アルミホイルは、片面には光沢があって、もう片面はマットな質感をもちます。
おそらく、残り物を包んだり、耐熱皿を覆ったりしたことがあるなら、どちらの面を表にすればよいかと疑問に思ったかもしれません。
実は、この表裏は単なる製造工程の副産物であるため、調理で使い分ける必要はありません。
以下に、なぜアルミホイルに表と裏があるのか、そのさまざまな使い道についてみていきましょう。
ズズからアルミへの変換
今日のアルミホイル(アルミ箔)は、20世紀初頭まで存在していませんでした。
それ以前は、スズホイル(スズ箔)、スズや鉛の合金で作られたホイルが使われ、それは食品に金属の香りや味をうつしてしまうものでした。
そこで登場したのが、軽量で錆びにくく、何よりも食品の味を損なわない金属の活用、つまりアルミニウムでした。
1910年、最初の商業用アルミホイルの製造を開始スイスの会社Dr. Laber Naher and Cでした。
アルミホイルはすぐに家庭の必需品となり、食品の保存から断熱材、さらには軍隊のレーダー探知機まで、あらゆる用途に使用されました。
さて、本題に入りましょう。
アルミホイルの裏表で2種類の仕上げがある理由は、その製造方法にあります。
2つの表面は製造工程の副産物
アルミホイルは最初、巨大なアルミニウムの分厚い金属板のようなシートでした。
これを工業用ローラーに挟んでプレスしながら何度も何度も薄く巻いていくことで、徐々に平らになります。
しかし、ここで薄くて柔軟なシートには、ある落とし穴があります。
ホイルが最終的に極薄の段階に達するころには、繊細すぎて破れないように個別巻くには難しいのです。
それを解決するために、製造業者は2枚のシートを1組にして巻くことにしました。
その後、2枚のシートは分離され、個別のロールに巻き取られます。
こうして、片面は光沢のある面、もう片方には研磨仕上げがされていないマットな面が生まれるのです。
つまり、アルミニウムの裏表は、特別なコーティングやデザインによるものではなく、製造工程の副産物だったのです。
では、表裏によって調理中の違いは生まれるのでしょうか?
表と裏で調理に違いはない
あなたは、食品を包むときは光沢のある面を内側にすると良いと聞いたことがあるかもしれません。
また、熱反射を良くするために外に光沢のある面を出す人もいるかもしれません。
結論からいうと、裏表どちらでも問題ではありません。
アルミホイルの両面は同じように熱を伝導します。
反射率の違いはごくわずかで、調理時間や食品の品質にはほとんど影響しません。
ジャガイモをローストする場合でも、キャセロールを覆う場合でも、光沢のある面とマットな面は実質的に同じ機能なので、ぜひ好きな面を使ってください。
結局のところ、すべて同じだからです。
ただし、例外が1つあります。ノンスティックホイルです。
例外的なノンスティックホイルの使い方
一部のブランドでは、片面に、(通常はマットな面に)ノンスティックコーティングを施したアルミホイルを製造しています。
ノンスティックホイルを使用する場合は、どちらの面が食品に触れるかが重要です。
このような場合、くっつかないようにマットな面を内側に向ける必要がありますが、通常のホイルでは違いはありません。
アルミホイルの使い道
実はアルミホイルには、食品を包む以外にも有用な使い道があります。
切れにくくなったハサミの刃を研ぎたい場合は、アルミホイルを折りたたんで数回切るだけで切れ味が復活します。
錆びたグリルを掃除したい場合、ホイルを丸めてボール状にし、汚れをこすり落としてください。
Wi-Fi信号が弱い場合は、ルーターの後ろにアルミホイルを1枚置くことで、最も必要な場所に信号を向けることができます。
こんなにシンプルなものがこんなに多用途になるとは誰が想像したでしょうか。
信じられないかもしれませんが、アルミホイルはキッチンの必需品であるだけでなく、宇宙時代の素材でもあります。
宇宙開発になくてはならないアルミホイル
NASAやその他の宇宙機関は、宇宙船や宇宙飛行士を極端な温度から守るためにアルミニウムベースのホイルを使用しています。
アルミニウムの反射特性により、太陽からの強烈な熱を反射し、氷点下の宇宙を飛行する際に貴重な熱を内部に保持するのに役立てています。
月着陸船や衛星で見られる象徴的な金箔は、実際には放射線と温度変化から保護するように設計されたアルミニウムベースの素材だったのです。
この技術がなければ、多くの宇宙ミッションは地球の大気圏外の過酷な環境に耐えられなかったでしょう。
ぜひ次に自宅でアルミホイルを使用するときは、宇宙飛行士の宇宙探査にも役立つ素材を使用していることを思い出してください。
さて、アルミホイルはとても便利ですが、残念ながら環境への影響もあります。
アルミニウムの製造には多くのエネルギーが必要であり、アルミニウムの製造に使用される主要な鉱石ボーキサイトの採掘は、重大な生態系への影響をもたらす可能性があるのです。
しかし、幸いなことに、アルミニウムは100%リサイクル可能です。
実際、アルミニウムをリサイクルすると、原材料から新しいアルミニウムを製造するために必要なエネルギーの最大95%を節約できると考えられています。
アルミホイルはなぜ表と裏で光沢が違うのかについては、以下の動画で見ることができます。