もしチャンスがあれば、ほとんどのサメは人を食べようとすると思いますか?
これについてサメの研究をしているダニー・ワシントンさんは、次のように言います。
人間はエサとして認識されていない
よくあるサメの話や映画では、彼らは狂暴な生き物で、視界に入るものすべてを攻撃したがるように思われがちです。
しかし、実際はそうではありません。
たとえば、海水浴客は、自覚の有無にかかわらず、思っている以上にサメに囲まれているってご存知でしょうか?
以下のホホジロザメの写真のように、サーファーたちはその存在に気づいていませんが、サメは彼らに気づいていて、気にも留めていないことがよくあります。
このようなサメは、海岸近くでもいたるところにいます。
そこで、専門家は、基本的にサメにとって人間は、エサとして興味がないと考えています。
そもそも、毎日海で泳いでいる膨大な数の人間について考えてみてください。
もしサメが私たちに食べ物としての興味があれば、常に人間を傷つけているはずです。
とはいえ、サメは全く危険ではないし、海に飛び込んで彼らを抱きしめてあげればいいというわけでもありません。
サメと一緒に泳ぐときは、まれに人間を襲うこともあるので、注意深く、彼らを尊重しなければならないのです。
では、サメが人間を食べることに興味をもっていないのなら、なぜ人を噛むことがあるのでしょうか?
エサと間違える
専門家は、サメが人間を噛むのは、エサとなるアザラシやオットセイなどの動物と勘違いしているからだと考えています。
サメの多くは視力が低く色覚もないため、特に獲物を正しく識別する経験が浅いような若いサメは、人間と獲物となる動物を間違えやすい可能性があります。
たしかに、ひれ足をつけたり、ボード上でパドリングしているサーファーはアザラシに見えますよね?
見分けることができないなら、サメが人を襲うのがマレである理由も説明がつきます。
識別はできないが獲物を感知する能力は高い
サメは、一部でみられるようにたとえ視力が悪くても、水中のものを見つける能力は抜群です。
その優れた感知能力がゆえに遠くからでも人間を獲物と間違って襲うことが分かってきました。
ホオジロザメにおいては、驚異的な視覚を持っています。
実際、水中では人間が水上で見るのと同じくらいよく見え、猫のように網膜に光を反射することで、暗い海やにごった水中でも視覚感度を高めています。
習性的に噛みつく
遠くから、においや音を感知してやってきたホホジロザメは、獲物かどうかが不確かであっても習性的に「試しに噛む」ことがあります。
見えにくいのですが、サメの体の横には、水圧や水流の変化を感じとる「側線」と呼ばれる感覚器官があり、獲物の水中での動きや心臓の音(振動)でさえも感知できるのです。
サメは、魚やアザラシや人間がちょっとでも水しぶきを上げると、1km以上先からそれを感知してどこにいるかを正確に知ることができます。
さらに、頭部にある無数の穴で、人間やアザラシが動くたび発する筋肉の小さな電気信号を感じることもできるのです。
つまり、魚や人間が水中で水しぶきを上げて電気信号を発信すると、サメはそれを敏感に察知し、それがどこから来ているのかを感知して、試しに噛むことがあるのです。
好奇心から噛む
近年、専門家は、サメが人を噛むのは好奇心が強いからではないかという新しい説を考えました。
サメは、私たちと同じように身の回りのものについて好奇心があり、周囲を探索しているようです。
ただし、水中で見慣れないものを調べようとした場合、彼らには手がないため、別の方法で調べなければなりません。
そこで、サメは私たちが手を使うように歯を柔軟に使います。
たとえば、サーフボード上にいる人に興味を持つと、泳いで近づき、かじってから吐き出すことがあるようです。
もちろん、その歯はかなり鋭く強いので、ちょっとかじっただけでも人間にとっては大きなダメージになってしまいます。
サメが人間を噛む理由については以下の動画で確認できます。