プラスチック製の食器や調理器具、タッパーは、軽くてとても便利な一方で、食器洗い器ではうまく乾かせないというもどかしさがあります。
その主な原因には、プラスチックの原料が水と混ざらない石油であることや、熱を蓄えにくい性質などが関係しています。
以下に、プラスチック製の食器が、陶磁器や金属器とは違って、食器洗い器で乾きにくい理由についてみていきましょう。
熱を蓄えにくい
まず第一に、軽いプラスチック製の食器は、陶磁器や金属製、ガラス製の食器ほど密度が高くないため熱を蓄えにくい点があります。
どんなに温度を高くしても熱が奪われやすく、蓄熱量が足りないために水分が蒸発しにくいのです。
一方で、陶磁器や金属は、蓄熱効果により、空気よりも高い温度に保ちやすく、水分の蒸発が促されます。
ただし、金属のなかにも、軽くて熱を蓄えにくいアルミなど、プラスチック同様に乾きにくい素材もあります。
水と油は混ざらない
プラスチックは、陶磁器や金属製のアイテムとは違い、石油を原料に作られています。
そして、みなさんもご存知の通り、水分子は、油分子よりも互いに引き合う力が強いので、基本的には油と水は混ざり合うことはありません。
特に古いプラスチック製のアイテムは、表面の傷が多くなるので乾きにくくなります。
そのため、水はプラスチックに触れると、広がらずにビーズ状になり、ビーズの表面積は非常に小さいので蒸発しにくくなるのです。
一方で、陶磁器や金属製などの(親水性が高い)食器に水が触れると、水はすぐに広がり始めます。
水は広がると食器と接する面積が大きくなるだけでなく、薄い層になって一層乾きやすくなるのです。
しかし、ここであるものを加えることで、水と油を混ざりやすくする(乳化)方法があります。
それは、水と油の両方に混ざりやすい「界面活性剤」と呼ばれるものです。
界面活性剤は、水同士がくっつきあう力(表面張力)を低下させるので、食器の表面に水が広がりやくなり、乾燥を促す効果があります。