加齢とともに作られる「光る老化色素」とは?

人体の不思議

実は、あなたの体には光る物質があります。

その光る物質は、「老化色素」とも呼ばれ、加齢とともにたまっていくゴミのようなもの。

それなら年老いた死者は光るはずです。

実際に、線虫の体内から生命が失われるときに、青い光の波を最長で6時間にわたって紫外線の下で観察した生物学社のチームがいます。

それは、加齢とともに徐々に明るくなっていくのではなく、死んだときに青く光ったのです。

この研究は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の生物老年学者デイヴィッド・ジェムズ氏らによって、体内の死の拡がりに光を当てた論文としてPLoS Biology誌の7月23日号で示され、多くの生物学者がこれを老化のマーカーとして注目しています。

さっそく以下に、体内でつくられている光る物質についてみていきましょう。

体内の優れたリサイクルシステム

光る物質について理解するには、まず、あなたの体のリサイクル工場が故障し始めるとどうなるかを話す必要があります。

私たちの細胞は、体が正常に活動できるように、タンパク質などのたくさんの物質を処理しています。

しかし、やがてはこれらの物質は傷ついたり、不要になったりします。

このようなゴミをそのままにしておくとどんどん体内に溜まってしまいますが、

私たちの細胞内のリソソームには酵素と呼ばれる強力な化学物質があり、分子を分解して再利用できるようにしているのです。

とても優秀な仕組みですね。

しかし、時にはこの体のリサイクル工場がうまく働かないこともあります。

リソソームにゴミが溜まりすぎたり、ゴミが全く運ばれなかったりするのです。

体内にたまる老廃物

細胞のゴミの一種にリポフスチンというものがあります。

これは黄褐色の色素で、タンパク質や脂肪、金属で構成されています。

科学者たちは、それがどのように形成されるのか正確にはわかっていませんが、原因の1つは傷ついたミトコンドリアであると考えています。

その原因が何であれ、リポフスチンは一度形成されると、接触したものすべてにつかみかかって成長するようです。

そして、強い結合を形成するため、細胞から取り除くことができなくなります

ちなみに、リポフスチンは、加齢とともに蓄積するので「老化色素」とも呼ばれています。

ある科学者のグループは、リポフスチンが100歳以上の人の脳細胞で体積の70%を占めていることを発見しました。

光る物質の正体

驚くかもしれませんが、リポフスチンは光ります。

これは自家蛍光と呼ばれ、リポフスチンが特定の青い光や紫外線にさらされたときに起こります。

しかし、もし人間が老化とともにこの光る物質でいっぱいになるのなら、なぜ見ることができないのでしょうか?

というのも、この地球では、6億年もの間、動物の生死が繰り返されているわけで、その結果生じた未分解のリポフスチンが地中やいろいろな場所に残されているはずです。

光る物質を分解する微生物

実のところ、私たちが住む世界には、リポフスチンやその他の頑固なゴミを分解できる酵素をもつ生命体が存在します。

例えば、バクテリアのような微生物です。

土の中にも、死体の分解を助ける微生物はたくさん存在するので、リポフスチンも分解されてやがては消えていくのです。

自然界って本当に驚きの連続だと思いませんか?

参照元:
You’re Supposed To Glow After You Die?
Glowing, Glowing, Gone: Cell Fluorescence Casts Light on How Death Spreads Throughout Body