もし地球が2倍の大きさになると何が起こるのか?

宇宙・航空科学

もし、地球の大きさが(密度は一定のまま)2倍になったら、地球はどう変わり、私たち人間や動植物はどうなってしまうのでしょうか?

まず、地球が2倍の大きさになると、あなたの体重は2倍になります。それはまだ序の口で、人間や動植物の未来は大きく変わってしまいます。

私たちは、 太陽系のゴルディロックス・ゾーンに住んでいます。

そのおかげで、地球の水は、暑すぎて蒸発することもなく 、寒すぎて凍ることもありません。

宇宙飛行士でない限り、私たちの生涯の故郷は、この大きな球体の岩「地球」となるでしょう。

しかしその故郷が突然変わり、一瞬のうちに地球が2倍の大きさになってしまったら、以下のような望まれない未来が待ち構えています。

重力が突然大きく変わる

宇宙には、質量を持つすべてのものとものが互いに引っ張り合う自然現象、つまり引力が働いています。

惑星は太陽の周りを回り、月は地球の周りを回り、リンゴは木から落ち、私たちが宇宙に飛び出すことなく今いる場所に留まっているのも全て引力のおかげ。

では、地球の密度は変わらず、大きさ(直径)が2倍の25,484kmになったとすると、何が起こるのでしょうか?

地球の質量や重力はどうなるのでしょうか?

ニュートンの万有引力の法則では、地球の重力は質量に比例し、地球の重心からの距離の2乗に反比例します。

まず、地球の質量は8倍(2の3乗)大きくなります。

そして、表面重力は、8倍(2の3乗)x1/4(重心からの距離の2乗に反比例)2倍になるはずです。

体重は突然2倍になる

体重は、地球の重力にどれだけ引っ張られているかで決まるので、体重計がさす数値は単純に、これまでの2倍に。

体重が急に2倍になるのですから、これはもう歩くのも大変で、疲れやすくなるでしょう。

毎日毎日、もう一人の自分をおんぶしているような感覚です。ちょっと奇妙でユニークな光景ですね。

それによって体力が落ちるだけではありません。

重力が2倍になることで、頭蓋骨にかかる圧力が高くなり、眼球が変形して機能が低下するおそれがあるため、視力が落ちやすくなります

また、重力によって内臓や体液が引っ張られるので長生きは難しいかもしれません。心臓が重力に逆らって脳に血液を巡らせるために2倍働かなければならず、負担が大きいからです。

重力によって脊椎の隙間が縮んで背は小さくなる一方で、足の骨は2倍になった体重を支えるために太く強くなり、何年も経つと人間の体は滑稽に見えることでしょう。

人間をはじめ、大型の動物は、体重が増えたことによるエネルギー消費量の増加に合わせて食べる量も増え、深刻なエネルギー不足に陥るだけでなく、狩りでのスピードの優位性を失い、長距離移動も難しくなります。

木は倒れ、新しく生える木は低くなる

今生えている植物は、これまでの構造のままでは、2倍の自重で倒れてしまうおそれがあります。レッドウッドのような高くて太い木のほとんどは単なる材木になり果てるでしょう。

一部の小さな植物は、生きていけるかもしれませんが、植物が大きく成長するにはセルロース繊維や他の素材でできたより頑丈な構造体が必要となります。

新しく生えた木は、以前ほどの高さにはなれないでしょう。

木が成長できる高さには限界があるといわれ、それは重力によって決まります。

木が高くなるほど、根から頂上まで水を運ぶのに多くのエネルギーが必要になるからです。

木が成長するには、水を運ぶのに必要なエネルギーよりももっと多くのエネルギーを光合成によって作り続けねばならず、もし十分に作れない場合、木の成長は停止してしまいます。

そのため、植物は、水と重要な栄養素を循環させるのに必要なエネルギー量を減らすために、小型化していくでしょう。

カリフォルニアレッドウッドのような木も、もはや観光客を印象付けるほどの魅力はなくなります。

月は地球との距離によって未来が変わる

地球の重力は強くなりますが、幸いにも月を破壊するほどではありません。

しかし、それには月が、地球のロシュ限界内にいなければなりません。

“ロッシュ限界(ロッシュげんかい、英語:Roche limit)とは、惑星や衛星が破壊されずにその主星に近づける限界の距離のこと”

wikipedia 参照

つまり、月と地球の最小距離です。

ロッシュ限界内では、月は、自身の重力によって形を保ち、支えてることができ、地球からの潮汐力(ちょうせきりょく:潮の満ち引きをはじめ、天体の流体や固体の形を変えることができる力)に打ち勝つことができます。

しかし、このロッシュ限界を越えて月が地球に近づきすぎると、地球の潮汐力が、月の形を保つ力よりも大きくなってしまい、表側(地球に近い側)が裏側(遠い側)よりも強く引き寄せられることで月は引き裂かれ、破壊されてしまいます。

最終的に、月は粉々になり、土星の周りにある輪のようになってしまうでしょう。

地球は暖かくなり、火山が活発化する

地球が大きくなるほど、コアは大きくなり、地殻や地球内部に不安定な元素が増えます。そうなると、より多くの熱が地表に届くようになり、これまでよりも暖かくなります。

問題は、火山活動の急激な増加です。

火山が噴火する危険が常にある世界には誰も住みたくありませんよね。

もしあなたが宇宙のどこでも制限なく生きられるとしたら、どこに行きたいですか?

参照元:What If The Earth Were Twice As Big?