水をとらえるための「スカーリング」泳ぎの練習方法

水泳教室

指先から手の平全体で水への感覚をとぎすまし、水をより確実につかむことでスピードを上げる目的で考えられた「スカーリング」泳ぎの練習方法をより紹介します。

スカーリングによって「手で水への感覚をつかむこと」を意識的に取り入れることは、遠回りのようで全ての泳ぎのストロークの改善やスピードアップの近道になります。

米国のオリンピック選手Glenn Millsらによって設立された「GoSwim」は、世界一流のスイマーやコーチが練習方法を、すべてのスイマーができるようにテクニックや細かいポイントなどのコンテンツを制作しています。

タイムを縮めるために泳ぎ込みをすることがよくありますが、気を付けなければならないのが激しい泳ぎの繰り返しで、柔軟性に欠け、硬い動きになってしまうことです。

その場合、速く泳ぐことを意識するあまり、知らず知らずに手のかきで悪い癖がつき、タイムが伸び悩むこともよくあります。

そういうときこそスカーリングの練習が大切。

手で水への感覚をつかむこと/connection with the water」を意識的に取り入れることは、遠回りのようでスピードアップの近道になります。

無駄な動きや水の抵抗をなくし、スムーズでシャープな手の動きをするためには、手の平の水への感覚をより研ぎ澄ますことがポイントになります。

スカーリングの練習方法

基本的なスカーリングのやり方は、肘から肩にかけての上腕の振りは小さくし、手の平を中心に「」(無限大記号)を描くように動かします。

外側に動かす時は、手の平を外側に約45度の傾斜をつけて押し上げ、内側には、手の平の向きを45度内側に傾けて、斜め下に動かします。

外向きの親指は下、内向きの親指は上と覚えるとよいでしょう。

外向きに押し出す方が強くなりやすいので注意します。両サイドへの動きを均等にするように心がけます。両サイドの水の抵抗が均等に感じるような動きでないと、体が沈みやすくなります。

1、スカーリング/sculling

顔を前方に向け、手で船を漕ぐオールを模し、指を固くしっかりとひっつけて小さめの動きでスカーリングをしながらバタ足で泳ぎます。バタ足は補助程度に動かす。

2、次は、スカーリングの時と同様、5本の指をしっかりと揃えてクロールを泳ぎます。

3、もう一度スカーリングで泳ぎます。ただし、今回は、指と指の間を広げ、手をリラックスして動かします。

4、最後に手をリラックスしたスカーリングの感覚でクロールを泳ぎます。この時、手の平の周囲で起こる水の動きや抵抗に感覚を集中させて泳ぎましょう。

練習のポイント

タイムを縮める練習には注意しなければならないことがあります。

指先から足の先までの感覚を研ぎ澄まして意識することを忘れないで下さい。この細かな部分をぬかして、全体を見ようとすると、自分のフォーメーションに本当に必要なことを見逃してしまうことがあります。

スカーリングで手の平を左右に動かすことで、腕の動きによって生まれる水面での微妙な水の動きや抵抗を知ることができます。これは、車での走行中、窓から手を出した時に感じる空気の抵抗と同じ原理です。

わずかな手の平の傾斜の変化で、手の周りで起こる水の抵抗の大きさが変わってくることが分かります。

タイムを縮める練習をするときは、ゆっくりとした緩やかな泳ぎと、よく考えられたスピーディーな動きを順番に行うとよいでしょう。

スカーリングは、雑な動きや水への感覚を洗練するためのトレーニング法です。

指を軽く開いて手が柔軟な状態でのストロークで得られるメリット

スカーリングの練習は、泳ぐときに手に力が入りすぎるのを防ぐ効果もあります。

ほとんどの水泳選手は、指を閉じた状態で、肘をできるだけ高く上げたまま1時間もクロールを泳ぎ続けると、首や肩を痛めてしまいます。

実は、指を軽く広げて手の力を抜いたやわらかなストロークをするほど、指はまっすぐに伸び、そして、力を入れた柔軟性のないストロークをするほどほど、手が折れ曲がりやすくなります。

また、肩の力を抜いて泳ぐことで、酸化による筋肉の損傷を防ぐことができます。一般的に、運動をすれば大量の酸素を消費するため、多くの活性酸素が生じてしまい、筋肉細胞を酸化させてしまいます。

さらに、指を柔軟にするほど(特に水の上で)、ストロークのプルが力強くなります。水面上で筋肉を休ませることができるので、長距離でより多くのパワーを維持できるというメリットもあります。

つまり、指の力を抜いたよりやわらかいストロークなら、速く泳げるだけでなく、肩や首、腰の怪我を防いで保護することもできるというのです。

指を閉じた泳ぎよりも、開いた方が優れていることを示す研究結果はありませが、このテクニックは、特に2004年のオリンピックメダリスト、イアン・クロッカー選手の泳ぎをきっかけに世界中で広まり、今日多くのスイミングクラブで取り入れられています。

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All Strokes – Soft Hands

平泳ぎのためのフロントスカーリング練習

ナショナルチームのBrendan McHugh選手は、平泳ぎをより速く泳ぐためには、ストロークの始めの手と水のつながりに集中する必要があるといいます。

まず、肘は常に肩から前に位置させ、目線は下で、車のワイパーのように前腕(肘から手首まで)と手のみをスカーリングさせて泳ぎます。

肘の位置を動かないように固定し、手の傾斜の角度や動かす速度を調節して、(後退させずに)横に動かします。

お尻と足が沈んでしまうようならは、小さめにドルフィンキックをしてバランスを取ったり、プルブイを足に挟んで補助します。

この練習は、すばやく水をつかむための上腕と前腕のちょうどよい角度を知る手助けになります。

できれば、シュノーケルを使って、水面から顔を出さずに、水中で水をとらえる(つかむ)感覚に集中してください。

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スカーリングの集大成となる練習方法「オーバーヘッドスカーリング」

仰向けになって、頭上でスカーリングをしながら、足側から進む練習「オーバーヘッドスカーリング」です。

足を先にして仰向けになり、手で壁を押してスタートします。バタ足はしません。

スタートしたら、すぐに頭上の高い位置で手を素早く動かしてスカーリングをし始めます。体が浮いた状態を保つために、必要であれば、プルブイを挟んでお尻の位置を上げます。

この練習では、体全体のバランス力が求められ、沈まないためにも速く効率的に手を動かさなければなりません。

水をつかむ感覚は、全ての泳ぎ方に共通して求められる能力で、これによって泳ぎが劇的に変わるでしょう。まさにスカーリングの集大成となる練習方法といえます。

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