動物・植物・生き物

なぜメガロドンは絶滅したのか?

メガロドンが絶滅した理由動物・植物・生き物

3000万年かけて、メガロドンは、大きな海洋哺乳類を食べるために巨大化しました。

しかし、それらの哺乳類が姿を消し始め、ホホジロザメの祖先や他の捕食動物との競争が激しくなるにつれて、メガロドンは進化の過程で生き残れなくなっていきます。

そして、260万年前に絶滅。一方で、メガロドンに捕食されていたクジラ種はより大きく、増加していきます。

以下に、史上最大のサメに何が起こったのか、海洋の栄養分が豊富になった時代を背景に、メガロドンが巨大化していった頃から見ていきましょう。

クジラを捕食していたメガロドン

Why Megalodon (Definitely) Went Extinct

約800万年前、小さなヒゲクジラがペルーの暖かい沿岸海域を泳いでいました。

ピスコバラエナと呼ばれるそのクジラは、体長わずか3~4メートル、シロイルカほどの大きさで、プランクトンが豊富な水を口いっぱいに濾過しながら泳いでいます。

ただ、すぐ下を捕食動物が泳いでいることに気づいていなかった。

この捕食動物は、現代のホホジロザメと同様に、獲物がエコーロケーション能力を持っている場合に備えて、気づかれないようにクジラの下、または後方から狩りをしていた可能性が高いと考えられています。

その捕食者が誰であったかは、クジラの体に歯が残っており、それが最終的に化石になったことから分かっています。

メガロドンで知られる史上最大のサメでした。

メガロドンとは

体長は最大18メートル。現代のシロナガスクジラのほぼ4分の3の大きさ。

その歯はあなたの手と同じくらい、あるいはそれ以上の大きさ、

歯の化石

その顎はあなたを丸ごと飲み込めるほど広かったのです。

顎の化石

メガロドンはオランダからニュージーランドまで世界中に生息していました。

そして1000万年以上もの間、海の頂点捕食者として最盛期を迎えていました。

しかし、260万年前に絶滅してしまいました。

260万年まえに絶滅

メガロドンは、鮮新世が更新世に移り変わると同時に、化石記録から完全に姿を消しています。

今日私たちが目にする海洋生物の構成、特に現代の海を泳ぐクジラの種類や大きさの中にも、そのメガロドンの絶滅の証拠が見られます。

では、史上最大のサメに何が起こったのでしょうか?

メガロドンは、大きくて恐ろしいサメの仲間の中でも史上最大のサメでした。

このサメが初めて学術的に記載されたのは1835年、現生種のシロワニ、オナガサメ、ホオジロザメなどを含むネズミザメ目に属します。

メガロドンの祖先とも言われる古代鮫、オトドゥス・オブリクウスは、メガロドンが現れる約2000万年前の始新世初期に生息し、食物連鎖の頂点に君臨していました。

メガロドンは、約2,300万年前の化石記録に初めて登場します。

では、メガロドンは、なぜ、これほど巨大化したのでしょうか?

メガロドンが巨大化した理由

メガロドンの大きさ

メガロドンの巨大な体は、獲物の大きさとも関係があると考えられています。

これらの外的要因は、プレートテクトニクスによって、北米とアジアの山脈が隆起した中生代末期に始まりました。

成長を続ける山脈の風化により、栄養分に富んだ堆積物が大量に海に流れ込み、海岸近くの生態系の生産性が向上したのです。

プレートニクスの影響

そして藻類や植物が成長するにつれ、それを好む海洋哺乳類も大きく成長しました。

藻類の繁殖

クジラ、イルカ、アザラシなどの海洋哺乳類は、脂肪含有量がとても高いため、捕食者にとっては栄養価が高く、高カロリーのおやつになります。

そして、海洋哺乳類が時間とともに成長するにつれ、それを捕食するサメも成長しました。

そうして、約2,000万年の間に、海洋哺乳類とメガロドンにつながる系統は、どちらも大きさが2倍になっていきました。

パナマで発見された化石によると、メガロドンの新生児の体長は約2〜3メートルで、現代のホホジロザメの半分の大きさに相当。

それは、祖先であるオトドゥス・オブリクウスの約1.5倍の大きさに相当します。
このことは、サメの脊椎に木の年輪と同じような成長の跡が見られることから分かります。

脊椎

そして、これらの成長の痕跡は、メガロドンの赤ちゃんがオトドゥス・オブリカスのほぼ2倍の速さで成長し、約25歳で最大体長に達したことを示しています。

つまり、時間とともに大きくなることで、メガロドンは、獲物となる海洋哺乳類とのサイズ競争に遅れを取らずに済むようになったと考えられています。

その歯は、多くの未確認のクジラ種や、小さなピスコバラエナ、さらにはアシカほどの大きさの鰭脚類の肋骨に刺さっているのが発見されています。

このように巨大サメにとって、大きさというのは有用な適応だったはずです。

しかし、不思議なことに260万年前にメガロドンは絶滅しています。いったいなぜ絶滅したのでしょうか?

メガロドンなぜ絶滅したのか?

