運動後のビールはいけないのか?飲酒と運動の気になる関係とは

2018年6月13日

アスリートが大会後にお祝いのビールで乾杯。

もはや「この一杯のためにがんばった」ともいえるほど、いい汗をかいた後のビールは、一際おいしいものです。

しかもビールは、単純糖質の電解質ドリンクという点では、一般的なスポーツドリンクと同じなので、それほど健康への害はなさそうに感じるかもしれません。

しかし、残念ながら「アルコール」が含まれるという点では大きく違います。

ここでは、運動後にビールを飲むとどうなるのかについて、アルコールの体や筋肉への影響を中心にさまざまな研究で分かってきたことを紹介します。

もしあなたが、トレーニングがもたらす運動機能や筋肉への効果を最大限得たいのであれば、試合や練習後のビールは、最悪の選択肢になってしまう可能性がありそうです。

運動後の飲み物

運動をすると、体はたくさんの水分を失っているので、当然のように喉が渇きます。

そうなると、失われた体液を補給するために、冷たくておいしい飲み物が必要と感じるでしょう。

ここでの「飲み物」とは、水でもよいのですが、科学者たちは、運動後のために配合された経口補水液やスポーツドリンクの方が効率よく水分補給ができると考えています。

経口補水液やスポーツドリンクの特徴

スポーツドリンクは、水に加えて、カリウムや塩分(ナトリウム)などの「電解質」が含まれているので、水分が体に吸収されやすい特徴があります。その電解質濃度が高めに配合されているのが経口補水液です。

一般的なビールにも塩分は含まれていますが、その量は平均的なスポーツドリンクの10分の1にすぎません。

ビールが350mlあたり約14mgであるのに対して、スポーツドリンクは150mg近くも含まれているのです。

「ビール vs 水」水分補給効果の違い

科学者が、さまざまなタイプのビールを使って、ビールと水の水分補給効果を比較したところ、たとえ低アルコールであったとしても、水の方が補給率が優れていることが分かりました。

たしかにビールを飲んだら、一瞬にして喉の渇きが癒されるように感じるかもしれませんが、利尿作用によって摂取した量以上の水分やミネラルが尿として排出されてしまうからです。

運動後に飲むビールのデメリット

ビールは糖質が多く、食物繊維がほとんど入ってないので摂りすぎると太る原因になります。

そのため、せっかくトレーニングをしても、ビールを飲んだことによって、燃焼したばかりのカロリーを単純糖質によって再び補ってしまう形になってしまい、トレーニング効果が打ち消されることにも。

さらに、研究がすすむにつれて、ビールに含まれるアルコールの成分が、筋肉の損傷をまねく可能性があることも分かってきました。

運動後のビールが筋肉に与える影響

2014年の研究では、体をよく動かす男性8人に一連の運動をしてもらった後、次のいずれかの飲み物を飲んでもらい、筋肉の状態に対する調査が行われました。

  • たんぱく質
  • たんぱく質とアルコール
  • 炭水化物(糖質)とアルコール

3回行われた調査の結果、アルコールを摂取すると、筋原線維タンパク質の合成が減少することが分かりました。

筋細胞を構成する主なタンパク質には、ミオシンという太い繊維とアクチンという細い繊維があり、この2つが生成されることで筋肉は強く大きくなります。

つまり、運動後のアルコールによって、本来の筋繊維の修復と再構築が妨げられてしまうため、タンパク質が合成されにくくなり、筋肉量が増加しなくなってしまうのです。

そのなかでも、特に合成の減少が著しかったのが、炭水化物(糖質)とアルコールを含む飲み物でした。

運動後の体の修復への影響

体をよく動かす男性8人を対象に行われた2016年の筋生検(筋肉を部分的に取って、筋組織を調べる実験)の研究では、運動後のアルコールによって、細胞が自ら死ぬ現象「アポトーシス(細胞死)」が誘発されることが分かりました。

一方で、運動後のお酒を控えると、新しいミトコンドリアが増え、体がうまく回復していくことが示されました。

運動後の飲酒量について

しかし、上記2つの研究において注目すべきは参加者の飲酒量です。

彼らは、1、2杯ではなく、3時間以上かけて12の決められた飲料をスケジュール通りに摂取している点に注意しなければなりません。

2014年の研究は、最終的に「試合やトレーニング後の飲酒を推奨しない」といったものでしたが、お祝いに少量飲む程度であればおそらく大丈夫であろうことは認められました。

つまり、体重1キロあたり0.5グラム以下、または、成人男性でビール約3杯までなら、体の回復にそれほど影響を与えることはないようです。

まとめ

お酒の成分が、運動後の筋肉に悪影響を与えてしまうことは否定できません。

実際に、運動後のアルコールが筋肉の修復を阻害したり、脱水症状を促して体内のミネラルバランスを崩すことを示す研究結果もあります。

しかし、決して飲酒を推奨するわけではありませんが、試合後に、チームメイトと喜びを分かち合うビールにまで神経質にはならなくてもよいようです。

リスクを考慮したうえで、適度に飲めば、気分もリフレッシュできて、仲間との絆も深まるのかもしれません。

ただし、運動後の水分補給や筋肉の増強が目的であれば話は別で、ビールは控えるべきといえます。