太陽を直接見たら目に何が起こるのか?

警告!実は危険なこと

空には、観測に適した天体とそうでないものがあります。

たとえば、こんな話があります。

天文学者のマーク・トンプソンが、普通の望遠鏡の後ろに豚の眼球を置いて太陽に向けたところ、約20秒間で水晶体が真っ赤に焼け焦げてしまったそうです。

このように望遠鏡で太陽を見るのは特に危険ですが、肉眼で太陽を見るのはどれくらい危険なのでしょうか?

以下に、太陽を直接見た場合に、目に何が起こるのかについて紹介します。

太陽を一瞬だけ直接見ると目に何が起こるか?

望遠鏡で太陽をみると、望遠鏡の部品が溶けて、火災の原因になる他、目は焼けて失明や大けがをする恐れがあるほど危険です。

晴れた日の太陽は、平均的な電球の5000倍もの明るさで輝いています。

それほど強い光線が、目に一気に飛び込んでくるとなると、目にはいくつかのことが引き起こされます。

一瞬のでき事なら、「残像効果」と呼ばれる光の映像の名残によって、視界のぼやけが起こるだけです。

通常、光は目の奥にある網膜に到達し、そこで光受容体が作動して脳に視覚情報を伝達しています。

しかし、一度に大量の光を浴びせると、光を処理するための細胞やタンパク質にダメージを与えてしまうのです。

網膜には痛みを感じる受容体がないため、損傷しても痛みはありませんが、視界にぼんやりとした斑点が残ります。

通常は数分で治りますが、太陽をずっと見続けてしまった場合は別です。

太陽をずっと見続けた場合

太陽を直接見続けると、網膜に負担をかけるだけでなく、より大きなダメージを受けてしまいます。

紫外線が目にダメージを及ぼす

問題なのは、目に異常な量の紫外線を浴びせることにあります。

それによって、皮膚の日焼けと同じように、目の表面にある角膜も焼けてしまい、痛みを伴うのです。

角膜は目の他の部分を守っているため、痛みを感じる受容体で覆われています。まつ毛が抜けたときに目に痛みを感じるのはそのためで、痛みには警告を発する役割があるのです。

しかし、問題は紫外線だけではありません。

網膜が傷つく

可視光線が強すぎると、眼球を突き抜けて網膜組織を損傷し、日光網膜症(日食網膜症)と呼ばれる状態を引き起こす可能性があります。

網膜の一部が光を正常に処理できなくなり、視界全体がぼやけてしまうのです。

肉眼で直接太陽を見た場合、たとえ短い時間でも目を痛める可能性は十分にあります。

損傷の程度によっては、回復に数週間から数カ月、ひどい場合は1年以上もかかることがあり、まれに損傷が激しすぎて回復せず、障害が残る場合もあるようです。

これは、特に日食のときに多くみられ、太陽観察専用グラスなど適切な目の保護をしないままに太陽を観察してしまった結果引き起こされやすいといわれています。

日食や曇り空は要注意

日食中は太陽の光がほとんど遮断されるため、脳が「見ても大丈夫」と勘違いしてしまうのです。

通常、私たちの身体には、太陽を凝視することを防ぐための防御機能が備わっています。

目に入ってくる太陽光を最小限に抑えるために、自然と目を細めて角膜や網膜を保護することができるのですが、日食のときはこの防御機能が働くほど明るくならないので、ついつい長く見過ぎてしまうのです。

曇りの日も同じで、薄暗く感じても、紫外線のほとんどは雲を通過するので、気づかないうちに目を傷つけている危険性があります。

色付きの下敷きやガラス板、サングラスなどで太陽を間接的に見るのも同様の理由で、一見すると、太陽のまぶしさを防げるように感じるかもしれませんが、目に入る有害な波長の光は遮断できていないのです。

残念ながら、観察途中で休憩を入れて、目を休めても関係はありません

光の強さトータルで太陽光にさらされた時間が長ければ長いほど、大きな問題が引き起こされるためです。

太陽を見るときに守ること

太陽を見つめてもいいことは何もないので、目のためには太陽を肉眼で直接見ないようにしましょう。

ある程度は目が光に慣れてしまうため、子供の場合は、特に無理をしやすいことや、その時は異常を感じなくても、後からじわじわと目が見えにくくなったり、痛くなったりすることも多いようです。

もし太陽を観察するならどんなときでも、安全性の保証された遮光フィルター、日食グラスを使って見てください。

一方で、夜空には何千もの星があるので、星なら安全に好きなだけ観察することができますよ。

参照元:
What Happens When You Stare At The Sun For Too Long
How to View a Solar Eclipse Without Damaging Your Eyes