私たちは、なぜ骨を失い続けているのか?

2021年2月10日

人間の骨の数は何本?

と聞かれると、ほとんどの人が「206本」と答えるでしょう。

しかし、この数は正確には間違っています。

なぜなら、私たちは、何歳になっても骨を失い続けているからです。

そのため、あなたの骨の総数は、X線で詳しく検査しない限り、誰も正確には教えてくれません。

さて、骨を失っているといっても、この場合、骨密度のような組織の問題ではなく、骨の総数の話になります。

ご存知の通り、私たちは20代のある時点で、骨の質量が最も多くなり、そこから徐々に骨密度が下がっていきます。

骨密度の減少とともに、骨の数も失い続けていくわけですが、それは、別々の骨が一緒に成長して一つになるために減少する数字です。

「離れていた骨がくっつくのは、赤ちゃんや子供の頃だけではないの?」

と驚く人も多いかもしれませんが、研究がすすむにつれて、特定の年齢になっても骨の癒合(ゆごう)が一貫して止まるわけではないことがわかってきたのです。

今回は、人間の骨は年齢に関係なく失われ続けていることについて、研究で分かってきたことを中心に紹介します。

骨は、赤ちゃんの頃には300本近くある

私たちの誰もが胎児期に骨の成長を始めます。

まず、基本的な骨格のミニチュアのようなもの(軟骨原基)つくり、それを足場にまだ未分化な細胞(間葉系細胞)が、骨が形成され始める部分(骨化点、こつかてん)に集まります。

その後、軟骨組織の一部は、分化しながら石灰化し、血管を引き込んで骨に置き換わっていくのです。

妊娠28週頃になると、胎児は約800個ほどの小さな骨の赤ちゃんを持っています。

つまり、あなたは、かつて800個の小さな赤ちゃん骨を持っていましたが、生まれる頃には その多くはくっついて一つになり、骨の総数は約300個ほどにまで減ります

そして、人生の最初の数十年で、多くの骨の融合が起こり、年齢を重ねるにつれて最終的には200本前後にまで失われていくのです。

別々の骨が一つにくっついていく

たとえば、上腕骨(じょうわんこつ)と呼ばれる長い骨は、複数の軟骨のかけらから始まり、生後数年の間に増殖や分化を経て骨が形成された後、思春期が終わる頃には別々の骨が肥大化して互いに一つにひっついて成長して大人の骨になっていきます。

赤ちゃんの骨については、「頭に骨の無い軟らかい部位がある」という有名な話があります。

それは、急速に成長する赤ちゃんの脳の大きさに対応するために、頭蓋骨が一つの骨ではなく、いくつかの骨に分かれているからです。

柔らかい部分は、これから脳が成長するために作られた隙間のようなもので、額の上にある一番大きな隙間は、脳が大人の9割くらいまで成長する2歳頃には閉じます。

一般的に、この頭の骨同士のつなぎ目(頭蓋縫合)は、子供が保育園に通う頃にはつながるといわれています。

一方で、鎖骨は、つながって1つになるのは20代になってからです。

そのため、結合する最後の骨といわれていますが、実際にはそうではないことが分かってきました。

80歳を超えても骨は失われ続ける

一般的に、人間の骨格は、体の中心となる軸骨格(腰から上の頭や肋骨、脊柱からなる体の軸)と付属肢骨格(腕や足の骨)に分けられます。

後者の、腕や足の骨格に関しては、骨に障害がある場合をのぞき、基本的に20代までにかなり安定します。

しかし、頭部、胸骨、肋骨、背骨、仙骨(骨盤の中心)などの骨を含む軸骨格は、大人になってからも融合し続けます

たとえば、胸骨と舌骨がひとつにつながるのは30歳を過ぎてからで、年齢を重ねれば重ねるほど 尾てい骨(尾てい骨)はその上にある大きな仙骨と融合しやすくなります。

研究がすすむにつれて、その後も、80代以降の人でさえ、骨の融合が見られることが分かってきました。

それでは、なぜ最近になって骨の数が減ることが分かってきたのでしょうか?

人間の骨が206本といわれるようになった理由

それは、197年から307年頃の人々は、骨の数について、ただ数えればよいと単純に考えていたからかもしれません。

実際、骨の本数は、何世紀にもわたって議論の対象となってきました。

骨についての数字の変動のほとんどは、耳の中の小さな骨のようなものや歯を含めるかどうかなど特定の骨を数える際に矛盾があることに起因しています。

人間の骨の本数を206本と示したのは、19世紀半ばの有名な解剖学者ヘンリー・グレイ氏です。

古典的な教科書「グレイの解剖学」に書かれた数字は、以来、教科書や参考書で次から次へと繰り返し使われてきました。

問題は 「206」という数字が、彼が行った解剖という限られたデータからのものにあります。

もちろん、グレイ氏が最善を尽くしたことは誰も否定できません。

当時、死体の研究は、合法ではありましたが誰もすすんで行おうとしませんでした。

そのため、解剖する死体の数は限られたもので、対象となる年齢もバラエティに富んでいなかったため、最終的には奇妙な数字になってしまったのです。

これについて、ある研究者は、若い人の頭の骨と年寄りの体の骨の数を合わせたようなものだといいます。

骨の数に影響を与えている要因

それ以来、1世紀の間により詳細な分析が行われ、タイミングや個人、その人のライフスタイルに依存することなども含めて、骨がどのように融合するのかについて多くのことが明らかになってきました。

融合速度やタイミングの遺伝的な違いに加えて、研究では、年齢に関わらず、「歌ったり、アゴを食いしばったり、妊娠したり」するような特定の行為や状況が、骨の数に影響を与える可能性があると示されています。

すべてを平均してみると、若い成人は約215本の骨を持つ傾向がありますが、この数は人生の後半には190本以下にまで失うこともあります。

なんと、大人になってからも25本にもおよぶ数の骨が失われるというのです。

骨の役割

人間の骨格は、単純に石のように存在するわけではありません。

胎児の頃の骨の土台から、成長して骨化した後も、骨は自ら新陳代謝を行っている重要な細胞です。今現在も、古い骨を破骨細胞(はこつさいぼう)が溶かして吸収し、骨芽細胞(こつがさいぼう)によって新たな骨がつくられています。

骨と骨は、関節でつながっています。

この関節には、筋肉や腱、靭帯などがついていて、それによって、私たちは体を曲げ伸ばしできるのです。

脳が神経を通じて指令を出して、それに反応した筋肉が縮むことで、骨が引っ張られて関節が曲がる仕組みです。

運動以外にも、私たちにとって骨は、体の重要な臓器を守ったり、血液を作ったり、カルシウムを蓄えたりと重要な役割を担っています。

この骨が組み合わさって、体を支えているわけですが、世の中にはこの骨組みとなる「骨格」が裏返しの生き物が存在します。

それは、私たちの身近なあの生き物。

詳しくは「裏返しの骨格をもつ唯一の生き物の正体とは」を参照ください。