機内食がおいしく感じられないのは、上空での私たちの味覚が変化することに原因があります。
そして、それを解決する方法が「ヘッドホン」をすること。
不思議ですが、研究によって音が味覚に影響を与えることが分かったのです。
なんと飛行機の雑音をヘッドホンでかき消すことで、食べ物を味わう能力を取り戻せるようです。
以下に、機内食と上空での味覚の変化についてみていきましょう。
機内食はどうやってできるのか?
飛行機の機内食は通常、空港に近いケータリング施設で調理され、フライトの12時間から72時間前に準備されます。
機内食は、冷凍されることはなく、ブラストチラー(急冷庫)で急速冷却されて、低温に保たれたまま運ばれ、それを客室乗務員が機内で温めて提供します。
航空会社の中には、エティハド航空でみられる一部のフライトのように、独自の機内シェフやキッチンを備えているところもあるようです。
実は、このようにしっかりと管理された機内食がおいしく感じられないのは、人間の基本的な生物学に起因していることが判明しました。
上空では人間の味覚が鈍る
機内の湿度は10%~20%と低く、サハラ砂漠(30%)よりも乾燥しています。
上空では、外気温と70度近い温度差があり、機内に結露や水滴ができるのを予防するためには湿度を低く保たなければならないからです。
しかし、このように湿度が低いと、私たちの副鼻腔は脱水状態になり、味覚や嗅覚に影響を及ぼします。
たとえば、飛行機の機内にしばらくいると、甘味を感じる舌の能力は15~20%低下し、塩辛い味は20~30%も鈍くなるといわれています。
そのため、航空会社によっては機内食に含まれる塩分と糖分の量を大幅に増やして対策をしているようです。
おそらく、味付けが濃いめな分、機内食の摂取カロリーは思っている以上に高くなるでしょう。
さらに、音が味覚に影響していることも分かってきました。
音が味覚に影響
味気ない機内食にがっかりしているなら、実はできることがあります。
ヘッドフォンを装着すれば、機内食や飲み物をよりおいしく味わえるというのです。
不思議なことに、周囲のノイズが大きいと、甘味や酸味など食べ物を味わう能力が15%近く低下するという研究結果があります。
そのため、ノイズキャンセリングヘッドホンのようなものを使って、エンジンの低音や機体の雑音をかき消すと、味を区別しやすくなり、味覚が戻りやすくなるのです。
気分の良くなる音楽を聴くのもおすすめです。
実は、上空では、パイロットが仕事中に食べていいもの、食べてはいけないものについて具体的なルールがあるって知っていますか?
パイロットと副操縦士が仕事中に同じ食事をしないよう警告されているのは、同時に食中毒になるのを防ぐためです。
それによって一方のパイロットの具合が悪くなった場合、もう一方のパイロットが代わりに操縦をすることができます。
航空会社によっては、パイロットがファーストクラスのメニューを受け取るのに対し、副操縦士はビジネスクラスのものを受け取ることもあるようです。
何百人もの乗客の安全に責任を負わなければならないため、航空会社のパイロットがしばしば世界で最もストレスの多い仕事のひとつと言われるのも無理はないですね。
参照元:
・Flight Secrets That Are Never Told To Passengers
・Airplane Noise and the Taste of Umami