魚に向けて、大きな口を開け、ゆっくりと飲み込んでいく巻き貝。
トゲに毒をもつ魚が、何の抵抗もなく貝に飲み込まれていくのには理由があります。
アンボイナガイは、イモガイの一種で動物界でも有数の毒をもつことで知られています。
開けた口からは猛毒の液体が放たれ、獲物を嘔吐物でコーティングすることができるのです。
以下に、有毒な巻き貝「アンボイナガイ」の狩りについて紹介します。
アンボイナガイの毒
オーストラリアの手つかずの海で、どこにでもいそうな巻き貝が海底をゆっくりと這っています。
アンボイナガイは、一見ノロノロと鈍そうな腹足類ですが、実は電光石火のごとく致死量の毒を放てる武器を隠し持ったイモガイの中でも最も恐ろしい生き物です。
その毒は致命的なヘビの毒よりも複雑で、抗毒薬はなく、多くの人々の命を奪ってきました。
アンボイナガイの魚狩り
腹にある足の役割をもつ筋肉組織で海の底を這い、 化学センサーの詰まった伸縮可能な管(吻:フン)で水中を探ります。
この管で、遠くからでも獲物の化学的痕跡を感知することができるのです。
獲物のにおいを感じ取りました。
背びれとエラに有毒なトゲを持つウィーバーです。
しかし、アンボイナガイは全く動じません。
不思議なことに、アンボイナガイがじりじりと忍び足で近づいても、動きの速いウィーバーは一向に逃げる気配を見せません。
どうやら、体が麻痺しているようです。
魚は、恐怖で体が動かないのではなく、アンボイナガイが周囲の水に放出した即効性の鎮静剤のような化学物質によって、動けなくなっているのです。
アンボイナガイは体長を2倍にするほど伸縮性のある吻を伸ばして、毒素で満たされた中空の歯舌から注入します。
毒針の毒は瞬時に神経系を攻撃し、神経インパルスを遮断。
動けなくなった魚はそのまま消化されます。
アンボイナガイの捕食については以下の動画で見ることができます。