実のところ、家で飼われている金魚が長生きできない原因は、高い確率で彼らのフンにあるようです。
金魚の最高寿命は、43歳と記録されています。
しかし、家で飼われる金魚はその4分の1でさえ生きられないことが多く、そのほとんどが、5歳の誕生日を迎えることすらできないようです。
それは大きな問題です。
なぜなら、本来金魚は、ペットとして飼われているネコと同じくらい長く生きられるはずなのですから。
では、なぜ家で飼われている金魚は、命を落とすのがこれほどまでに早いのでしょうか?
ここでは、家の金魚をもっと長生きさせる方法について、特に飼い始めの人が金魚を死なせてしまう理由やその解決方法を中心に分かりやすく紹介します。
金魚が長生きできない主な原因「アンモニア」
皆さんもご存知のとおり、金魚の排泄物にはアンモニアのような毒素が含まれています。
それらは、目には見えませんが金魚にはとっては非常に有害で、エラを変色させ、ときには溶けたような状態にするだけでなく、脳にダメージを与えることすらあるようです。
野生に生育する金魚であれば、これらの毒素は問題ではありません。
淡水湖やため池などは、魚が排泄するこれらの毒素を、害の少ない化学物質に分解してくれるバクテリア(微生物)軍隊の本拠地だからです。
しかし、家の水槽には、そのような「生物ろ過」をしてくれるようなバクテリアはほとんどいません。
そのため、私たちは、金魚を飼う前に、まずは水槽内のバクテリアを増やして有害物質を無毒化するための強い軍隊をつくって準備しておかなければならないのです。
そして、それは、残念ながらホームセンターで金魚を買う日にやってしまえるようなたやすいことではありません。
れが、初めて金魚を飼うときに、最も失敗をしてしまうポイントです。
金魚の長生きに不可欠なのが水づくり
金魚にとっての水は、私たちにとっての空気のようなもので、長生きさせるにはこの水づくりが不可欠だといわれています。
そして、水槽内のバクテリアを、水づくりに適した強い軍隊にまで増殖させるためにあなたに求められるのが忍耐強さです。
「生物ろ過」する水づくりの方法
まず、塩素中和剤やアクアリウム用浄水器などを使って水槽の水から塩素を取り除く必要があります。
塩素が含まれる水道水は、細菌を殺すので私たちが飲むのには適していますが、バクテリアを繁殖させたい場合は適しません。
中和剤を使用しない場合は、水道水を半日以上太陽の紫外線にさらして、残留塩素を取り除きましょう。
塩素が抜けて、バクテリアが繁殖しやすい環境ができたら、バクテリアたちはどこからでもやって来てくれます。
水槽のフィルターやタンク、植物、底砂や岩。
大気中や水槽の外からでもやって来るのです。
バクテリアの繁殖時間を少しでも短縮したいなら、予めラボで育てられた市販のバクテリアを購入するのもひとつの方法です。
ここまでくると、残すところはバクテリアの夕食だけです。
バクテリアのエサといっても、金魚のエサで十分です。エサが自然分解すると、それはバクテリアのエサとなるアンモニアを出します。
あとはひたすら待ち続けます。市販のバクテリアを添加した場合は、2、3週間で水質が安定しだすかもしれませんが、最初のバクテリアの量によっては、この繁殖プロセスに約2ヶ月を要することもあります。
しかし、それほどの期間があれば、十分に生物ろ過が行えるレベルでのバクテリア軍隊がつくられているはずです。
簡単な水質検査キットを購入してチェックしてみるのもよいでしょう。
しかし、ここで「金魚を長生きさせるために」気を付けなければならないポイントがいくつか残されています。
水槽の大きさに注意
水槽が小さすぎると、バクテリアたちが、酸素不足によって金魚のために十分な生物ろ過ができなくなってしまいます。
また、バクテリアは、金魚のフンを分解する過程で、自らも排泄物を出します。
それが十分に希釈されない場合、金魚にダメージを与えてしまうこともありえるので水質悪化を防ぐためにも、ある程度の大きな水槽を用意して十分な水量を確保しなければならないのです。
金魚を飼うのに必要な水槽の大きさ
2リットル程度の金魚鉢では小さすぎます。
金魚のサイズや数によっては、ペットショップで見る38リットル相当の水槽でさえ足りないこともあります。
実のところ一匹の成魚が繁殖するには、金魚の体重の2000倍も重い40キログラムの水が必要だといわれています。
そして、それだけ大きな水槽でさえ、あなたは、その水の30%を2週間に1度は入れ替えなければ水質は安定しないのです。
なぜなら金魚は、フンの他にもホルモンやフェロモンを環境中に放出するため、これらの濃度が高くなると、成長を妨げる可能性があるからです。
大きい水槽で、環境を整えてあげれば金魚はどんどん成長して大きくなります。
人差し指ほどの金魚が、健康な環境で生育するとアメフトボールのサイズにまで成長することもできるといわれています。
最後に必要なもの
十分な大きさの「生物ろ過水槽」を手に入れたら、あとひとつだけどうしても必要なものがあります。
それは、あなたの注意力です。
私たちは、水槽で金魚と一緒に泳ぐわけにはいかないので、金魚に起こっている異変、たとえば水質の悪化になかなか気付けないことがよくあります。
特に金魚を飼い始めた人に多いのが、手遅れになるまで金魚の不快感に気付かないことで、その間も尾ぐされ病をはじめ、白斑病や真菌感染症といった病気がすでに進行しまいることが多いのです。
水の汚れ具合やにおいに注意を払うのはとても大切なこと。
そのようにして金魚に愛情を注ぐ時間は実に有意義なものになってくれるはずです。信頼関係が生まれれば、金魚の輪くぐりを教えたり、あなたの手からエサを食べたりするかもしれませんよ。