可能性はありますが、それほどの効果は期待できないようです。

薄毛への影響

どうやら毛包の受容体が血中のデヒドロテストステ口ンやアンドロゲンといった男性ホルモンとどのように相互作用するかにすべてかかっているようです。

しかし、興味深いことに、このヒゲの成長を促す受容体は、頭髪では成長を抑えるという相反する働きをする場合があります。これも遺伝的な要素によって決まるようです。

つまり、遺伝的に男性ホルモンに敏感に反応する受容体をもつ人ほど濃くて長いヒゲが生えやすい一方で、はげやすい可能性もあるということです。

遺伝学によると、男性のハゲは、母方のX染色体上にあるアンドロゲン受容体遺伝子から継承される傾向が高いと考えられています。父親がはげている場合よりも兄弟にはげやすい人がいる場合の方が確率は高いといえます。

しかし、男性のハゲは実際にはとても複雑でこの限りではありません。遺伝的に可能性は高くとも、はげない人も存在します。

それには、遺伝的な要素の他に、ストレスや睡眠、喫煙、栄養管理などが与えるホルモンバランスの影響などさまざまな要因が関わっているようです。

・詳しくは年を取るとなぜハゲるのか?を参照。

最後に

近年、ゲノム領域での研究によってヒゲや髪の毛の生え方に遺伝的な影響が大きいことが分かり、体毛や頭皮の濃さに関連した遺伝子型も特定されてきました。

特に毛包での酵素の処理と分泌に影響を与える遺伝子の型の発見は、人間の髪の進化を知るだけでなく、再生医療技術の発展にも期待されています。

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