驚くかもしれませんが、オリーブオイルは、地上で最も偽物が出回っている食品だといわれています。
日本も決して例外ではありません。
特に日本のJAS規格は国際規格よりもはるかに低いので安心はできません。
品質の低いオリーブオイルを「エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル」だと偽り、なかには、純度の低い混ざりものであったり、ひまわり油や大豆油、菜種油のような他の油に中身が入れ替えられたりすることさえあるようです。
また、食品管理が行き届いていない店では、色や香りが落ち、新鮮とは程遠いような粗悪品が並んでいる可能性もあります。
それでは、本物と偽物を見分け、品質のよいオリーブオイルを選ぶ方法はあるのでしょうか?
ここでは、「Real Food Fake Food」の著者であるLarry Olmsted氏のアドバイスをもとに、偽物ではなく本物のオリーブオイルを選ぶポイントについて分かりやすく紹介します。
健康を害する可能性もあるオリーブオイル
オリーブオイルの魅力は、なんといっても細胞の老化を防ぐ天然の抗酸化物質です。
動脈硬化予防や悪玉コレステロールの低下などの様々な健康効果があることでも知られています。
しかし、実際に盲点になっているのは、偽物である可能性です。
確かに低温圧搾によって、100%オリーブの実から取られたオリーブオイルは、オレイン酸やポリフェノール、ビタミンなどが豊富だといえます。
しかし、化学処理された低品質なものは、栄養価が乏しく健康効果が期待できないどころか、劣化がすすむとかえって健康を害する恐れもあるのです。
そのため、Larry Olmsted氏は、本物のオリーブオイルを選ぶときに、下記を参考にするようにすすめています。
本物のオリーブオイルを選ぶ方法
市場に出回っている数多くのオリーブオイルのなかから、偽物と本物を見分け、品質のよいものを購入するためには、下記の4つのポイントを参考にしてください。
エキストラ・ヴァージン・オリーブオイルを選ぶ
エキストラ・ヴァージン・オリーブオイルという表記がされていないものは、混ぜ物が多く、品質が低い可能性が高いと疑ってもよいでしょう。
エキストラ・ヴァージンの成分は、全てオリーブの実からとった油のみからなり、オリーブの実を精製・加工していないため、ポリフェノールなど植物に関連する化学物質が多く含まれています。
一般的に、ヴァージン(バージン)・オリーブオイルは、オリーブを搾っただけの天然もので、そのなかでも一番搾りでとられ、風味や酸度などが基準に満たしたもののみがエキストラヴァージンと表記されます。
それが、機械的に抽出されたバージンオリーブオイルや、化学物質の除去処理がされた精製オリーブオイルよりも健康に良いと言われることが多い理由です。
ラベルの表記はあてにしない
ボトルのラベルには、ライトテイスト、ナチュラル(自然素材)、ピュア(オイルを精製した後、バージンオイルをブレンドしたもの)、プレーン、ファーストプレス(一番搾り)、コールドプレス製法、ファースト・コールドプレス(自然な純度が高い)など、様々な表記がされていますが、これらの用語はすべて規制されておらず、正確にいうと無意味です。
現在は、ほとんどの生産者が遠心分離機を使ってよりきれいなオイルを作っているため、以前ほどラベルも役に立たなくなってきています。
認定されたものを選ぶ
オーガニック認証マークがあるものや原産地名称が保護されたものは、品質が保証されています。
アメリカのEVA(Extra Virgin Alliance)認定やカリフォルニア州産のCOOC認定、原産地名称が保護されたD.O.P(Denominazione di Origine Protetta)やIGP(Indicazione Geografica Protetta)、PDO(Protected designation of origin)PGI(Protected geographical indication)、その他にもDOC、DO、SIQEV(QvExtra)などの表記(wiki pedia参照)は参考になります。
オリーブオイルの情報を確認する
オリーブオイルを選ぶときは、製造方法や酸度を確認してください。
酸度は、劣化のしやすさの目安になり、国際オリーブ協会(IOC)規定では0.8%以下、JAS規定では2.0%以下とされ、値が低いほどよいといわれています。
そして、底に収穫期日(hervest date)の記載があれば尚よく、それが、必ず1年以内のものにします。
多くの専門家や生産者は、オリーブオイルのおいしさの最大の要因は、ラベルよりも、品種よりも、色や価格、産地よりも、鮮度が品質を決めると言います。
また、ヨーロッパ産は賞味期限が表示されていますが、米国農務省は、オリーブオイルの日付表示を義務付けていません。できる限り日付表示のある信頼できるブランドのもを選びましょう。
まとめ
オリーブオイルは、ラベルの表記のされ方自体があまり信用できるものではありませんが、認証マークや酸度、賞味期限ではなく収穫日、製造方法、生産国の表記は参考になります。
そして、できれば低温圧搾(コールドプレス)製法で作られたものを選びます。
また、オリーブオイルは、光と熱に弱く、酸素に触れるとすぐに劣化が始まる生鮮食品です。必ず遮光性のある濃い色の瓶や缶に入ったものを選び、家に持ち帰ったら、高温多湿を避けて太陽や電気の光が届かないところで保存しましょう。
基本的に、オリーブオイルは、収穫時から既に酸化は始まっており、賞味期限は収穫日から18ヶ月までと考えられています。
さらに開封したときから酸化が急速に早まる(一度開封すると、風味を保てるのは3,4週間)ので、開封後は数週間で使い切るようにしましょう。
ちなみに、品質のよいオリーブオイルは、熱に強いので調理に使用しても問題はありませんが、栄養価を考えるなら調理せずに摂取することが重要です。
残念ながらすでに偽物になれてしまっている舌では、粗悪なオイルならではの油っぽさが当たり前になっているかもしれませんが、純粋な果実本来の風味をもつオリーブオイルは、口に含んだときに、スパイスのような辛みや苦み、さっぽり感があることも覚えておいてください。