これにはいくつかの潜在的な理由があります。

第一に、260万年前は、更新世の始まりであり、気温は低下し、長い氷河期が始まりました。

この温度の変化はメガロドンに直接影響を与えた可能性もあるし、その食料源にも影響を与えた可能性があります。

それは、気候の変化によってクジラの生息場所や生き方をも変化させていきます。

気候が変化すると、クジラは食料を求めて両極に近い場所に移動し始め、より回遊的になっていきます。

メガロドンにとっての問題は、獲物が移動した場所では水が冷たすぎたのではないかということです。

実際に科学者たちは長い間、この水温低下が世界最大のサメの絶滅原因ではないかと考えていました。

しかし2016年、その仮説は覆ります。

水温が原因で絶滅したわけではない

2016年、チューリッヒ大学のカタリナ・ピミエント博士率いる研究グループが、メガロドンは冷たい水では生きられないという仮説を検証。

ピミエント氏らのチームは気候予測モデルを使用して、鮮新世と中新世の海水温を再現し、その温度をメガロドンが生息していた場所と比較したのです。

すると、メガロドンは水温が約12度から27度のところを好むものの、水温が1度の海でも化石が発見されていることに気付きます。

つまり、メガロドンはおそらく冷たい水でも平気だった可能性が高いのです

これは理にかなっています。なぜなら、今日の大型サメの多くは中温性であり、周囲の水温よりも少しだけ体を暖かく保つことができるため、冷たい水の中でも活動し続けることができるからです。

競合種の出現

では、クジラの移動や生息地の変化が問題ではなかったとしたら、何が問題だったのでしょうか?

メガロドンの失踪は、動物界における2つの重要な変化と一致しているようです。

1 つ目は、メガロドンが競争しなければならない新たな捕食動物の出現です。

例えば、中新世の中ごろから、リヴィアタン・メルビレイという壮大な名前を持つ巨大なマッコウクジラが発見されています。

肉食の大型クジラ種

現代の吸引摂食スタイルのマッコウクジラとは異なり、リヴィアタンは短くて強力な顎を持っていました。

そしてその歯は大きくて強く、肉に噛みつくためのものでした。

また、体長17メートルのリビアタンは、ただイカを食べただけではなく、他のクジラをも食べていました。

そしてそれは中期中新世の多くの肉食クジラ種のうちの1つに過ぎなかったのです。

ホホジロザメの祖先

後期中新世には、他にも敵、ホホジロザメの最古の祖先であるカルカロドン フベリ(Carcharodon hubbelli)が化石記録に現れています。

このサメはメガロドンの直接の競争相手であったことが、メガロドンが食べていたとされる同じクジラの化石にその歯の跡が発見されたことから証明されています。

つまり、あの小さなピスコバラエナです。

それから数百万年後の鮮新世初期に、現代のホホジロザメの祖、カルカロドン フベリの最初の化石が出現。

さらにメガロドンは、このようなより新しく、より機敏なサメの種と競争しなければならないだけでなく、最も重要な獲物であったクジラの数の減少とも直面しました。

獲物となるクジラの固体数が減少

鮮新世の終わり頃、クジラの数は60種ほどから約40種に劇的に減少しました。

これらの種の多くは濾過摂食者で、珪藻類と呼ばれる微細藻類を食べていたオキアミなどの生物を餌としていました。

ところがおよそ300万年前から、海洋では珪藻類の多様性が著しく減少し始めたのです。

なぜこのようなことが起こったのかは100%明らかにはなっていませんが、南北アメリカ大陸が最終的に接近し、太平洋と大西洋の間で水が循環できなくなったときに起こった海洋循環の変化に関係している可能性があります。

理由が何であれ、珪藻類が減ればオキアミも減り、クジラの数も減ることになります。

そして、食べ物が減ったため、メガロドンはより小型でより速いホホジロザメとの厳しい競争にさらされます。

体が大きなメガロドンは、ホホジロザメよりも多くの食料が必要になることから不利となり、260万年前に、最後のメガロドンが化石記録から姿を消したのです。

このメガロドンの絶滅は、世界の海に大きな影響を与えた可能性があります。

メガロドンの絶滅によってクジラが増加

過去数百万年の間に、ホホジロザメとシャチが頂点捕食者の役割​​を引き継ぎましたが、これらのはるかに小型の肉食動物は、メガロドンが食べられたと思われるほど大きなクジラを狩ることはできませんでした。

体長18メートルのメガロドンは、他の捕食動物には手に負えないほど大きな9メートルものクジラを食べていた可能性があります。

一方で、現代のホホジロザメは、自分たちの半分の大きさのイルカを頻繁に食べることが分かっています。

その結果、メガロドンが絶滅した後、クジラは爆発的に増加。

更新世には海水が冷たくなり、両極における新たな生産性の向上により珪藻類が復活。そして、この新たに生産的な環境と大型捕食動物の不在が重なったことで、クジラは鮮新世最大の2倍の大きさに成長することができたと考えられています。

これが、地球上でこれまでに見た中で最も大きな動物であるシロナガスクジラが、つい最近、つまり200万年未満前に化石記録に現れた理由です。

体長18メートルのサメが泳ぎ回らなければ、海にはついに体長25メートルのクジラが生息できるようになったわけです。

3000万年かけて、メガロドンは、大きな海洋哺乳類を食べるために巨大化しました。

しかし、それらの哺乳類が姿を消し始め、ホホジロザメや他の捕食動物との競争が激しくなったため、メガロドンは進化の過程で生き残れなくなったのです。

しかし、注目すべきは、現在の最大のホホジロザメは中新世の祖先よりも約1メートル長く、メガロドンと同じように若い頃の成長も少し速いということです。

しかし、今日のクジラはすでに巨大であり、捕食者はほとんどいません。

Why Megalodon (Definitely) Went Extinct
知力空間
error:Content is protected !!