体の毛を剃ると泳ぎが速くなるのは本当か?

2017年3月 2日

スポーツ業界において、毛を剃って処理することは大事な意味があります。

よく自転車競技者が毛を剃っているのは、転倒した時に傷の治療をしやすくするだけでなく、空気抵抗を少しでも減らして速く走るためです。それは、伝統として100年近くにわたって続いています。

水泳選手は、水の抵抗を減らし、水中でより滑らかに水の感覚を感じるために毛を剃ります。

そして、ボディービルダーもムダ毛の処理をします。ただし、少し違った目的ですが。

ここでは、剃毛(ていもう:体毛を剃って処理する)が、スポーツの勝敗にどのように影響するのかについて、研究で解明されてきたことを分かりやすく紹介します。

剃毛(ていもう)がスポーツに与える影響

速度を競うスポーツの世界では、体毛が生み出すわずかな空気(水)の抵抗が勝敗を左右します。それは、速度域が高いほど、また、秒単位で競い合う競技であるほど大きな影響を及ぼします。

科学者たちは、剃毛が知らないうちに運動選手に大きなアドバンテージを生み、勝利に導く助けになっていることを下記の研究で明らかにしました。

自転車競技

実は、自転車競技の世界では、1987年に自転車の雑誌で伝えられた研究が要因となって、しばらくの間は、毛を剃ってもスピードに大差はないと思われていました。

この研究は、エンジニアが人為的に風を起こして空気の抵抗を調べる風洞装置を用いて行った実験で、剃毛が速度に与える影響は、たったの0.6%しかみられませんでした。これは、時速37キロで1時間走った場合に、タイムが5秒縮む程度のものです。

この結果は人々に混乱を招いたうえ、風洞装置の使用には非常にお金がかかることから、再びこの実験に取り組むものはありませんでした。

革新的な研究が行われる

しかし、自転車メーカーSPECIALIZEDによって、自転車専用の特別な風洞設備が建設され、研究者が(1987年の実験よりも格段に性能がよい)風洞装置を自由に使って実験を行えるチャンスを得ることができるようになり、事態は一変しました。

新たな施設での研究はスムーズに行われ、「毛を剃ると、自転車走行の空気抵抗が7%も軽減される」ことが明らかになりました。

7%もです。これは、今までに考えられてきた値を大きく上回り、時速40キロで1時間走った場合で、タイムが79秒縮むという大きな成果を上げました。

繰り返しますが、ただ毛を剃るだけでです。

この結果はあまりに革新的だったので、さらに5人の自転車競技者で同様の試験を行い、再確認したところ、被験者全員がタイムを50秒から82秒も縮めていました。

その後も研究者は、自転車に乗る時の姿勢やヘルメットの種類、レース用の服を長そでにするなど条件を変えて実験を行い、タイムを縮める要素が次々に発見されていきました。

この研究によって、毛を剃ることは、少なくともサイクリングにおいては機能することが明らかになりました。

それでは、水泳ではどうでしょうか?

水泳選手が毛を処理するメリット

科学の仕組みを発信する「HowStuffWorks」は、次のように述べています。

「かみそりの刃は、体毛だけでなく古い角質細胞を取り除きます。それによって、新しく敏感な皮膚細胞層が露出するため、水泳選手は、より水を感じやすくなります。」

過去には実際に、毛を剃ると泳ぐときにどのような影響を与えるのかを調べる研究が1989年に行われています。

この研究よると、生理学的には、ヒトの心拍数や酸素使用量、乳酸蓄積量に差は見つかりませんでしたが、水の抵抗に関しては、著しい軽減効果がありました。

水泳選手は、毛を剃ることでパワフルに、そして、滑らかに水を感じると信じています。そして、陸上のランナーたちのなかにも、毛を剃ることを習慣化している人はたくさんいます。