学校の垂直跳びや走り幅跳びで記録を伸ばしたい。
バレーのスパイクで高く跳びたい。
今回は、そんな人のために、垂直跳びをはじめ、幅跳びやバレーのような助走をつけてのジャンプなどジャンプ力を伸ばすための効率的なテクニックについて、科学の助けを借りて適切なジャンプのメカニズムや、膝を怪我から守るための安全な着地方法などをもとに分かりやすく紹介します。
一般的に、もっと高く、もっと遠くへとジャンプするには、筋力トレーニングが必要で、それにはやはり時間がかかってしまいます。
でも安心してください。今すぐにでもジャンプ力をつけるためにできることはあります!
一番の近道は、科学の力を借りてジャンプのコツをつかむこと。
高く跳ぶコツさえつかめれば、バレーやバスケ、サッカーをはじめ、足が速くなるなどさまざまなスポーツでも有利となるでしょう。
幅跳びでより遠くにジャンプする方法
まずは、ジャンプするときの体の動きを考えてみましょう。
膝を曲げて筋肉を使い、地面から力いっぱい体を押し上げて空中に飛び出します。
このとき、能力を最大限に引き出して、より遠くへジャンプしたいなら「スピード」と「パワー」が必要です。
それには、まず、速く動く方法を見つけなければなりません。
ソフトボールを投げるときを考えてみてください。
勢いよくボールを投げると遠くまで飛びますが、手放すときに腕をゆっくりと動かすと、遠くに飛ぶ前に地面に落ちてしまいます。
ジャンプもそれと同じようなものです。
幅跳びで遠くに跳びたいなら、助走で勢いをつけて、直進よりも少し斜め上をめがけて跳びます。
ボールを遠くに飛ばしたいなら、地面の近くよりも斜め上をめがけて投げた方が落ちるまでに時間がかかるため、それだけ空中を遠くまで移動するチャンスがあります。
それでは、具体的にジャンプの姿勢や腕の振り方、体の動かし方について垂直跳びで詳しく触れていきましょう。
垂直跳びをより高く跳ぶ方法
垂直跳びとは、助走無しの真上へのジャンプ。
小学生の場合、体育の授業で、スポーツ記録として跳んだり、競技としては、バスケのリバウンドやジャンプボール、バレーでいうとオーバーパスからのスパイク、サッカーならゴールキーパーが高い位置のゴールを阻止するためにジャンプしたりするときなどに使われるジャンプです。
それでは、さっそく垂直跳びを、重力に逆らって、できるだけ高く跳ぶためのテクニックやコツをみていきましょう。
立った時の姿勢(スタンディングポジション)
肩幅に足を開き、前方の手を軽く胸の当たりまで上げます。
胸の位置から、反動をつけるために手を額近くまで高く上げて、そのまま腕を後ろに振りながらスクワットをするような姿勢で深く沈み込みます。
しゃがんで反動をつけるときのスクワット動きには、3つのポイントがあります。
お尻を後ろに引く
臀筋(でんきん、お尻の下側の筋肉)やハムストリング筋(太ももの裏側の筋肉)腰の筋肉を後ろに引くようにします。
胸は、床と平行、または、少し起き上がったくらいの角度がおすすめです。
膝を前方に曲げる
大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)からふくらはぎの筋肉を使って、膝を前方に押し出します。
太ももは、床との平行に対して約45度の角度。アスリートには、45度よりも少し低い位置で跳ぶ人も多くいるようです。
腕を後ろに向けて大きく高く早く振る
腕を後方に引きながら、できるだけ高く上げます。
イメージとしては、後方で小指を最も高い位置まで引き上げる感じです。
ジャンプのやり方とコツ
後方に向けて腕を振り上げたときの反動を使い、可能な限り素早く後ろから前へ勢いよく振るタイミングで、かかとから、膝、お尻、体全体がまっすぐな垂直ラインを描くようにして高くジャンプします。
