パイナップルを腐らせない秘訣・熟成が進まない果物のナゾ

2021年11月 4日

今までに果物が熟れるのを待っていたら、腐らせてしまったことはありませんか。

特にパイナップルにおいては、食べごろが分かりにくいため、ついつい腐らせてしまうことが。

今回は、そんなあなたにおすすめの豆知識「果物を腐らせない秘訣」について、そもそも果物がなぜ、どのようにして熟すのかをもとに科学に基づいて紹介します。

どうやらリンゴが台所で甘く熟成する一方で、パイナップルや柑橘類は待てば待つほど腐敗がすすんでしまうようです。

植物には繁殖上の問題がある

植物には繁殖上の問題があります。

植物には私たちのような足はありません。

ほとんどがその場にじっと留まり、種子が成長するためのスペースと資源がある場所に種を運んでくれる動物に頼っています。

しかし、植物は動物に早く食べられてしまうことを望んでいません。

芽が出る準備が整う前に運ばれてしまっては、種が無駄になってしまうからです。

このジレンマに対する答えの1つが果実にあります。

種に発芽の準備が整うと果実は熟れる

発芽の準備が整った種ができる前の果物は、厚い皮と堅い果実で覆われ、ときには苦い化学物質を出し、生き物を寄せ付けない防御システムのようなカモフラージュが働いています。

しかし、種子が成熟すると、果実は変化し始めます。

皮が薄くなり、堅くて苦い果肉が、柔らかくて甘い美味しさに変わり始めるのです。

そして、酵素が細胞壁を分解し、できた隙間からおいしそうな匂いを漂わせ、鮮やかな色で動物を誘います。

この変化が終わる頃を、私たちは「熟成」と呼んでいますが、この段階で果実はもう邪魔者ではありません。

果実と一緒に種子を運ぶ動物にとってはたまらなく魅力的なものになるのです。

枝から離れたら熟成が停止する果物

しかし、すべての果物が同じメカニズムでおいしくなるわけではありません。

分かりやすくいうと、リンゴとオレンジの違いのようなものです。

オレンジやパイナップルと同じように、植物の他の部分から糖分や熟成ホルモンを取り込んで熟すものもあります。

果実はこれらの成分を多く取り込むことで、より美味しく、より魅力的になっていきます。

しかし、果実が落下したり、収穫されたりして、植物とのつながりがなくなると、熟成は停止します。

つまり、私のキッチンでパイナップルを熟成させようとしても無駄だったのです。

収穫時にはすでに熟しているので、残念ながらキッチンカウンターの上では傷みや腐敗がすすむだけ。

台所でも熟成がすすむ果物

しかし、リンゴやバナナなどの果物は、植物が他の部分と繋がっていなくても自然に美味しくなります。

要は、コードレスで熟成できるフルーツです。

これらの果物は、種が成熟するまでに既に大量のデンプンを蓄えており、後はそれを甘い糖分に変換するだけ。

そして、この変換を調整する「エチレン」ガスと呼ばれる植物ホルモンは、果実自身が生産しています。

また、近くで同様に熟している他のコードレスなフルーツから吸収することもあります。

たとえば、エチレンガスの生成量が多いリンゴや桃のそばに置いたキウイフルーツやキュウリなどは熟成しやすくなります。ただし、近くで保管しすぎると腐るのも早くなります。

果物によって熟成方法が違う理由

バナナをはじめ、木や茎から落ちても、追加の栄養分を必要としない植物は、森の中やキッチンカウンターの上でも自らの果実を熟すことができます。

これは植物にとっては、便利ですね。

それでは、なぜすべての果物がコードレスではないのでしょうか?

正確なことはわかりませんが、ひとつの考えとして、果物は、種を運ぶ動物がたむろする場所で熟すのが有利とされています。

例えば、マンゴーのような大きな果実は、一般的に地上を歩く大きな動物によって食べられ、それらの糞によって種が運ばれるため、地上に落ちてから熟した方が彼らへのアクセスがよくより大きな利益を得られます。

一方で、サクランボのような小さな果実は、木の上で暮らす小さな動物によって運ばれるので、高いところで枝にぶら下がったまま熟す方が良いのかもしれません。

果物をよりおいしく食べる方法

実際には、現代人の多くが、スーパーマーケットでしか果物を見る機会がないので、これらの果物がどのように熟していくのかを知ることができません。

経験則からある程度推測することはできますが、そこで下に、果物を食べる経験をより実りあるものにするためのヒントを紹介します。

一般的に、自らのエチレンガスによってキッチンで熟成がすすむものには「リンゴ、イチジク、マンゴー、パパイヤ、アボカド、キウイ、桃、バナナ、トマト」などがあります。

一方で、枝から落ちた時点で既に熟成しているものには「サクランボ、ザクロ、洋ナシ、ブルーベリー、イチゴ、柑橘類、イチゴ、ブドウ、パイナップル」があります。

キュウリやブロッコリー、キャベツやレタスなどの葉野菜は、自らはあまりエチレンガスを生産しなくても、エチレンガスの生成量が多い果物と一緒に保存することで影響を受けて腐敗しやすくなるので注意してください。

さて、もうこれからは、パイナップルが熟すのを待ちすぎて腐らせることは防げそうですね。