なぜ塩分摂取量を減らしたいなら「きのこ」を使うのでしょうか?
卵を固めないで有害なバクテリアを殺菌するためのスイートスポット(温度)とは何度?
今回は、このような料理の問いに、科学の力を借りて答えていきます。
実のところ、あなたのキッチンは、隠れた科学実験室です。
炎と酸、そして、金属製の道具があり、私たちは湯を沸かすたびに物理学を使い、最後のピザを食べるかどうかを選択するときには行動科学を使いますね。
キッチンでは、温度があがれば氷は溶けるのに、卵は加熱によって固まる。毎日のようにこのようなおもしろい科学の世界が繰り広げられているのです。
さっそく以下に「科学的調理法」という言葉を代表する2つの問いへの答えをみていきましょう。
きのこを使うと塩分摂取量が減り、うまみがアップする
もし「おいしいタコスを作りたい」と思い立ったら、ぜひ細かく刻んだきのこを適度に加えてください。
賢い料理人や食品科学者たちによって、料理をより健康的で特別においしいものにするためのきのこ活用法が見つかりました。
ここでいう適度にとは、食べた人が大きな違いに気付かないほどの量です。それでは、下記で詳しくみていきましょう。
タコスにはきのこを入れるべき理由
2017年に発表されたタコスの研究では、体積の最大45%のきのこを含む配合が、質感においての最適な度合いを意味する「スイートスポット」にあたることが発見されました。
それ以上加えた場合は、きのこの風味や食感が強すぎてしまいます。
続いて研究者らが、さまざまな種類のキノコでテストしたところ、試食者の多くが、マッシュルームの入ったタコスミックスの味を好む傾向がありました。
さらにホワイトマッシュルームにおいて、1mmから5mmに細かく刻んだときが最もなめらかな食感になり、塩分摂取量を減らせることも分かりました。
これについて研究者らは、きのこにうま味成分が豊富にあるためだと示唆しました。
きのこのうまみ成分は科学的に支持されている
事実、きのこのうま味成分は料理の塩味を引き出して、全体的なおいしさを増すことが、何十年にもわたって示されており、その考えを後押しする研究もあります。
2014年にJournal of Food Science誌が発表した調査では、タコスの肉のブレンドに最大で80%のきのこを入れると、全体的な味だけでなく、ニンニクやうま味成分のようないくつかの特定の風味を強化することが示されました。
つまり、科学は「きのこ」を健康的なハックとして支持しているだけでなく、測定可能なおいしさを生じさせる食品として支持しているのです。
菌を気にしないでクッキー生地を味見できるのか?卵の安全性を科学的に考える
あなたは、生卵を含むクッキー生地は、サルモネラ菌のような有害なバクテリアが含まれている可能性があるので、安全ではないと聞いたことがあるかもしれません。
しかし、実際には、食品科学者や生産者たちによって、厄介な微生物を卵から排除しようとする試みが行われているのも事実です。
たとえば鶏へのワクチン接種、保護的なキューティクル層をそのままにしておく、冷蔵庫に卵を保管して微生物の増殖を遅らせるなどもよく取り入れられています。
それでも心配な人におすすめなのが、家庭でもできる「低温殺菌」です。
低温殺菌は、100度以下の温度でゆるやかに行う加熱殺菌法で、牛乳や酒類など、熱によってタンパク質が変性するのを防ぐ必要のある食品に主に取り入れられています。
かといって、卵は温めすぎると固まってしまい、クッキーのレシピが要求するものではなくなってしまうので注意が必要です。
「菌」についてはこちらもどうぞ
・お酒を飲むとアルコール成分で有益な腸内細菌も殺菌されるのか?
・カビが生えたパンはきれいな部分でも食べてはいけない理由
・ハエが止まった食べ物って汚いの?食べても大丈夫?
家庭で行う低温殺菌について
そのため、家庭で低温殺菌を行うには、有害なバクテリアを殺すのに十分な温度と時間のスイートスポットを見つける必要があります。
そこで研究者たちは、1997年に、卵をサルモネラ菌で汚染した後、低温殺菌に適した条件や環境「スイートスポット」を見つけようとしました。
一つは、卵を58度で50分から57分間加熱し、他方では、57度で65分から75分間加熱しました。
卵のタンパク質は、60度以内であれば形を変えないので、それ以上温度を超えなければ問題はないはずです。
この方法なら、家庭のコンロで簡単に取り入れられそうですが、ただ問題は1時間近くも同じ温度を保ち続けられるかどうかです。
そこで、「1時間も我慢できない」という人のために、研究者は瞬間殺菌と呼ばれるものを提案しました。
それは、95度の湯に卵を落として10秒間だけ茹でるというものです。
もしあなたがクッキー生地を味見したいなら、低温殺菌か瞬間殺菌した卵を使ってみるというオプションを取り入れてみるとより安全かもしれません。
科学を料理に役立てよう
ここで紹介したクッキングハックはどれも派手さや革新さはないかもしれませんが、科学に基づいたもので役に立つものばかりです。
ぜひこれからの料理に役立ててみてください。
参照元:
・7 Ways to Spruce Up Your Cooking with Science
・How to Substitute All-Purpose Flour for Cake Flour or Self-Rising Flour