なぜ「目やに」は朝によく出るのか?

人体の不思議

目やには、朝起きた時に出ているものだと思っている人は多いかもしれません。

しかし実際には、目やには、日中起きている間も出ています。ただし、日中に生成された目やにのほとんどは目から出るのではなく、鼻に向けて流れていきます。

では、どうして朝になったら目やにに気づくことが多いのでしょうか?以下に、目の表面を覆う膜の仕組みをもとに、目やにの正体や原因を科学的に紹介していきます。

目の表面を覆う膜の仕組み

ほ乳類の目は、たくさんの液体状の層に守られて、正常な機能を果たしています。

透明な角膜は、ムチンと呼ばれる粘液(タンパク質)によって、ゴミやなんらかの侵入物から常に保護されているのです。

そしてこの粘液の層は、水をはじく性質のある角膜の細胞に水分を馴染ませて、涙が目の表面に均一に分布するのを助けています。

その上には、目の被膜の90パーセントを占める水の層が、クモの糸ほどの薄さで覆い、目の水分補給や保護の役割をしているのです。

さらに、最も外側の層には、油脂(脂肪酸)を主成分とする脂肪層があります。

この油脂は、目の保湿効果を高め、涙を目の表面にとどまらせておく役割があり、もし、この脂肪層が無ければ、私たちは絶えず涙を流していることになってしまうのです。

目に関する研究や実験を紹介している学術誌(journal experimental eye research)によると、ウサギは、油脂の分泌が足りないとき、目の表面の水分の蒸発がとても速くなり、乾燥しやすくなることが分かっています。

起きたときに目やにが出る理由

目やにの正体は、目の表面を覆うムチン粘液や油脂に、古くなった皮膚細胞や血液細胞、代謝によって排出された老廃物、ほこりなどが混じったものです。

これらは、起きている間は、まばたきをすることで、涙と一緒に、鼻涙管から鼻に流れていきますが、寝ているときは、まばたきをしないため、流されずにそのまま目に残ってしまいます。

また、英国の眼科誌「British Journal of Ophthalmology」の公開調査では、下記のことが明らかになりました。

睡眠中は、目の筋肉がゆるんで、油脂が過剰に分泌されています。

この油脂は、寝ている間に閉じたまぶたの圧力によって、目頭や目尻に押し込まれていき、睡眠中に下がった体温によって、その一部が冷やされて乾燥します。

これが、朝起きたときにある目やにの正体です。

目やにには、目を保護する重要な役割があり、ヌルヌルしていても乾燥したものであっても、少量であれば正常なものなので全く問題はないといわれています。

参照元:Why Do We Get Eye Boogers?