ジャンプするときは、足の裏全体を床につけずにかかとを軽く浮かせた状態で、腕振りの力を活かしながら重心を上に引き上げます。
ケガを防ぐための安全な着地方法
ジャンプすると、着地時には、体重の約6倍の負荷がかかるといわれています。
垂直跳びによってかかる体への負担を分散させて、関節、特に膝の関節をケガから守るためには、スクワットのような姿勢でやわらかく着地しましょう。
お尻を後ろに引き、太ももは、床と平行よりも少し角度を付け、胸と腕を前方に出して体のバランスを取ります。
上記は基本的な垂直跳びの跳び方です。
もちろん、体質や筋肉の質、筋肉量、胴と手足の長さのバランスなどによって、個々で適したジャンプの姿勢は異なるので、お尻の位置や太もも、胸の角度などを微調整しながら、ぜひ自分に適したジャンプの姿勢を探してみてください。
しかし、これらのテクニックも、動きにスピードが足りないと最大限の能力を引き出せなくなってしまいます。
最大限のジャンプ力を生み出すのは「スピード」
繰り返しますが、垂直跳びで大切なのは、力とスピードです。
すばやくしゃがんでエネルギーを生み出し、勢いよくジャンプ。しゃがんでいる時間が長すぎると、エネルギーを失い、あまり高く跳べなくなってしまうので、スピードを意識してください。
スピードのある動きを生み出すためのコツは、反動をつけるときに腕の力を抜いて可能な限り体をリラックスして始めること。
そして、自分の最高到達点よりも上のポイントにタッチする感覚で跳ぶことを意識してください。腕は、力を抜いて終始リラックスさせることも忘れずに。
助走をつけてのジャンプ
助走をつけると、立ったままジャンプするよりも高く跳べます。
それでは、これまでの垂直跳びのテクニックを活かして、バレーのスパイク、バスケのダンクシュートなどスポーツによく使われる助走をつけてのジャンプのやり方や助走を最大限に活かす方法を紹介します。
助走の歩数が3歩でも5歩でも、共通していえるのが、最初のステップから徐々に足の歩幅を広く、スピードを上げていくことです。
そして、最後の一歩は、勢いよく、力強く床を足の母指球でパンチするように踏み込んでジャンプ。
これを、右足からスタートした3歩の助走をとるジャンプを例に挙げて詳しく説明していきます。
助走ではつま先を前方に向け、3歩目の最後の踏み込みでは、右足のつま先を前方から30度から45度外側に開き(がにまた気味)、続いてその前に出した左足を45度から90度内側(うちまた)に向けます。
上半身が軽く前に倒れた姿勢で助走をはじめ、最後の踏み込みでは、重心を踏み込みの後ろ足(右足)の上にのせて、上半身を必ず上に向けてまっすぐに起こしてジャンプします。
床をすばやく蹴って、全身の力を上向きに引き上げることができます。
最後の踏み込みで前屈みになると、まっすぐな垂直姿勢に戻るまでに時間がかかってしまい、真上ではなく少し前に出ながらの低いジャンプになるので注意してください。
最後の踏み込みでは、腕をすばやく思いっきり前方に振り上げてください。
最後に
ジャンプをより高く、遠くへ跳ぶために、友達に姿勢や動きを確認してもらうのもよいでしょう。
さらに二人で、どちらがどれだけ遠く、または高く跳べるかを競争すると、走って、跳んで、遊んでをゲーム感覚で全て同時にできるのでおすすめです。
また、ジャンプをしていると、血流が良くなり、筋肉が動きやすくなります。心臓の鼓動が速くなり、呼吸が荒くなり、身体も強く丈夫になります。これは、健康を維持するためにとても大切なことです。
参照元:
・How Far Can You Jump?
・Standing Jump Technique | How To Jump Higher
・Approach Jump Technique | How To Jump Higher