アメリカでは、郊外のショッピングモールで買い物をしていたら、突然の嵐に襲われることが多いといわれます。
実は、それは偶然ではなく、嵐が発生するための絶好の条件が整いやすいという理由があるからです。
大型ショッピングセンターとその駐車場は、基本的にコンクリートやアスファルトの巨大な塊でできていますね。
この巨大な塊は、太陽エネルギーを吸収して熱を空気中に放射するため、ショッピングモールの気温を数度上昇させることがあります。
以前、雲ができ、雨が降る仕組みを紹介したように、気温の上昇は雨をもたらしますが、加えて郊外のショッピングモールの場合、郊外の近隣との温度差が雨を異常なほどの激しさにする可能性があるのです。
今回は、郊外にある大型ショッピングモールや森林が切り開かれた都市で嵐が引き起こされやすい理由について分かりやすく紹介します。
嵐はどうやって発生するのか
ショッピングモールの気温が高くなった結果、暖かい空気は上昇しはじめ、対流圏界面(たいりゅうけんかいめん)と呼ばれる雲の一番上の層を押し上げます。
対流圏界面とは、地上から約10kmまでの成層圏と、そこから約50kmまでの間をいう対流圏が接する境の面のことです。
一方、ショッピングモールに隣接する木々や草は、日陰を作り、蒸発冷却によって地表温度を低く保っています。
ショッピングモールの近隣は、草や木々のおかげで放射熱による対流圏界面の上昇が抑えられ、界面は低い位置に保たれているのです。
この対流圏界面(境目)の位置はとても重要で、界面が高くなると、雲に含まれる水分は凝縮して水滴になります。
同時に、界面が高くなると(地表から境目までの体積は大きくなって気圧は下がるので)周囲の空気の分子が中心に向かって引っ張られ、風が発生します。
つまり、嵐が発生するための絶好の条件が整うのです。
近隣との気温差は異常気象の引き金となる
また、地上の気温が高いほど、湿った空気が上空の寒い大気層に向かって上昇する速度が速くなるので、その中の水分が凍って氷の玉になる可能性が高くなります。
その結果、ショッピングモールの真上に集中し、突然の異常な嵐を起こすのです。
もちろん、ショッピングモールだけでなく、地上では近隣の気温差は嵐の引き金となる可能性があります。